ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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分からん

タクマは、先週の日曜に
サヨちゃんと歌舞伎を観に行った。

俺は、タクマからの
経過報告を待ってたけど、その日は
タクマからは、何の音沙汰も無く・・・
なにかあったのか・・・?と気になっていた。

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俺は、その翌日、
バイト先にタクマを発見すると、
タクマの方から話しかけてくる。

「あ~、ぺらいっち、ごめん。
 連絡しようとしたんだけど・・・
 うーん・・・どう言っていいのか・・・」

「え?何かあったの?」

「うーん、あったというか・・・
 なんというか・・・」

タクマは、いつになく釈然としない。

「どうだったの?歌舞伎は?」

「うん、良かったよ」

「へぇ~、サヨちゃんも喜んでた?」

「うん。まぁ、俺は、
 良く分かんなかったけど。
 とにかく、すげー綺麗だった・・・」

「へぇ~、そうなんだ~!
 やっぱり歌舞伎の衣装とか、
 キレイって聞くもんね」

「もうね・・・肌がキレイで・・・
 いい香りして・・・」

「ん?匂いまで分かるの?」

「そりゃ、分かるよ。隣に座ってるんだもん。」

は・・・?
タクマはアホ面で宙を見つめている。

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「おい!サヨちゃんの話かいっ!」

「は?それ以外に、何があんのさ!」

「いや、歌舞伎を観に行ったんだろ?
 しかもせっかく高い席で・・・」

「いやいや。もうね、
 それどころじゃないって。

 あ~、もう首が痛ぇ~、
 チラチラ横向き過ぎて」

ハハ・・・
まぁ、初デートなんて
そんなもんだよな。
今までは、なんやかんやで俺らがいたけど、
初めての二人っきりだし。

「それで?」

「いや、その後、ご飯行って」

「ほぉ~、それで、それで?」

「まぁ・・・ね?」

すると、タクマは、意味深な笑みを浮かべる。

「え?・・・まさか?!」

「・・・」

「おい!もったいぶらずに言えよ!
 え??え??告白したの??」

「まぁ・・・うん」

「・・・・で?で?で?」

俺は、タクマを問い詰める。

「いや・・・付き合ってください!
 って言ったら、

『はい』って言われた・・・」

「えーーーーー!!!!マジで!
 良かったじゃん!!!」

っていうか、なんだよ!それだったら、
ひと言くらい言ってくれればいいのに。

「まぁ、やっぱり、
 お前の熱い気持ちを

 サヨちゃんも感じたんじゃない?」

「うん」

タクマはなぜか、淡々としている。

「いや!なんでそんなに
 テンション低いんだよ!」

「それがさ・・・
 別れ際にサヨちゃんに

『これからも、良いお友達で』って
 言われたんだよね・・・」

「・・・え?」

「これって・・・どういうことなんだろ?」

「ん~・・・」

「付き合ってんのかな?」

「いや~・・・」

分からん・・・
サヨちゃんの考えてることが分からん。

「別れ際だったから、その時、
 普通に別れちゃって、何も聞けなくてさ。
 昨夜から、モンモンとしてんだよね・・・」

「でも、やっぱり、それは、
 サヨちゃん本人に聞いてみるしか・・・」

「うわ~~!怖えぇ~!!!
 ねぇ、なんて聞いたらいいと思う?」

「それは・・・よくあるじゃん。
『俺たち、付き合ってるよね?』みたいなやつ」

「うわっ、恥ずい!!
 でも、どうしよう・・・
 俺の勘違いだったら・・・怖えぇー!」

タクマは、そう言いながらも、サヨちゃんに
LINEをしている。

「あ、返事きた」

「お、早いね。・・・で?」

しばらくの沈黙の後、タクマが絶叫する。

「・・・・・・付き合ってた!!」

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安堵の表情を浮かべるタクマ。

やっぱ付き合ってたんだ・・・。
サヨちゃん・・・ますます分からん。
タクマ、幸せそうだけど、
これからも毎日、
心揺れ動かされて大変そうだ・・・

でも、ちくしょー。
そんなタクマがちょっと・・・
いや、かなり羨ましい。

俺も、誰かに、
心揺れ動かされたいよぉ~・・・