ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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デート前準備

ついに、タクマは
サヨちゃんと歌舞伎を観に行く。

「ねぇ、ぺらいっち、
 どんな格好して行ったらいいと思う?」

「え?普通でいいんじゃない?」

「う~ん、でもなぁ~・・・」

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タクマは、サヨちゃんとの初デートを
翌日に控え、切羽詰まった様子だ。
恋に関しては、百戦錬磨のタクマが・・・
サヨちゃんがそれほど特殊ということか。

「でも、やっぱ歌舞伎だから、
 袴かな?!」

「いやぁ~・・・それはやり過ぎじゃない?」

「そうかなぁ?」

「あぁ、“すずたん”なら、
 歌舞伎が好きって言ってたから
 そういうの知っとると思うんじゃけど・・・」

「そうなの?!じゃぁ、聞きに行こう!」

そうして、タクマと共に
“すずたん”に聞きに行くことに。
そういえば、つい先日、
ヒロセの舞台のチケットのことで
相談に来たばかりだ。

「こんばんは!」

すると、“すずたん”が、ゆっくりと玄関に出てくる。
その後ろから、ダダダッと音を立てながら
走ってくるゲン。

「おう、よしよし。可愛い奴だ」

俺たちは、ゲンの頭を撫でる。

「あ、この前は、ヒロセの舞台の事、
 ありがとうございました! 
 アイツも喜んでました!」

俺が挨拶すると、“すずたん”は、
笑顔で応えてくれる。

「うん、楽しみにしてるよ。
 今日は、どうしたの?」

すると、タクマが身を乗り出して、
“すずたん”に詰め寄る。

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「教えてください!!」

「ん?何を?」

ポカンとする“すずたん”に
俺は、今日来た目的をざっくりと話す。

「あ~!歌舞伎ね。そっかぁ~!
 明日だったの?」

「そうなんです。
 記念すべき、サヨちゃんとの
 初デートなんです!」

「そっか!それは大事だね。
 だけど、服は、全然
 ラフな格好でいいと思うよ。
 とくに決まりはないし」

「え、じゃぁ、例えば
 Tシャツにジーンズでも?」

「いや、それは、さすがに・・・。
 ジャケットくらいは、
 羽織った方がいいかな~」

「ジャケットかぁ~・・・」

「持ってないの?」

俺が聞くと、タクマは、
落ち着かない様子で
ウロウロしている。

「いや、持ってるけど。
 ちょっと、いかにもって
 感じじゃない?」

「でも、それくらいはしないと・・・」

「あー、なんか緊張してきたぁ~」

タクマは、乙女のように
胸を押さえている。

「いやいや。お前、今まで、
 どんだけデートしてきたんだよ!」

「いや、俺もこんなの
 初めてなんだよー!
 え~と・・・待ち合わせ場所には、
 最低でも1時間前には、
 着いときたいから・・・
 あ~・・・どうしよどうしよ。
 ねぇ、ぺらいっち!どうしよ!!!」

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いいなぁ~。
こんなふうに熱い気持ちに
なることなんて、めったにないから、
ちょっとうらやましくなる。

俺もアンナに恋してた時、
こんな感じだったっけなぁ~・・・

タクマは、見たことないくらい
あたふたしてるけど
どこか楽しそうだ。
グッドラック。