関ジャムカラオケ講座
「明日、“すずたん”さんちに行きましょう!」
昨日は、珍しく、マルオから“すずたん応援部”のLINE
へ発信があり、マルオとサヨちゃんと俺で
“すずたん”ちに集まることに。
「もぉ~、ゲンちょっちょっとぉ~」
いつものように、ゲンはマルオ
に抱きついてハァハァしている。
でも、犬が大の苦手というマルオも、ゲンには
ちょっと慣れてきたようだ。
「どしたんマルオ?急に。
もしかして、ゲンに
会いたくなったん?」
「いや~この前、ゲンと2人で
留守番しとった時も、
大変だったんじゃけ・・・」
「ほぉ・・・どのように?」
サヨちゃんは、興味津々だ。
「あの後、二人っきりになったら、
さらにずっと追いかけまわされて・・・
オヤツを投げても、
拾ってこっち来るし・・・」
「ハハハ!マルオ君、
私より気に入られてるよ。
すっかりゲンの専属パートナーだね!」
「え~、勘弁してくれ~やぁ~~」
そういうマルオも、少しだけ
嬉しそうなのは気のせいか。
「で、今日はどしたん?」
俺が聞くと、マルオは、
さらに嬉々とした表情になる。
「へへへ、それが、ワシ、
カラオケ上達法を
知ったんじゃわ~」
「ほぉ・・・」
「なんか昨日、“関ジャム”って番組で
プロが教えるカラオケ上達法を
やっとったんですよ」
「なにそれ?!」
「関ジャニがやっとる番組なんじゃけど・・・」
「へぇ~ええじゃん!どんなんがあったん?」
「ちょっと待ってくださいよ・・・」
マルオは、メモを取り出し読み上げる。
「あ、そうだっ!コレじゃコレじゃ!
“タ行”と“カ行”の前には、“っ”をつける!!」
「ほぉ・・・」
「なんじゃそりゃ」
「あと、“マ行”と“ナ行”の前には、“ん”をつける!
それだけで、躍動感がでるんじゃそうです!!」
「うーん、ちょっとよう分からんなぁ・・・」
「え~とじゃね・・・例えて言うなら、
外国人が一生懸命に
日本語を喋る感じじゃそうです」
「いや、もっとよう分からんわ」
「う~~ん。番組見てもらった方が早いんじゃけど・・・
あっ、そうじゃ!
“およげたいやきくん”の歌い方を
イメージしてもらえば分かりやすい
とも言っとったわ・・・」
すると、いきなりサヨちゃんが反応する。
「あーーー!」
「え?え?どしたのサヨちゃん」
「いえ、なんとなく分かりました。
ですから・・・んんっ。失礼。
♪んまっいにっっち、んまいっにっっち
という感じでしょうか」
「そうそう!!!それじゃそれじゃ!」
いや~、まさかサヨちゃんが、
“およげたい焼きくん“を歌うとは・・・
しかもちょっと似てるし。
すると、それを聞いていた“すずたん”も
早速やってみる。
♪んまっいにっっち、んまいっにっっち
ぼっくらは ってっぱんのぉ~
「なるほど~でも、
それ松山千春の“季節の中で”に使えるん??」
「ええ!なんでも使える言うとりました!!」
「じゃぁ、やってみよう!んんっ、あ~~~
♪うっつむっきっかっけっったぁ~
あんなったんのんまえをぉ~~~
し~~ずっっかに~~
っとっきは~な~が~れ~
ど、どうかな?」
「お~~・・・・」
「ん~・・・ちょっと強調し過ぎなんかのぉ?」
「やり過ぎは、何でもいけませんね・・・」
サヨちゃんがそう言うと、
マルオも不穏な空気を察知したのか
急いでメモを取り出す。
「・・・いや、まだあるんよ!!!
え~と・・・“語尾の息を漏らす”!!!」
「は???」
「抑揚を出すために、語尾をあえて
息を漏らす感じにすると、
なんとも悲しい感じになるんじゃ!」
「・・・と言うと?」
「え~とじゃね、これは
尾崎豊の”I LOVE YOU”で
やりよったんじゃけど・・・
♪アイラ~ビュ~~
のとこで
♪アイラ~ビュゅふぅぅ~
って息を漏らす感じで」
「なるほど~」
早速“すずたん”も実践。
♪うっつむっきっかっけっったぁハァ~
あんなったんのんまえをぉホぉ~~~
し~~ずっっかにぃヒ~
っとっきは~な~が~れぇヘ~~
「お~~・・・」
「やはり、やり過ぎはなんでも・・・」
「いや!!!まだまだあるんじゃ!!!!
え~と・・・」
マルオは焦ったように、
メモをペラペラとめくる。
「あ!あった!!
マイクは!!!床に対して
平行に持つと音が入りやすいそうじゃ!!」
「お~~!!その情報が一番有益かも!!」
「え~~~」
「ウソウソ(笑)」
「確かに、“すずたん”さん、いつも
マイクを縦にして、
口の横に付けて歌っていますね」
サヨちゃんがそう言うと、“すずたん”も
恥ずかしそうに笑う。
「だって、松山千春と言ったら、
この持ち方でしょ・・・
いやー、でもマルオ君、
色々調べてきてくれてありがとうね!」
「いえいえ!」
うん、どれも確かにやり過ぎはいけんけど、
練習次第で、使えるスキルになるかも!!!
あとは、練習次第!!!