騒いでみたけど・・・
今日は、真昼間から
“すずたん”ちの裏庭で、バーベキュー!!
“すずたん”の依頼で、俺たちは、
近くのスーパーで
バーベキューの野菜だけを買い込んで、
いざ“すずたん”ちへ。
「お~!こっちこっち!」
“すずたん”に案内されるままに、
キッチンの横に付いたドアを
開けて外に出ると、
すでに、コンロの周りに
パイプ椅子が並べられている。
そして、机には“すずたん”が
用意してくれた大量のお肉が。
中には、分厚いサーロインも・・・!
「じゃぁ、早速、焼きますか!!!」
“すずたん”の開始の合図とともに、
タクマが中心となって、
まずは、トウモロコシやエリンギ、
ピーマン、キャベツ、玉ねぎなどの
野菜を網に載せていく。
しかし、やはりバーべーキューのメインは・・・
「お・に・く!お・に・く!お・に・く!!」
みんなでお肉の大合唱。
「分かってるって。
じゃぁまず、ロースからな!
んで、カルビと・・・」
タクマがお肉をトングでつまむ。
「イエーーい!!」
主役の登場に、腹を空かした
野郎どもは沸き立つ。
「でも・・・何といっても、
このサーロインでしょう!!!」
タクマは、続けざまにお肉を焼いていく。
「フゥ――――!」
網の上に分厚い
サーロイン肉が置かれる度、
みんなから歓声が起こる。
あぁ・・・
このジュージューがたまんない・・・
「あ!おいヒロセ!!!
おまえ、肉、取り過ぎだろ!!」
タクマは、完全にバーベキュー奉行だ。
「む?!そんなことあらへんって!
ぺらいっちの方が、さっきから
良い肉ばっか食ってんで~」
ドキッ・・・
ヒロセ・・・いらんことを・・・
「なにぃぃぃ~~~!!!」
「いや、俺は・・・」
するとサヨちゃんが横から入ってくる。
「ぺらいちさんは、
とてもお痩せになってるから
もっと肉を食べた方がいい、かと」
「ダ、ダヨネ~~!!!」
ナイス!サヨちゃん!
「え~~!サヨちゃん、
なんでぺらいっちの肩もつのさ~~」
フフ・・・サヨちゃんに
惚れてるタクマは何も言えまい・・・
「でも、“すずたん”ちのキッチンの裏に、
こんなスペースがあったんやな~・・・」
肉を頬張りながらヒロセが言う。
「ここなら、ゲンも走れそうですね」
意外と、サヨちゃんも、結構お肉食べてんな・・・。
「あれ?ゲンは?」
そういえば、さっきから見てない・・・
「ゲーン!おいで~~」
見ると、マルオがゲンを呼んでいるが、
ゲンはキッチンから動かず、
不機嫌そうな顔で、
ジ~~~と裏庭の方を見ている。
「あれ~~?ゲンがこんよ?」
マルオには、いつも
すぐ飛びついていくゲンが、珍しい。
「あ~ハハ・・・もしかしたら、
ゲンが食べれるもの無いから、
拗ねてんのかな?」
“すずたん”がそう言うと、
マルオがゴソゴソと
カバンを漁り始める。
「な~~んだ~~!そう思って・・・」
マルオは、カバンから何かを取り出す。
「ほら、『ちゅ~る』だよ~~~!!!」
『ちゅ~る』とは、ペット用の液状オヤツ。
マルオが『ちゅ~る』を差し出すと、
ゲンが一目散に、裏庭に飛び出してくる。
「わ~~~すげ~勢いで
食べとる~~!!」
ゲンは、マルオの指まで
食べそうな勢いだ。
「やっぱ、拗ねとったんじゃのぉ~
ゲン~~!」
「ハハハハ!!!」
カラオケ大会が終わってから、
なんとなく毎日がつまんなかったけど、
肉をたらふく食べ、みんなとバカ騒ぎして
カラオケ大会以来の楽しい時間だった。
でも何だろう・・・
バカ騒ぎして
楽しかったのは楽しかったけど
正直・・・
なんか物足りない感じもあった。
みんなで“すずたん”のために
カラオケ練習してる時の方が
楽しかったなぁ~
カラオケ大会の練習してた時と、
なにが違うんだろう・・・