ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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届け!!

昨日は、世間が、平成最後だとか、
令和おめでとうだのと騒がしかった。
なんか色んな場所に
大勢の人が集まって、
お祝いをしていたらしい・・・

「っていうか、そんなに祝う事なの??
 みんなで集まって、
 一体、何するんじゃろうか?」

俺は、バイトの帰り道、
隣のマルオに話しかける。

「さぁ・・・?
 騒ぎたいだけなんじゃ
 ないんかのぉ?」

マルオも、あんまり興味無さそうだ・・・。

「そんなことより、ぺらいちさん!
 ワシ、ゲンに会いたい!」

「え?今から??・・・」

そして、俺は、マルオと
2人で“すずたん”ちへ。

「久しぶりじゃぁ~
 ゲン、元気かのぉ~」

「おまえ、そればっかりじゃのぉ~」

「いや~~、ワシの興味は、
 カープとゲンだけじゃけぇ~」

ピンポーン。

“すずたん”ちに入ると、
いつものように、ゲンがダッシュで
マルオを迎えに来る。

「お~~!ゲッンーーーー!!
 元気じゃったかぁ~~」

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玄関でゲンと戯れているマルオを残して
リビングに入ると、“すずたん”がキッチンの方で
誰かと話している。

「あれ?サヨちゃん?!!」

「こんにちは」
サヨちゃんは、軽く会釈する。

「あ~、オノ君、いらっしゃい」

“すずたん”は、そう言って手を挙げる。

サヨちゃん・・・来てたんだ・・・
タクマ、あれから、歌舞伎誘ったのかな・・・?

「そうですか・・・」

「そうだよ~」

サヨちゃんと“すずたん”は、話しながら
キッチンからリビングの方に歩いてくる。

「・・・だから、そんなに悩むことじゃあ
 ないんじゃないかなぁ~」

そう言いながら、サヨちゃんの後ろで
“すずたん“は、俺に目配せしてくる。

あ・・・やっぱタクマのことか?

「・・・どうしたの?」

俺が聞くと、サヨちゃんは静かに喋り始める。

「実は、タクマさんに、歌舞伎に行こうと
 誘われたんです」

「へ、へぇ~・・・」

「ぺらいちさんには、
 前にも話したと思いますが、わたくし、
 歌舞伎は、あまり気が進まなくて・・・」

「・・・うん」

「でも、タクマさんには、どうしても、
 と言われるし・・・」

うん、あんなに大嫌いって
言っていた歌舞伎なのに
悩んでいるという事は、
タクマの熱意は、伝わってるのかも??
なんとか、あと一押し!

「実はさ・・・」

俺はおもむろに話し始める。

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「アイツ・・・サヨちゃんと歌舞伎に
 行きたいって、ずっっと言ってたんだよね~」

「???」
サヨちゃんは、なぜ?
というような顔で見ている。

「それに・・・行くなら最高の席だ!っつって
 一番高い席を予約したもんだから、
 そのために、夜な夜なスゲー,
 バイトしててさ・・・」

「え??」

サヨちゃんは、驚いた顔をしている。

「それで、いっつも青い顔してるから
 働きすぎ!って言っても、
 全然聞かなくてさ・・・」

「それは・・・存じ上げませんでした。
 わたくしには、一般席のチケットを貰ったと・・・」

「あ、そうなの?」

さすがタクマ・・・。

「そっか・・・
 ま、アイツも嫌がると思うから
 この事は、言わないで欲しいんだけどね」

サヨちゃんは、頷いた後、
少し考えると、ゆっくりと口を開く。

「・・・承知しました。
 行かせて頂きます・・・」

「ホントに!!?」

サヨちゃんは、早速LINEで
タクマに返事を送っている。

すると、俺のスマホに即着信が。
タクマからだ。

「あ、ちょっと、ごめん」

俺は、廊下に出て、電話に出る。

『もしもし?!ぺらいっち!!!
 今、サヨちゃんから連絡来た!!』

タクマの喜びが
電話越しからでも伝わってくる。

『おう~良かった良かった!』

『ぺらいっち、今、どこ???
 今からそっち行っていい??』

『え?!いや、今は・・・』

今、来たら・・・さすがに
俺もタクマも、カッコ悪ぃぞ・・・

すると、玄関にいたマルオがゲンを抱えて
話しかけてくる。

「あら?何をコソコソ話しよるんじゃ?」

「あ!しーーー・・・・」

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ワンワンワン!!!
あーー・・・っ!

『あれ・・・?ゲン?』

『いやいやいや、違う違う。
 まだ外にいるから・・・
 今日は、ゴメン』

『おっけー。分かった!
 じゃぁ、また明日!』

ふぅ~~アブね~・・・

「え?誰じゃったんですか?」

マルオは、無邪気に笑っていた・・・。