ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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“すずたん”試着会

先週末、カラオケ大会を直前に控える
“すずたん”の衣装合わせを決行。

俺たちは、“すずたん”を
松山千春に変身させるため、
次々に持参した白色衣装を着せていく。
なぜ白色かと言えば、
youtubeで見た松山千春の動画が
たまたま(?)白い衣装が多かったから。

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まずは、タクマが先輩から
貰ったという白いジャケット。
思った以上に、
“すずたん”が着るのに苦労している。

「う・・・キツイね」

やはり、タクマが着る
サイズの服は“すずたん”には
無理があるようだ。
特に腕回りなんかハチ切れそう・・・
これはナイ・・・

すると、マルオが待ったをかける。

「いや、じゃけどサイズが合っとらんだけで、

 ちゃんとしたサイズを着た想像してみると
 違うかもしれんですよ?」

「そう?」

俺たちは、“すずたん”をマジマジと見つめる・・・

「うん・・・やっぱナイね」

「そうだね」

次は、サヨちゃんとタクマが推していた、
あまり飾らないシンプルな衣装。
白のシャツとジーンズの組み合わせ。

「ほぉ・・・わたくしは良いと思いますが」

「うん、なんか休日のパパって感じでいいかも~」

サヨちゃんとタクマはそう言うが、
なんだか決め手に欠いている。

「でも、やはりサスペンダーを・・・」

そう言って、サヨちゃんは、持参した
サスペンダーを“すずたん”に着させる。

うん・・・・

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「じゃぁ、次は俺の番やな!ハイ!」

ヒロセは、紙袋から真っ白のスーツを取り出す。
わざわざ、知り合いの衣装さんから
借りてきてくれたらしい。

「絶対ええで~!!“すずたん”!!」

みんなの期待の眼差しの中、
“すずたん”はおもむろに白スーツを羽織る。

「オ、お~~~・・・」

白いスーツって、誰が来ても
ガラ悪い感じにしかならないと思ったけど、
案の定、ガラ悪い・・・

「さ~ら~に~!!」

ヒロセは紙袋から、色眼鏡を取り出す。

「松山千春と言ったらコレしかないやろ。
 はい!ちょっと“すずたん”これ着けて」

“すずたん”はヒロセに言われるままに、
色眼鏡をつける。

「どうかな?」

「最高!!!ブラボー!!!!」

ヒロセは手放しで絶賛しているけど・・・
完全にチンピラヤクザの完成だ。

「ええ威圧感しとるわ~~!」

いや、果たして威圧感はいるだろうか・・・
“すずたん”も、どうも納得がいかない様子。

「いや~、ちょっとこれ
 完全に危ない人だよ~。

 怖がられるのはちょっと・・・」

じゃぁ、あとは・・・俺の持ってきた
白タートルネックのセーターだけだ。
俺の思い出のセーターに“すずたん”が袖を通す。
タクマのジャケット同様、
俺のぺらぺらサイズの服だから
“すずたん”は少し窮屈そうだし、
丈が長すぎるけど・・・

「どうかな?」

「いや~~白スーツの方がええて!!」

ヒロセは譲らない。

「あら・・・?でも、
 なんだか一番しっくりきている、かと」

サヨちゃんにそう言われると、
ちょっと複雑だけど・・・

「でもこれ良いね。ねぇ?」

「うん!ワシもなんかええと思う!!」

タクマとマルオも賛同するが、
ヒロセも食い下がる。

「え~!じゃぁ・・・
 せめてこの眼鏡だけは!!!」

ヒロセは、“すずたん”に
色眼鏡を付けるよう懇願する。

「え~~・・・これは・・・」

そう言いつつ、しぶしぶ
色眼鏡をかける“すずたん”。

「あれ?良くない?」

「いや、ええですよ!コレ!」

「せやろせやろ?やっぱ眼鏡ええやろ??」

確かに、白スーツのヤクザ感が消えて、
マイルドになったからか、
色眼鏡が良いアクセントになっている。

「どうです?“すずたん”?」

姿見をのぞきこむ“すずたん”。

「うん・・・!なんかこれなら、
松山千春になりきれるような気がするね。」

「よーし!!じゃぁ、これでいこう!!!」

こうして、“すずたん”の衣装は、
白タートルネックに色眼鏡に決まった。

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「え?じゃぁ、オノ君
 このセーター借りてイイの??」

「え・・・あ、はい」

“すずたん”に新品を買ってあげるのは、
サプライズだ!