ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

    f:id:peraichikun:20190105020429j:plain f:id:peraichikun:20190105020439j:plain

マンガ「無いっ!」

いや~、すっかり梅雨ですな~
・・・・って!!!

ぬぬぬ!!
俺のヌードが!!!!

いや~でも、汚いモノも
マンガになると、
カワイくなるなぁ・・・

f:id:peraichikun:20181116171433j:plain

f:id:peraichikun:20181116171443j:plain

f:id:peraichikun:20181116171452j:plain

f:id:peraichikun:20181116171504j:plain

f:id:peraichikun:20181116171514j:plain

いや~、懐かしい記事が
これまたマンガに・・・
この記事書いたの、去年の夏だよ。

www.peraichikun.com

 

このブログを始めて、
もう1年近くになるんだなぁ・・・

最初の頃は、毎日更新してたけど、
最近は、記事の更新も休みがちだなぁ・・・

なんだか色々と忙しくなっちゃって・・・

え?何がって???
(誰も聞いてない?)

・・・まぁ、そのことは、
おいおい話すとして、
しばらく、記事の更新が
休み休みになるかも、です・・・

が・・・今後も、
引き続き「ぺらいち君ブログ」
読んでもらえたら嬉しいっス。


リードを外したら・・・

「じゃあ、行きますか!」

俺とタクマは、留守の“すずたん”に代わって
ゲンの散歩に繰り出した。
タクマは、ゲンの散歩に行くのが
初めてらしい。

「俺、リード持っていい?」

「いいよ~。でも、離さんでよ」

そう言って、俺は、
タクマにリードを渡す。

「分かってるって!」

f:id:peraichikun:20190607022652j:plain

 

ゲンは、たまに、電信柱を見つけると、
クンクンと懸命に匂いを嗅ぐ。
途中、他の犬が通りかかっても、知らん顔だ。

「ゲンって、マルオ以外の
 人間といる時は、

 大人しいよね~」

「まぁ、マルオは特別じゃろ~」

そうこうしているうちに、
ゲン行きつけの大きな公園に着いた。

「よしっ!」

そう言って、タクマはゲンのリードを首から
外そうとしている。

「ちょ、ちょっと、なんしよん?」

「え?だって、ゲンもたまには
 開放されたいっしょ?」

「いやっ、逃げたらどうするん?」

「大丈夫だって!
 こんなに大人しい・・・あ!!!」

リードが外れた途端、ピューンと勢いよく
走り出すゲン。

「あー!!!じゃけぇ、言うたじゃろ!!」

「あれぇ?さっきまで
 あんな大人しかったのに~

 やっぱりストレス溜まってたんだって~」

「いや、追わんと!!」

「大丈夫!ほら!あそこ!」

遠くの方で、立ち止まって、
こちらをジーーーと見るゲン。
俺たちは、ゆっくりと
ゲンの方に近づいていく。

「もう~、やっぱ
 リード外しちゃダメじゃって~・・・」

「そう?ごめんごめん・・・
 あ!逃げた!」

「おい!待て!!!」

ゲンは、俺たちが近づくと、
逃げる様に走り出し、
いたずらっぽく、こちらを
振り向いては、また走り出す。

「どこ行った?!」

「あ!いた!あそこ!!!」

ゲンは、公園内の丸っこく刈られた
低い生け垣の向こう側に、
ポツンと止まっている。

「ってか、コレどうやって入ったんだ?」

f:id:peraichikun:20190607022727j:plain

 

確かに・・・
よく見ると、ゲンがいる場所は、
生け垣にグルッと囲まれている。

「あ!ここから入ったんじゃない?」

タクマの指さす方を見ると、
キレイに並んだ生け垣の1か所だけ、
ゲンが通れるくらいの穴が
空いている部分がある。

「おいで!ゲン!」

「ゲーン!」

俺たちが必死に呼んでも、
ゲンは、無表情のまま、
こちらをジーーーと見るだけで
動かない・・・

「しょうがないな・・・
 行くよ、タクマ」

「え~、行くのぉ~?」

「元はといえば、
 お前がリード外したからだろ~?」

「そうだけど・・・」

俺とタクマは、生け垣を大股で
なんとか越えようと試みる。

「もう~ゲ~ン~。
 なんで、こんなとこに、

 入っちゃったんだよ~」

タクマは、ブツブツ言っている。

「うわっ!いってぇ!」

またごうとした足に、
生け垣の固い枝が刺さる。

ビリッ!!!

「あ!!」

枝が引っかかって、
ズボンの後ろのポケットが破けた・・・
くそぉ・・・

でも、なんとか
生け垣を越えられた・・・
そう思った途端、タクマが叫ぶ。

「あ!ぺらいっち!!ゲンがっ!!」

見ると、ゲンは、いつの間にか
生け垣を通り抜けた向こう側で、
素知らぬ顔をして、
こちらをジーーーと見ている。

「おい!ゲン!!」

走り寄っていくと、ゲンはまた走り出す。
ダメだ・・・追いつかない・・・

「このぉ~~~!」

ゲンは、あっかんべぇをするように
こちらを振り向くと、また走り出す。

その後、俺たちは、30分近く
走っては止まり、
走っては止まるを繰り返す。

「捕まえた!」
「よしっ!」

タクマがなんとか捕まえたときには、
もうクタクタ・・・

リードをつけると、
ゲンは、ニヤッと笑う。

俺たち、完全に遊ばれてたな・・・

f:id:peraichikun:20190607022741j:plain





キスを拒む理由

“すずたん”が、町内会の会合とやらに
夕方から出かけると言うので、その間の
お留守番と、ゲンの散歩を頼まれた。

俺は、せっかくなので大学生のタクマを誘って
お留守番をすることに。

「ゲン~おいで~」

タクマが両手を広げてゲンを呼ぶが、
タクマのことは、不慣れなのか
ゲンは、あんまり近づきたがらず、
フンッと鼻を鳴らして、どこかに行ってしまう。

「あれ~?おかしいな」

「まぁ、ゲンは、基本マルオ以外の
 男には、あんまり興味ないからな~・・・」

「うわっ!なにそれ!チャラ!」

f:id:peraichikun:20190606012143j:plain

 

お前が言うなよ・・・
まぁ、ゲンは散歩に行きたくなったら
合図するから、とりあえず放っておこう・・・

「そういえばさ・・・」

俺は、タクマの顔を見る。

「キスできた?」

タクマに会うと、必ずそれを聞くのが
最近の俺のルーティーンになっている。

「いんや・・・」

タクマは、不服そうに首を振っている。
でも、あのタクマが、あのチャラいタクマが、
サヨちゃんと付き合ってもう、
半月以上も経つのにキスもしてない・・・
それが、なんだか可笑しいような
可愛いような気がして
つい、からかってしまう・・・

「拒否られるんだよ~
 どうしたらいいかなぁ~~?」

「え?ってか、サヨちゃん、
 なんて言ってたんだっけ?」

「結婚するまで、キスできないって・・・」

「・・・うーん、なんでなんだろう?
 貞操観念みたいなこと?」

「俺もさ、そう聞いたんだけど、
 なんか、それとは違うみたいで・・・
 口と口を触れ合わせる意味が分からない
 ・・・って」

「いや・・・え?意味???
 そう言われるとな・・・
 もしかして潔癖なのか?」

「それも聞いたんだけど、違うんだって。」

「え~?・・・そうなんだ」

「うん。女子寮の部屋も
 けっこう汚いんだって・・・」

「じゃぁ、潔癖ではないのか・・・」

うーん、聞けば聞くほど、深まる謎だ・・・

「もしかしてさ・・・お前のこと
 好きじゃないんじゃないのぉ?」

「え~!!ちょ、
 そんな絶望的な事、言わないでよ~!!」

「ハハ!ジョーダンだよ!」

f:id:peraichikun:20190606012158j:plain

 

それにしても、何でだろう?

カープ強すぎるんじゃ!!

「もう~!ホント!
 いいかげんにしろ~!!怒」

バイトに来て早々、
根っからの巨人ファンの大学生
トミーが怒っている。

「え?なにが?」

「バカープの事ですよ!」

「バカ―プ??!!」

「強すぎるんですよ!
 もう、強すぎて面白くない!」

まぁ、トミーの怒りも、分からんでもない。
一時は首位だった巨人も、
カープ、阪神に追い抜かれ、只今3位。
逆に、カープは、どん底の最下位から
驚異のV字回復で、
2位に4ゲーム差をつけて首位。

「いや~、そうなんよね~・・・
 確かに、カープ、最近は強すぎて、
 面白うないんよね・・・」

俺がそう言うと、トミーは、
さらに怒りを増大させる。

「・・・うっさいわっ!!
 カープファンがそれ言うな!!」

f:id:peraichikun:20190604000656j:plain

 

こんなことを言うと、
16連敗したヤクルトファンに、
怒鳴られるかもしれないが、
実際のところ、
カープファンの俺からしても
そういう思いは、全くのウソではない。
以前にも、このブログで書いたけど、
負けているときは、腹が立つけど、
逆に勝ち続けても、
そこまで面白くないっていう・・・

俺は、大真面目にトミーに語りかける。

「いやいや。あのさ・・・
 人は、映画も、ドラマも、スポーツも、
 普段得られない感動だったり、
 熱さが欲しくて、

 見るんだと思うんよね。
 そういう意味では、
 やっぱり、カープが
 こうも強すぎちゃぁ、

 それほど熱くなれんのよね・・・」

「・・・・いや!それらしいこと
 言ってもダメですよ!!!」

すかさずトミーのツッコミが飛んでくる。

すると、俺と同じく
カープファンのマルオも
横から入ってきて、トミーを煽る。

「いやいや、ワシらも、巨人さんには
 もっと頑張ってほしんですよ~。
 ペナントレースは、ブッちぎるよりも、
 やっぱりこう、もっと・・・
 競り合いたいというか・・・」

f:id:peraichikun:20190604000715j:plain

 

「・・・だから、うっさいわっ!
 この・・・バカ―プファン!!!
 ちょっと前まで、もうカープはダメじゃァ~~
 って言ってたくせに!!」

「え~、そんなこと言ったかいのぉ~?」

マルオは、とぼけている。

「コイツ・・・、まぁ!
 巨人は交流戦で優勝するから!!
 見とけよ!」

そう、今日から
セ・リーグとパ・リーグの
交流戦が始まる。
ここで、ペナントレースの行方が
左右されると言っても過言ではない。

去年の交流戦も、交流戦前は、
最下位だったヤクルトが
交流戦を12勝6敗という強さで制し、
一気に2位まで躍進したし、
カープも、去年は7勝11敗で負け越し、
12チーム中10位で痛い目に会った・・・

例年、パ・リーグの方が強いというのが
定評になっているけど、
(去年まで9年連続で、パリーグが勝ち越し)
実際、どうなるかわからない。

さぁ、どうなるカープ!!!

広島VS西武は、
6/4(火)18:00から、
西武(メットライフ)ドームにて!!!


ちなみに・・・

f:id:peraichikun:20190604000741j:plain

 

1位 広島 (これはもう・・・しょうがないよね)
2位 巨人 (夢のセ・リーグ1,2フィニッシュ!)
3位 ソフトバンク (故障者続出でも強い・・・)
4位 楽天 (浅村入ったのがデカい!!)
5位 日ハム (清宮くんに期待)
6位 西武 (ここらへんに、いつもいる気が・・・)
7位 阪神 (原口選手頑張れー!!)
8位 ヤクルト (さすがに、去年のようには・・・)
9位 ロッテ (挑発ポスターは楽しみだけど・・・)
10位 DeNA (ラミちゃん暴走中・・・)
11位 中日 (高橋周平は好きです!)
12位 オリックス (・・・ごめんなさい!)


マンガ「奇跡の出会い」

今日は、俺のバイト先の
イケメン大学生、タクマのマンガ。
ローランド様ばりのイケメン語録をどうぞ。

f:id:peraichikun:20190324212444j:plain

f:id:peraichikun:20190324212459j:plain

f:id:peraichikun:20190324212521j:plain

f:id:peraichikun:20190324212538j:plain

f:id:peraichikun:20190324212602j:plain

f:id:peraichikun:20190324212614j:plain

f:id:peraichikun:20190324212624j:plain

f:id:peraichikun:20190324212634j:plain


うん。
ザ・チャラ男だな・・・

そんなタクマも、
このあいだ、長いこと想いを寄せていた
サヨちゃんと、無事付き合うことが
できて良かった・・・
(色々と問題もあるようだけど)

もしかして、サヨちゃんにも
この口説き文句使ったんかな・・・?

まさかな・・・。 







謝罪に行きました

俺は、昼前ごろ、
池袋のデパートで買った
お詫びの菓子折りを持って、
“すずたん“から
教えてもらったタツさんの家へ出発した。

菓子折りは、“すずたん“から聞いた、
タツさんの大好物のベルギーワッフル。
でも、あんな強面で、ワッフル好きとは・・・

f:id:peraichikun:20190602032151j:plain

 

タツさんの家は、
予想以上に近くてビックリだ。
俺の家の前の通りから、
3,4本行ったところにあるらしい。

タツさんに、自分のとった
失礼な態度を謝りたい・・・
そうしないと俺は前にすすめない・・・
ような気がする。

20分ほど歩いたところで、
タツさんの家に到着。
見た感じ、どこにでもある
普通の一軒家という感じだが、
ガレージに停めてある
タツさんの愛車であろう
黒のセダンが、ピカピカに磨かれていて
存在感をはなっている。

「ここがタツさんち・・・」

怒ってるかなぁ、
怒ってるよな・・・そりゃぁ・・・
あぁ、なんて言われるんだろ・・・?

とにかく!!何を言われても
平常心を心がけよう。
よしっ・・・
俺は、気合を入れてインターホンを押す。

ピンポーン。
返事がない。
・・・あれ?もしかして、いない?
情けないことに、一瞬
留守であることを願う俺がいる。
10秒ほど経った後、インターホン越しに
低い声で「はい、ちょっと待って」と
声が聞こえる。
ドキドキする・・・

f:id:peraichikun:20190602032206j:plain

 

ガチャ。

現れた上下白ジャージ姿のタツさん。

「あ、あの・・・こんにちは・・・」

「・・・あ、そうきたか~!」

タツさんは、俺の顔を見るなり、
自分のおでこをポンと叩く。

「何?スズキさんから聞いたの?うち」

「はい・・・」

「あんのっ、ジジイめ・・・」

タツさんは、1人でブツブツ言っている・・・

「あの、この前、失礼なことを言って・・・
 突然帰ったことを、一言、謝りたくて・・・」

「あ~、うん」

タツさんは、意外に笑顔だ。
これはいける、かもしれない。

「でも、そんなことしてもムダだよ」

「え?」

「別に謝らなくてもいいしね。
 君がどうなろうと
 俺には、知ったこっちゃないから」

うわ・・・笑顔で、
キツイ事を言われると
逆に怖い・・・
平常心だ・・・平常心・・・

「はい・・・」

「もう、こっちだって別に、
 君と会いたくないよ」

「はい・・・」

平常心・・・平常心・・・

「あのね。さっきから、
 はいはい・・・って。

 はっきり言って、今の君には
 何の魅力もないんだよね」

「な・・・」

にをっ!

ヤバイっ!!・・・キレ・・・
ちゃだめだ!!!!
キレたことを謝りに来たのに、
またキレそうになってる・・・

俺って、いっつもこうだ~
何か言われると、すぐムッとして、
言い返したくなってしまう・・・
そういうとこだよな・・・
でも、もう、ここは勢いしかない!!!

「す、すみませんでした!!!!」

俺は、直角に勢いよくお辞儀をする。

「そうやってさ、謝って、
 自分が許されたかっただけ
 なんじゃないの?」

「え・・・」

確かに、この人の言う事も、
ごもっともかもしれない・・・

俺が黙っていると、
タツさんは、アゴをクイクイっと動かす。

「それ」

「え?」

「そ・れ!」

「ん?」

f:id:peraichikun:20190602032221j:plain

 

そういえば、さっきから、
タツさんの目線が
チラチラと俺の持っている
ワッフルの方に向いている。

「これ・・・ですか?」

「そう。せっかく持ってきたんだから
 置いていきなよ」

「あっ!すみません」

俺は、慌てて
持っていたベルギーワッフルを手渡す。
ワッフルの箱を見るなり、ニヤッとするタツさん。

「おっ!俺の好物知ってんだ~?
 さては・・・
 あのジジイから聞いたな?」

「あ・・・はい」

「うん、ま、じゃぁ、そういうことで」

そう言いながら、タツさんは
ゆっくりとドアを閉める。

フゥ~。
結局、許してはもらえなかったけど
なんとか謝れた・・・

でも、なんだかんだ言って・・・
タツさん、ワッフルが
食べたかっただけなんじゃ・・・

でも、良かった。
“すずたん”に、タツさんの好物聞いといて・・・

タツさんも昔・・・

俺は、“すずたん”に誘われ、
“すずたん”ちへ。
久々に“すずたん”とのサシ飲みだ。

“すずたん”は家に入ると、
早速、台所で、いつもの
おつまみの枝豆の準備を始めている。

俺が、どうしたらいいか
リビングの入り口で立ち尽くしていると、
それに気づいた“すずたん”が、
おもむろに喋りだす。

f:id:peraichikun:20190531014942j:plain

 

「まぁ、若い時は色々あるわなぁ~」

「・・・ホントにすみません」

「いや、そんな
 気にすることじゃないって」

「・・・いや、でも・・・
 あんな帰り方しちゃって、
 場の雰囲気もぶち壊したし、
 タツさんにも
 失礼な事言っちゃったし・・・」

“すずたん”は、
微笑みながら、俺の話を聞いている。

「タツなぁ・・・、
 実は、私、アイツとは

 けっこう、長い付き合いなんだよね」

「・・・そうなんですね」

「アイツ、あんな
 偉そうなこと言ってたけど、

 昔は、アイツこそ、
 相当ちゃらんぽらんだったからね。
 いや、私からしたら
 今もそんなに変わってないけど。
 ハハハ」

「・・・」

「いっつも、目的もなく、
 フラフラフラフラして、
 役者でも、せっかく
 良いとこまで行ってたのに

 ひょんなことで、辞めちゃってね。
 だんだん悪い奴らとつるむ様になって、
 ヤクザの一歩手前まで行ったからね」

「え・・・ヤクザ・・・」

「うん、ホントだよ?
 それで、どうしても
 足を洗いたいって言うから、

 私が仕事を紹介したんだけどね。
 まぁ、それからも大変だったよ~
 まだ見習いの頃に、
 部長を殴ったりしてね・・・クククッ」

昔のことを思い出しながら、
楽しそうに話す“すずたん“。

でも、タツさんに、
そんな過去があったなんて・・・

「まぁ・・・もしかしたら、
 そんな昔の自分を思い出して、
 オノ君のこと、
 黙っていられなかったんじゃないかな?」

「・・・」

そうなのかな・・・

確かに、あの時は、
普段、言われたくないことを
ぐいぐいと、キツイ口調で言われたから、
なんなんだよ!このオッサン!って
自分が批判されたような気持に
なっちゃったけど・・・
よく考えてみれば、
よく知りもしない他人に、そんな熱心に
言ってもらえることって、
すごい有難いことなのかもな・・・
それなのに・・・俺は・・・

f:id:peraichikun:20190531014959j:plain

 

「タツさんの家って、
 この近くなんですよね?」

「え?まぁ・・・そうだけど?」

「教えてください!!」

「良いけど・・・どうするの?」

俺は、自分でもビックリしていた。
まさか、こんな気持ちになるなんて・・・
とにかく、タツさんに会って
あの時の事を謝りたい。


あらオノ君

バイトから帰り道、
自分の家の前を歩いていると、
後ろから声をかけられる。

「あら?オノ君?」

「あ・・・」

f:id:peraichikun:20190530032341j:plain

 

しまった・・・
“すずたん”だ・・・

実は、数日前、ヒロセの舞台を
観に行った後の飲み会で、
突然キレて、帰ってからというもの、
俺は、“すずたん”に会わないように、
会わないように避けていた。

今夜も、ちゃんと鉢合わせしないように、
注意してたはずなのに・・・

“すずたん”は、コンビニの袋を片手に持ち、
足元にいるゲンは、不思議そうな顔をして
俺の顔を見ている。

「あ、すみません・・・」

あんな風に、“すずたん”の友達のタツさんに
キレちゃって・・・
きっと、幻滅しただろうな・・・
正直、“すずたん”に、
会わせる顔なんて無いよ・・・。
俺は、軽く会釈した後、すぐにでも
その場を立ち去りたかったが、
足元には、いつの間にか、
ゲンが擦り寄ってきている。
そして、撫でてくれ、と言うように
前足で、俺の足をカリカリとかいている。

f:id:peraichikun:20190530032400j:plain

 

ゲン・・・
・・・そうだよな。
やっぱ、このまま何も言わずに去るのは
ダメだよな・・・

俺は、ゲンの頭を軽く撫でると、
“すずたん”に思い切って切り出す。

「あの・・・
 この前の飲み会のこと
 なんですけど・・・」

「あぁ、うん」

“すずたん”は、じっと俺の目を見ている。

「・・・ホントに、すみませんでした」

“すずたん”は、頭を下げている俺を、
少しの間、黙って見ている。
え?なに、この沈黙???
うぅ・・・怖い・・・
なんて言われるんだ・・・

俺が、恐る恐る顔を上げると、
“すずたん”は、
ゆっくりと重々しい口調で、
話し始める・・・

「オノ君・・・」

「はい・・・」

「とりあえず、飲もうか」

「え?」

“すずたん”は、持っているコンビニの袋を掲げてニヤッと笑う。

f:id:peraichikun:20190530032416j:plain

 

「立ち話もなんだしね」

「あ・・・じゃぁ、はい」

「あれ~?なんか緊張してる?」

「あ・・・いや」

「ハハ、そんなオノ君見るの、
 初めてだよ~」

そう言って、笑いながら
家の方に歩いていく“すずたん“。

「・・・ハハ・・・」

う~ん、なんだか気が重い・・・
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか
足元では、しきりにゲンが
俺の足に、まとわりついていた。

タクマとサヨちゃんが、どうも・・・

今日は、タクマに会った。

そうだ・・・タクマにも、
あの時の事を謝らなくちゃぁ・・・
ヒロセの舞台の後の飲み会で
キレちゃったこと・・・

「あ、タクマ、あん時は、ごめんな。
 LINEも、いっぱいくれたのに、
 無視しちゃって・・・」

「あー、そんなことよりさ・・・」

そんなことより?!!

f:id:peraichikun:20190527024907j:plain

 

タクマは、かまわず話し続ける。

「サヨちゃんのことなんだけどさ・・・」

「お、おう。なんかあったん?」

「いや・・・それが、また付き合ってるのか
 分からなくなっちゃって・・・」

「え?!」

「いや、どうやら
 サヨちゃんの『付き合う』って

 俺の思ってた『付き合う』と
 違うみたいで・・・」

「ど、どゆこと?」

「それが・・・付き合って
 2週間経つのに、
キスもまだなんだよ」

「え・・・」

うーん、中学生くらいの年だったら、
そういうこともありそうだけど・・・
タクマの今までの経験からしても、
確かに、それは異常事態かもしれない。

「でも、まぁまだ
 2週間でしょ?そのうち・・・」

俺が、そう諭すと、
タクマは、必死に現状を訴えてくる。

「いや!それが!!
 結婚するまでは、キスできないって
 言うんだよ?付き合ってるのに・・・」

「マジ?」

それは、キツイ・・・
でも、タクマは、そんなこと、
耐えられるんだろうか・・・

「まぁ・・・俺が、なんとかして
 サヨちゃんの気持ちを
 変えてやるしかない・・・か!!」

f:id:peraichikun:20190527024924j:plain

 

うーん、タクマは息巻いてるけど。
いかにタクマといえど、
サヨちゃん相手だと、どうだろう・・・

なんたって
サヨちゃんは、
価値観の全く違う宇宙人
みたいなもんだからな・・・。


俺だって・・・

ひょんなことで、俺は、
演劇フリーターのヒロセの
舞台の打ち上げでキレて帰った。
現場にいたヒロセや大学生のマルオや
タクマたちからは、その後、
鬼のようにLINEが来てたけど、
全部スルーしてたから
バイトにも行きづらい・・・

「おい!ぺらいっち!!」

バイト先に行くと、
早速ヒロセが声をかけてくる。

そうだ、ヒロセには、悪いことした・・・
あんなに楽しい場の雰囲気を俺が
ぶち壊したんだから・・・。

「ヒロセ・・・わりぃ」

「ほんまやで!ってか!!
 俺が飲み会の主役やったのに、
 いつの間にか、ぺらいっちが、
 しゃしゃり出てくんねんから!
 んで、いきなり店飛び出してくやろ。
 ・・・どないせーちゅうねん!」

「わりぃ・・・」

f:id:peraichikun:20190527024821j:plain

 

その後ろでは、マルオが
恐る恐る俺の方を見ている

「だ、だ大丈夫ですか?」

「いや、マルオ。そんなに怯えんでも・・・」

「だって、ぺらいちさんが、
 あんな風にキレるなんて
 見たことなかったけぇ・・・」

「・・・そりゃぁ、俺だって
 キレることくらいあるって」

「じゃけど・・・タツさんの
 一体何に、そんなにキレたんですか?」

マルオが、真っすぐな目で聞いてくる。

「そりゃぁ・・・やっぱり
 俺の弱いところを突かれたと言うか・・・
 この年まで就職もしたことないし、
 かといって、やりたいことなんて分からんし・・・
 そこをしつこく聞かれたからさ・・・つい・・・」

「ま、俺も分かるけどな・・・」

ヒロセが、口を開く。

「俺も、これから役者で
 食っていけるか分からへんし、
 いつか彼女にも愛想つかされるんちゃうかって
 ビクビクしてんねん・・・」

「そうだよなぁ・・・結婚するためには、
 やっぱりお金も必要じゃしね・・・」

俺がそう言うと、ヒロセは、しみじみと
つぶやく。

「こんなことなら、夢なんか見んで
 大人しく就職しときゃ
 良かったんかもなぁ~・・・」

「ハァ~~・・・」

俺とヒロセは、同時にため息をつく。

「お前らなぁ・・・なめんなよ!!!」

店長だ。どうやら
横で話を聞いていたらしい。

「結婚をなめんなよ!!
 こちとら離婚したくても、

 させてもらえないっつーの!!!」

f:id:peraichikun:20190527024839j:plain

 

うーん・・・言葉一つ一つに
実感がこもってる・・・

「就職だってな!!就職したら、したで、
 キツイことばっかだぞ???
 本部からは、原価下げろ、
 人件費下げろって、うるさいし。
 ボーナス出ても、嫁に全部取られるし!!」

店長は、思いのたけをブチまけて
去っていった。