ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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俺の大家さんが人気の理由

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今日は、バイト後、ヒロセと
大家さん家に向かう。

「俺、大家さんち来んの始めてやわぁ~」

「え?そうだっけ?」

でも・・・まさか、こんなに、
大家さん家に、人が来たがるとは。
ここんとこ、すごい頻度で
大家さん家に集まってるような気がする。
でも・・・いくら俺たちが居心地いいからって
毎日のように大人数で押しかけてもな・・・。

まぁ、大家さん優しいから、今は
来るもの拒まずで、受け入れてくれてるけど。
案外、無理してる部分もあると思う。
大家さんだって、
ちょっとは、一人の時間が欲しいと思うし。

俺だって、たかだか数日間、
派遣社員のハマーンが居候に来ただけで、
ストレス溜まりまくりだったもんな・・・

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ピンポーン

大家さん家のインターホンを鳴らすと
聞き覚えのある声が。

「どちら様でしょうか?」

・・・サヨちゃん?
また来てんのか。

「あ、オノです」

「あぁ。どうぞ、お入りください」

「いたぁぁぁぁぁいっっっ!!!」

ん???
大家さんの叫び声・・・

「え?ココっすか?」

え?タクマの声・・・
あいつもいるのか?
でも、な、なにしてるんだ・・・?

「お~、オノ君ぅぅん・・・お疲れぇぇぇぇ」

リビングに入ると、サヨちゃんと、
床にうつ伏せになった大家さんに
またがっているタクマが。

「タクマ・・・え?なんで?」

「あ、ぺらいちさんじゃないですかぁ~。
 あれ?もしかして、この前のこと
 まだ気にしてます?大丈夫っすよ!
 俺はもう、怒ってませんから~」

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・・・いや、俺が
怒ってたんだよ!!!

「・・・で、何してんの??」

「マッサージっすよ。フーンっ!」

「あっ!いっ!たっ!!・・・
 ちょっと、最近腰が痛くてね・・・
 うっ!イタっ!!」

大家さんは悲鳴を上げている。
すると、横で見ていたサヨちゃんが
タクマに指導している。

「ちょっと失礼致します。
 押すときは・・・点ではなく、
 面で押すと良い、かと」

「へぇ~、さっすがサヨちゃん!
 プロは違うな~」

「あぁ~気持ちいい~~
 いやぁ~~、マッサージ資格持ってる
 サヨちゃんがいてくれて助かったよ~~」

「いえ、そんな大層なものではございません」

まさかサヨちゃんにそんな特技が・・・

そうだ・・・マルオの事、
大家さんに相談しなきゃ。

「あのぉ・・・大家さん」

「んん?なに?」

「あのぉ・・・もうすでに、
 こんなにいっぱい人がいるのに
 なんなんですけど・・・
 ココに来たいって言ってるやつがいて・・・」

「うん、いいよ」

「え?いいんですか?」

「そりゃぁ、こんなとこに来たいって
 言ってもらえるんなら光栄だよ」

「でも、これ以上来たら
 迷惑じゃないですか?」

「全然、迷惑じゃないよ~。
 カラオケの練習も
 多い方が楽しいし」

「でも・・・」

「いやいやホントに逆に助かってるよ。
 最近ゲンの散歩行くのもしんどいから、
 サヨちゃんにも、よく行ってもらうしね。
 それに、この家にこんなに
 若い人の声が溢れるのは、
 何年ぶりだろう・・・
 タクマ君にもマッサージしてもら・・・
 がっ!!イタっ!!」

すると、どこからか、柴犬のゲンが
テクテクと俺の前に歩いてきて、
お腹を見せてゴロンと横になる。
俺がポカンと見ていると、
横からサヨちゃんの声がする。

「お腹をさすってあげると喜ぶ、かと」

「へ?あぁ・・・」

サヨちゃんに言われた通り、
お腹をさすると
ゲンは気持ちよさそうにしている。
それを見てみんなが笑う。

「アハハ!ゲン笑うてるみたいやで!」

「ホントだ!」

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あぁ・・・なんなんだろう。
この暖かい空間は。
大家さん家に来ると、不思議と
普段抱えてるモヤモヤとかが
薄れていく・・・。

俺も含めて、みんなが
大家さん家に来たがる
理由がなんとなく分かった気がした。