なんでだろう?
「きみたち・・・」
一昨日は、“すずたん”にサプライズで
白スーツをプレゼント。
「“すずたん”!これ着て、
カラオケ大会頑張ってください!!!」
「絶対優勝じゃぁ~!」
「ありがとう・・・」
“すずたん”の目は、
心なしか潤んでいるように見える。
「ちょっと着てみてくださいよ!」
「え?いいの?」
「もちろん!」
“すずたん”は、隣の部屋に行き、しばらくして戻ってくる。
「どうかな?」
「オ――――!!!!」
「かっちょええです!!!」
「よくお似合いです!!」
「な!な!やっぱ白スーツやろ?!!な!」
ヒロセは、やたらとドヤっている。
「みんな、ありがとう!
サイズもぴったり・・・
良く、分かったね」
すると、みんなが俺の方を見て、
ニヤニヤしている。
みんなの様子を見た“すずたん”は
キョトンとしていたが、俺の顔を見た途端
思い出したのか、大声を出す。
「・・・あ!!!あの時!!
そういうこと!!???」
「はい・・・」
そう、俺は“すずたん”の体のサイズを知るため、
1週間ほど前に、さりげなく“すずたん”に
あれやこれやと、質問していたのだ。
「全然気づかなかったよ~・・・」
「ハハハ!やるじゃん!ぺらいっち!」
タクマは俺の肩をパンと叩く。
すると、“すずたん”は、改めて、
みんなの顔を見回している。
「でも・・・みんな、
こんな老いぼれジジイのために、
なんで、こんなに良くしてくれるの?」
「え?そりゃぁ・・・」
あれ・・改めて聞かれると、何でだろう・・・?
「えー?なんでっスかね?」
「うーん、なんでじゃろぉ?」
タクマもマルオも首を傾げている。
「そんなん簡単やん!
“すずたん”が好きやからやろ~」とヒロセ。
いや・・・まぁそれは、そうなんだけど。
「わたくしも、ココに来て、
“すずたん”さんや、
みなさんと会うと、癒されます」
サヨちゃん・・・
「俺もだなぁ、毎日、大学、
バイトの繰り返しだったからさ。
ま、俺の場合は、あんまり学校行ってないけど。
サークルって言っても飲み会ばっかだし・・・」
タクマも・・・。
「ワシも!広島から、こっち来てから、
友達そんな、できんかったけぇ・・・
ここで“すずたん”と
ゲンに会うのが楽しみなんよ」
マルオも、しみじみ言っている。
そうか・・・
みんな、色んな不安や
孤独を抱えてるのかもしれないな・・・
俺だけじゃなく。
こうやって、“すずたん”に会って、話したり、
応援したりすることで、俺らの方が
知らず知らず救われてるんだな、きっと・・・
すると、“すずたん”は照れ隠しのように
大声でみんなに呼びかける。
「よーし!じゃぁ、とりあえず、
今日は飲むか!!!」
「いいですね!」
「よーし、今日は、
とっておきの赤ワイン出しちゃうよ!
いいのがあるんだコレが」
白スーツに赤ワイン・・・
嫌な予感しかしない。
「“すずたん”赤ワインは、さすがにあかんで~」
「とりあえず!スーツ脱ぎましょう!!!」
「あ、そうだね・・・!」
“すずたん”が着替え終わると、
俺たちは、それぞれグラスを持つ。
「じゃぁ、“すずたん”の
大会での成功を願って・・・
かんぱーい!!!」
「かんぱーい!!」