ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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はよう入れ!

バイト後、家に帰ろうとしていると、
家の前になぜかマルオを発見。
なにやらコソコソしている。

「なにしとん?お前」

「え??あ!!ぺらいちさん!」

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突然の声に驚き、
マルオはビックリしている。

「いや・・・ゲンと遊びたい思うて、
 来たんじゃけど・・・」

「いや、この前、
 遊んだばっかりじゃろ?」

ちょっと前まで犬嫌いだったのが、ここまで
犬好きになるのも珍しいな・・・

「で?なんで入らんのん?」

「いや~、どうしようかな~
 思うとったんですよ」

「いや、普通に入ればええじゃん」

「いや、バーベキューで
 来たばっかじゃし・・・」

「何を気にしょんな。はよ入れや」

「ええんですかねぇ・・・?」

「は?ええに決まっとるじゃろ」

ま、俺んちじゃないけど・・・。

「こんばんは~!」

俺たちが挨拶すると、
“すずたん”は、いつも通り笑顔で
迎えてくれる。

「おうおう、今日は
 マルオ君、来たんだ」

「ご無沙汰しとります~」

マルオはペコリとお辞儀をする。

「いや、この前、会ったばっかりじゃろ・・・」

俺がそう言うと、
マルオは、顔を赤くしている。

「あ、そうじゃった・・・」

「アハハ。まぁ、何も無いけど上がりなよ」

向こうからは、すでに、カリカリという、
フローリングを走ってくる
ゲンの爪の音が聞こえてくる。

「わぁ~~ゲン~~~」

ゲンはマルオに飛びつくと、
ひとしきりじゃれ合っている。
そして珍しく、
俺の方にも向かってくる。

「お、おいでぇ~ゲン」

俺が手を広げると、
ゲンは、いきなり俺の顔を
ベロベロと舐めまわす。

「うわぁっ」

あれ・・・確かゲンって嫌な時に、
舐めるって“すずたん”言ってたような・・・
まぁ、いいか。

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マルオとゲンは、
いつものように追いかけっこして
遊んでいる。

「実は、今日は
 ゲンにプレゼントがあるんよ」

マルオは、カバンから
『C』のロゴが入った赤いキャップを取り出す。

「え?!カープのキャップ?!」

俺は叫ぶ。

「そうなんよ。カープ公式グッズの
 ペットキャップなんよ!」

マルオは、そのキャップをゲンにかぶせる。
うん、ゲンには赤がよく似合ってる。

「うわ~ありがとう!でも、マルオ君には
 この前もオヤツ買ってもらったのに・・・」

“すずたん”は俺たちの
懐事情を気にしているようだ。

「いや、ネットで安かったけぇ。
 気にせんといてください。

 それに・・・」

「それに?」

「いや、プロ野球が、
 この前開幕したんじゃけど、

 最近、我らがカープが、ヨワぁて・・・」

そう、カープは、主力の丸選手や
精神的支柱だった新井選手が抜けたせいか、
開幕ダッシュに失敗し、
ここ数試合、散々な負け方をしている。

「今年こそは4連覇、
 んで日本一に

 なってもらわんにゃいけんのに・・・!!!」

マルオは拳を握りしめて熱弁している。

「そこで・・・」

「そこで??」

マルオは、カープのキャップをかぶったゲンを
ヒョイッと両手で高く持ち上げる。

「ゲンを担いで、
 『ゲン担ぎ』じゃぁ~~!!・・・って」

「・・・・・・」

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マルオ渾身のギャグに、
俺と“すずたん”は呆気に取られる。

ゲンも、持ち上げられるのは、
あまり好きではないのか
必死にマルオの腕から下りようとしている。

「ほら、ゲンも嫌がっとるで・・・」

「あぁ・・・」

さて、マルオのサブい
『ゲン担ぎ』が効果を
発揮する時は来るだろうか。

頑張れ!!カープ!!!