カラオケ大会本番①デュエット
“すずたん”のカラオケ大会
本番から一夜明け・・・・。
いやぁ~、疲れた・・・
もう一日中、緊張しすぎと、
声の張り上げすぎで。
今回は一日の出来事が濃密過ぎたので、
2~3回に分けて、書こうっと。
まずは、タクマとサヨちゃんの
デュエットから。
デュエットの部は午前中なので
みんなで、会場である地区内の
中規模ホールに朝から集まる。
どうやら、大部屋だが、
いっちょ前に控室まであるらしく、
タクマとサヨちゃんの2人は
先に行って準備しているはず。
控室である大部屋に入ると、
瞬間、俺たちに視線が注がれる。
当然だけど、ほとんどお爺さんばっかだ・・・
「よっス!!!」
「タクマ・・・それ、衣装?」
紺色の甚平を着たタクマが
ストレッチをしながら答える。
「うん。サヨちゃんが着物っていうからさ」
「へぇ~、着物と甚平ね。ええやん和風で」
とヒロセ。
「やっぱイケメンは何着ても、
イケメンじゃのぉ~」
マルオは、羨ましそうにタクマを見る。
「タクマくん頑張ってね!」
“すずたん”がタクマに向かって、
ファイティングポーズをとると、
タクマもポーズで返す。
「任せなさいって!
ダブル優勝、頂きっしょ!」
タクマを笑顔で見送り、
俺たちは、客席で2人の出番を待つ。
タクマとサヨちゃんは、
「銀座の恋の物語」で出場する予定。
確か後半の方だと言ってたはず。
っていうか、この二人、
練習しとったのか?
2人で練習した姿なんて
ほとんど見とらんけど・・・
しばらくすると、タキシードを着た
司会のオジさんが舞台に出てくる。
「では、一組目の登場です!」
登場したトップバッターのお爺ちゃんとお婆ちゃんは、
俺の良く知らない演歌を歌って、舞台からハケて行った。
それから数組が歌っていったが、
ほとんどの曲、知らんし、よう分からん・・・
パンフレットによると、
次が二人の番・・・。
「はい、ありがとうございました!
それでは、次に参りましょう!次の曲は・・・
『銀座の恋の物語』です!」
きたっ!!
ステージの袖から、
紺色の甚平を着たタクマと、
赤い着物を着たサヨちゃんが登場し、
お辞儀する。
めずらしく若い出場者に
会場内からは、どよめきが。
「へぇ~、なんか様になっとるやん」
ヒロセが言うと、
「日本舞踊やってたからね。サヨちゃんは」
と“すずたん”は、どこか誇らしげだ。
うん、確かに立ち姿とか、やっぱりキレイだ・・・
♪ 心の底まで~
しびれるような~~~
しかも、うまい!!!
サヨちゃんの歌に、会場からも
パチパチと拍手が起こる。
♪ 吐息がぁぁぁ~切ないぃぃ~
囁きぃだからぁぁ~
おっ・・・・。
対するタクマは、いつも通りの
艶めかしいhyde(ラルク)
のような歌い方。
マイク持つ手の小指も立ってるし・・・
アレンジのし過ぎで、
もはや原曲の原型をとどめていない。
「いや~、浮いとりますね・・・
タクマさん」
とマルオ。
「サヨちゃんは、最高なんやけどなぁ~・・・」
ヒロセも、ボソッと呟いている。
♪ とうきょ~うでひ~と~つ
ぎ~んざでひ~と~つ
わか~い2人が~初めて逢った
ほんとの恋の~物語り~~
タクマは、サビでは、
無駄に激しく動き回っている。
そんな踊るような
激しい歌じゃないんだけど・・・
パチパチパチパチ
歌いきった2人は、客席にお辞儀をして
舞台袖に向かっていく。
タクマは満面の笑みで、客席に手を振っている。
「アイツ・・・
自分らの優勝を信じて疑ってへんな・・・」
ヒロセは、苦笑いを浮かべている。
その後、また数組が歌ったけど、
ひいき目なしに見ても、
タクマたちが一番印象に残ったのは確かだ。
良くも悪くも・・・うん。
それが吉と出るか凶と出るか・・・。
デュエットの結果発表は、
ソロが終わった後、まとめてやるらしい。
昼休憩を挟んで、
いよいよ次は、ソロ。
“すずたん”頑張れー!!!