ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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リードを外したら・・・

「じゃあ、行きますか!」

俺とタクマは、留守の“すずたん”に代わって
ゲンの散歩に繰り出した。
タクマは、ゲンの散歩に行くのが
初めてらしい。

「俺、リード持っていい?」

「いいよ~。でも、離さんでよ」

そう言って、俺は、
タクマにリードを渡す。

「分かってるって!」

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ゲンは、たまに、電信柱を見つけると、
クンクンと懸命に匂いを嗅ぐ。
途中、他の犬が通りかかっても、知らん顔だ。

「ゲンって、マルオ以外の
 人間といる時は、

 大人しいよね~」

「まぁ、マルオは特別じゃろ~」

そうこうしているうちに、
ゲン行きつけの大きな公園に着いた。

「よしっ!」

そう言って、タクマはゲンのリードを首から
外そうとしている。

「ちょ、ちょっと、なんしよん?」

「え?だって、ゲンもたまには
 開放されたいっしょ?」

「いやっ、逃げたらどうするん?」

「大丈夫だって!
 こんなに大人しい・・・あ!!!」

リードが外れた途端、ピューンと勢いよく
走り出すゲン。

「あー!!!じゃけぇ、言うたじゃろ!!」

「あれぇ?さっきまで
 あんな大人しかったのに~

 やっぱりストレス溜まってたんだって~」

「いや、追わんと!!」

「大丈夫!ほら!あそこ!」

遠くの方で、立ち止まって、
こちらをジーーーと見るゲン。
俺たちは、ゆっくりと
ゲンの方に近づいていく。

「もう~、やっぱ
 リード外しちゃダメじゃって~・・・」

「そう?ごめんごめん・・・
 あ!逃げた!」

「おい!待て!!!」

ゲンは、俺たちが近づくと、
逃げる様に走り出し、
いたずらっぽく、こちらを
振り向いては、また走り出す。

「どこ行った?!」

「あ!いた!あそこ!!!」

ゲンは、公園内の丸っこく刈られた
低い生け垣の向こう側に、
ポツンと止まっている。

「ってか、コレどうやって入ったんだ?」

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確かに・・・
よく見ると、ゲンがいる場所は、
生け垣にグルッと囲まれている。

「あ!ここから入ったんじゃない?」

タクマの指さす方を見ると、
キレイに並んだ生け垣の1か所だけ、
ゲンが通れるくらいの穴が
空いている部分がある。

「おいで!ゲン!」

「ゲーン!」

俺たちが必死に呼んでも、
ゲンは、無表情のまま、
こちらをジーーーと見るだけで
動かない・・・

「しょうがないな・・・
 行くよ、タクマ」

「え~、行くのぉ~?」

「元はといえば、
 お前がリード外したからだろ~?」

「そうだけど・・・」

俺とタクマは、生け垣を大股で
なんとか越えようと試みる。

「もう~ゲ~ン~。
 なんで、こんなとこに、

 入っちゃったんだよ~」

タクマは、ブツブツ言っている。

「うわっ!いってぇ!」

またごうとした足に、
生け垣の固い枝が刺さる。

ビリッ!!!

「あ!!」

枝が引っかかって、
ズボンの後ろのポケットが破けた・・・
くそぉ・・・

でも、なんとか
生け垣を越えられた・・・
そう思った途端、タクマが叫ぶ。

「あ!ぺらいっち!!ゲンがっ!!」

見ると、ゲンは、いつの間にか
生け垣を通り抜けた向こう側で、
素知らぬ顔をして、
こちらをジーーーと見ている。

「おい!ゲン!!」

走り寄っていくと、ゲンはまた走り出す。
ダメだ・・・追いつかない・・・

「このぉ~~~!」

ゲンは、あっかんべぇをするように
こちらを振り向くと、また走り出す。

その後、俺たちは、30分近く
走っては止まり、
走っては止まるを繰り返す。

「捕まえた!」
「よしっ!」

タクマがなんとか捕まえたときには、
もうクタクタ・・・

リードをつけると、
ゲンは、ニヤッと笑う。

俺たち、完全に遊ばれてたな・・・

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