ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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ありがとう

まだ実感もあまりないけど、
少しは落ち着いた・・・ので、
あの日の事を書き残しておこうと思う。

ゲンが入院してから3日間、
俺たちは、ゲンの様子を見に
病院に足を運んだ。
タクマやサヨちゃん、ヒロセも時間を見つけて
代わる代わる見舞いに来てくれてたらしい。

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俺とマルオは、“すずたん“と一緒に、
その日も、朝から
ゲンの見舞いに病院に行った。

相変わらず、ゲンとは、
酸素室のアクリル板の小窓越しにしか
触れられなかったけど、先生によると、とりあえず、
腎臓の異常数値が
正常値に戻ってきたので、
もう少し様子を見ましょう、ということだった。

良かった・・・
もう少し時間はかかるかもしれないけど
とにかく、一日でも早くゲンに元気になって
帰ってきて欲しい・・・

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それから、 “すずたん“ちに帰ってきたのが、
午後8時ごろ。
家に着くと、“すずたん“が、カツ丼の出前を
頼んでくれた。

「二人とも、毎日、ありがとうね。
 さぁ!食べて食べて」

「ありがとうございます!」

“すずたん”は毎日、気丈に振る舞ってるけど、
内心穏やかではないのは分かってた。
俺とマルオも、ゲンが入院してから数日は
気が気がでなく、食べ物も
なかなかノドを通らなかった。
でも、やっとゲンの症状も
なんとか峠を越した・・・という感じがして、
カツ丼を3人で、頬張ろうとしていたところだった。

“すずたん”ちの家の電話が鳴った。

ドキッ・・・

病院からは、何かあったら連絡が
来るようになっている。
だから、ここ数日は、“すずたん”ちの電話が鳴ると
毎回、何かあったんじゃないかとビクビクし、
その度に、セールスや営業の、何でもない電話だと分かり
胸を撫でおろしていた・・・

「私が出るよ。・・・・はい、スズキです」

今回も、きっと営業だろう・・・
そう思い、俺はマルオと
明日は、病院に何時に行くか、
話をしていると、隣の部屋から
すずたんの声が小さく聞こえる。

「・・・・はい・・・・わかりました」

戻ってきた“すずたん”は、無理に冷静を
装おうとしているのか、顔がひきつっている。

「ゲンの容態が・・・急変、したらしい」

「・・・・え?!」

「さっき、心臓が止まった、・・・って・・・
 今・・・心臓マッサージをしてるらしい・・・」



・・・・????

頭が真っ白になり、何が何だか分からない。

・・・・え?どういうこと?
心臓が止まった・・・?
昼間会った時には、元気だったのに・・・
数値も正常に戻ったって言ってたのに・・・

 

「フゥ~~~・・・・」

“すずたん“は、椅子に腰かけ、
大きく息をつく。

「とりあえず・・・カツ丼食べて・・・」

“すずたん“も、混乱していたのだろう、
俺たちに、カツ丼を食べる様に促す。

「・・・いや!すぐ病院に行きましょう!」

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俺とマルオが、立ち上がると
“すずたん“も、ハッとして、
ゆっくり立ち上がる。

「・・・うん。行こう」

車を運転している間も、
一秒でも早く病院へ・・・と
はやる気持ちと、
とにかく落ち着け落ち着け・・・と
言い聞かせる自分が
ごちゃまぜになっている。
後部座席からは、
マルオのすすり泣く声が聞こえる。



あぁ・・・やっぱり、だめだ。
思い出すと、辛くなってきたので・・・
この後は、また書きます。