みんなでワイワイ?
「おーい、マルオ!
大家さんが来てええってよ」
「ホンマですか??ヤッター!!!」
「おいおい・・・俺が!!
許可もろうてやったんやで~」
ヒロセはドヤ顔で腕組みしている。
「ヒロセさん・・・恩に着るけぇ!」
よーし、メンバーが一人増えたところで、
もう大家さんのカラオケ大会の
本番まで1か月ちょっと。
でも、選曲が松山千春の
『季節の中で』に決まったくらいで、
練習らしい練習あんまり出来てないからな・・・。
「よーし、じゃぁ、早速、
ヒロセ、次の練習なんじゃけど・・・」
「おうっ!まずは、大家さんに
腹式呼吸を習得してもらわな!
大家さん、腰痛持ちやから、
それにも効くで」
「へぇ~さすが元役者!」
「アホォ!!現役や!
げ・ん・え・き!名優の卵や!」
俺とヒロセの会話に
マルオも笑顔で
ウンウン頷いている。
「あと、高い声出すために、
リップロールもやらなな」
「リップロール?」
「これや」
ヒロセは、唇を尖らせ、
ブルブルと震わせる。
「あ~、小っちゃい時に
よくやったやつ!」
「あ~~、せやけど、
あと1か月しかないんやなぁ。
まぁ・・・何もしいひんよりは
マシやろうけど」
「そうじゃね~本番まで
継続してもらうように伝えとくわ」
「マルオもなんかできることせえよ!」
「・・・はい!」
ん?
ふと横を見ると、
マルオが笑っている。
「で・・・これって、
みんなで何をしよるんですか?」
「はぁぁぁ???おまえ、なんのために
俺らが集まっとると思っとったん?」
「いや・・・大家さんと・・・
ワイワイ???」
おいおい・・・マルオ、
何にも知らんかったんか・・・
「アホぉ!!!ちゃうわ!」
「すんませ~~ん!」
「このプロジェクトはなぁ・・・」
プロジェクトって・・・
そんな大層な・・・
ヒロセは、マルオに
大家さんの家に
集まるようになった経緯や、
大家さんがカラオケ大会で入賞を
目指していることを話す。
「まぁ、その合間に、
みんなで一緒に飯作ったり、
食ったりするんや!
でも、目的はあくまで
大家さんをカラオケ大会で
入賞させることやで!!」
ハハ、最初、ご飯のことしか
頭になかったヤツがよう言うわ・・・
とにかく、何にも知らないマルオも
プロジェクト(?)の一員になった。