ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

初デートと言っていいんでしょうか?

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今日は、待ちに待ったアンナとの初デート。
まぁ、服を選んでもらうだけだけど。

いや、ショッピングも立派なデートだ!

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アンナの学校が終わる夕方に
水道橋で待ち合わせをする。

「お待たせしました~」

「おつかれー。わざわざ、ありがとね。」

アンナが、自然と、東京ドームシティに
向かって歩き出すので、並んで着いていく。

「普段、どんなところで服買ってるんですか?」

「え?あ~結構テキトーに」

「え?この前のおそ松くんTシャツは?」

「・・・あれは、ラクーア

俺は、東京ドームに隣接している
融合商業施設ラクーアを指さす。

「今日は、どこらへんで買いたいですか?」

「いや、お任せするよ」

でもなんか高いブランドの店とかに
連れていかれたらどうしよう。
正直、そんなお金ないしな・・・
でも、安いのが良い
なんて言えないし・・・

「でも高いのムリですよね?」

「え?」

「池袋にしましょう!近いし。GUあるんで」

あんま素直に喜べないけど、
助かった~~

でも、GUなら俺も行くことあるし、
今までとさほど
変わらないんじゃないかな・・・

そして、池袋のGUに到着。
平日だからか、そんなに人がいない。

あ、この前買おうか悩んだ服だ・・・

すると、俺が手に取った服を見て
アンナが悲鳴をあげる。

「え?ちょっと待って!!なにそれ~!!」

「え?」

「くっそダサいっ。
 ちょっとこっち向いてください」

すると、アンナはスマホを取り出し、俺の写真を撮り始める。

パシャ!パシャ!

「ぺらいちさんは、
 胸板がぺらっぺらだから、

 首元が隠れるほうがいいですよ」


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え・・・面と向かって言われると
ショック・・・
アンナはタートルネックを取り出し、
俺の体に当てる。

「あぁ、やっぱいいですね。
 意外と、シックな感じが
 似合うと思うんですよね~」

そして次々にアンナは服を選んできては、
俺の体にあてていく。

「これ!!チェスターコート!!」

アンナは持ってきたコートと
タートルネックと合わせる。

「いい!!絶対いい!!

 なんか別人みたいですよ!」

「ほんとに?」

同じGUでも、選ぶ服、
組み合わせによって、オシャレに
見えるんだなぁ・・・

すると、アンナはまたパシャパシャと
俺の全身写真を撮り始める。

パシャ!パシャ!

「ちょ、どんだけ撮るんだよ~」

「いいじゃないですか~」

「やめろよ~」

「アハハハ」

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うわぁ・・・なんかこれ、
なんかすごい幸せだ・・・
しばしの間、海辺のカップルの如く
イチャイチャタイムを味わった俺は
正気に戻る。
そうだ、お礼。

「今日はありがとね」

パシャ。

「あ、全然いいですよ。
 私、人の服選ぶの好きなんで」


パシャ。

アンナは、相変わらず、
俺の体をクルクル回しながら、
全身の写真を何枚も撮っている。
なんか照れてきた・・・。

「おいおい、
 そんなに撮ってどうするの~?」


パシャ。
アンナは屈託のない笑顔で言う。

「いや、私今度、学校で、
 ダサい人を変身させるっていう課題

 出てるんですよ~。
 それに使わせてもらいたいなって」

あ、そうなんだ・・・
でも・・・なんか
それでも全然いい・・・

「え?ダメですか?」

「え!全然いいよ!!!」

俺は親指を立て、ニッと笑う。

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「あ、ちょっと動かないで」

「あ、は~い」



走り回る2人

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バイトの演劇フリーター、ヒロセ。
俳優を目指して
舞台活動をしている25歳。

ヒロセは、バイト中、
発声練習をしているのかと思うほど、
声がでかく、
(実際、発声練習の
 意味もあるらしい・・・)
無駄にテンションが高い。

さらに、ヒロセは
ホール担当なのだが、
キッチンのバイトに
ちょくちょくチョッカイを出しては、
キャッキャッと子供のように喜ぶ。

そのヒロセの得意技が、
キッチンで調理しているバイトに
背後から近づき、
ズボンの上からお尻に、
消毒用のアルコールスプレーを
大量にかけるというもの。

これをやられた相手は、
お尻がとてつもなく冷たく、
大量のアルコールは中々蒸発しないため、
長時間、お尻が極寒にさらされる。

ただでさえ、うちの店のキッチン内は、
換気のため外気を直接いれており、
この季節は凍えているのに・・・

シュッシュッシュッ

その日は、俺がヒロセの餌食に・・・。
お尻に冷たさを感じたときには
もう遅い。
後ろには、ニヤッと笑うヒロセが。

しかし、俺も負けじと
アルコールスプレーを手に取り、
応戦する。

「このヤロ!ちょっと待ていっ!!」

キャッキャッとキッチン内を
逃げ回るヒロセ。
俺も必死で追いかける。

その様子を見ていた大学生トミーが
苦笑いで一言。

「オッサン2人でなにしてんすか・・・」

なるほど、大学生のトミーから見れば、
30歳オーバーの俺はもちろん、
25歳のヒロセまでも
もう立派なオッサンなんだよな・・・

2人のオッサンは、
静かにアルコールスプレーを置いた。


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バリバリ働くけぇ!

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「ワシ、別れました!」

どうやらマルオは、2か月、付き合っていた彼女と
数日前に別れたらしい。
しかし、マルオからは全くと言っていいほど、
悲壮感というものは感じられない。

「よーし!!今日も稼がんにゃ~~!」

それどころかいつもより元気に働いている・・・。

「え?!じゃぁ結局童貞のままやんな?」

「それは、はい」

「うわ~最悪やん!!
 もうすぐ妖精になるんちゃう?ハハハ」

演劇フリーターのヒロセが面白がって
からかっても、全然おかまいなしだ。

「いや、実はもう次見つけたんよ~」

そういうことか。それにしても
切り替えが早いと言うか・・・。

「え?誰?誰なん?」

「地元の子なんじゃけど。
 高校の時、付き合っとって。

 そん時は、なんか浮気したと
 勘違いされてしもうて、

 フラたんですよ。
 でもずっと好きだったんよ~」

「へ~彼氏おらへんの?」

「それが!!
 別れたっぽいんですわ!

 facebookチェックしとったんで!
 今まで写っとった男の写真が
 全部消されとったんです!

 昨日も電話かかってきて・・・」

「え?どんな話したん?」

「それが!
 東京においでって言ったんですよ!

 そしたらお金ないって。
 んで新幹線代出すって言ったら、
 すげー喜んどったんですよ!」

「まぁ、そりゃぁ、喜ぶやろうな・・・」

「あ~はよ、アイちゃんから
 連絡来んかのぉ。

 LINE待つだけでワクワクするわぁ~!
 毎日がこんなに楽しいなんて
 夢のようじゃ~!!!」

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 う~ん・・・正直なんか微妙な気がするけど・・・

その日からは、マルオの話は、
アイちゃん一色。

「昨日の夜も電話したんよ~」

「へぇ~」

「アイちゃん、なんか靴が欲しいって。
 じゃけぇ、やっぱり
 アイちゃんのために稼がんと!」

「ふ~ん、誕生日か何かなん?」

「いや、全然!」

「え?ただ靴が欲しいって?」

「はい!!途中、なんか友達が
 起きたからって3分で切られたんじゃけど」

「あ~・・・」

うーん、やっぱりそれ・・・
っていうか100%
良いように利用されてるよね・・・

「あ!というわけじゃけ、
 ワシ今月、バリバリ働きますけぇ!」

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でも、やはり恋の力はすごい・・・。

俺もバリバリ働こうか・・・。



ショッピングのお誘い

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うあああああ。
もうダメかもしれない。
タクマ、イケメンだしなぁ。
やっぱイケメンの方がいいよなぁ、
若いし・・・。

っていうかありえん!
くそーーータクマめ、
裏切りだろ、これ!!!

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そう最初は怒りに震えた俺も、
なんだかタクマの全く
悪気ない感じのせいか、
裏切られた怒りというよりも、
気分だけが落ちていっていた。
・・・あいつも純粋に
好きになったんだろうしな。
まぁアンナは誰のものでもないし・・・。
でも、このどうしようもない思い、
どこにぶつけたらいいんだ・・・。

・・・いや!!

まだタクマが選ばれたわけじゃないっ!
俺が躊躇してる内に、
あいつに猛アタックをかけられたら
それこそヤバイ。絶体絶命。
ダメでもともと。
今日はタクマもいないし、先手必勝じゃ!!

幸いなことに、数日前、
『今度、私が服を選んであげますよ』
そう、アンナは言ってくれた。

このチャンスを逃さない手はない。

「おはようございまーす」

アンナがきた・・・。
今日は、紺色のカーディガンに
チェックのスカートか・・・。
相変わらずオシャレ。

「あ、おはようございまーす」

うつむきながら帽子のツバを持ちながら
こちらに挨拶する姿が
これまたカワイイ・・・

「おっすーー。今日もオシャレだね」

「あ、ありがとうございますー」

アンナはヒョコッとお辞儀をして
通り過ぎていく。

・・・そりゃあそうか。
アンナから
『そういえば・・・』
なんてこと、
切り出してくれるはずはない。
少し期待したけど・・・。

それからも、当然、アンナからは
何も言ってこない・・・。
なんとか気づいてくれないかなぁ・・・

いやいや!!何を待ってんだ俺は。

かといって、なんか
改まって誘うのって、
なんか言いづらいんだよなぁ・・・

「今日のスカートどこで買ったん?」

「え~?代官山だったかなぁ」

「へぇ~・・・」

・・・続かない。
それからもファッションに
関連する言葉を言ってみるが、
一向に反応は変わらない。

くそっ、こんなことなら、
その場ですぐ予定聞いて、
約束しとけば良かった・・・

でも、やっぱりアンナも
半ば冗談というか、
話の流れで『服を選んであげる』
なんて言っただけかも・・・。
うわー、色んな
ネガティブ思考が頭をめぐる・・・

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そうだ!!
LINEを使おう!!

『あのさぁ、この前、服、
 選んでくれるって言ったよね?』

いや・・・キモい。キモ過ぎる。

誘うなら、シフトが
被っている今日しかない!!

「オレ、どんな服が似合うと思う~?」

「ふく?」

「いや、『ふ・く』!!
 ん?『ふ・く』??」

「なにそれ!!アハハ!!
 イントネーション違いますよ。
 『ふ・く』!!!」

「アハハ!あ~そうかぁ!」

いや!!そこじゃねぇっ!!
確かに、広島弁
イントネーションで「服」は、
『ふ』にアクセントがつく『ふく』だけど。

俺が言いたいのは、そんなことじゃない・・・

俺はユニフォームの胸の部分を
引っ張りながら叫ぶ。

「『ふ・く』!!!」


俺の引っ張っている服を
じっと見つめるアンナ。

あ、もしかして・・・
そうそう!
通じてくれ・・・!!

「・・・あー!そうだ!
 服買いに行きましょうよ!」

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好きだ――――!!!!
俺はあまりの嬉しさに、
そう叫びそうになった。