いきなり鍋
昨日は、大家さんからの要請で
スマホの使い方を教えていたけど、
大家さんの間違え電話のせいで、
電話が鳴りやまず、大変だった。
結局、スマホの設定が
昨日だけでは終わらなかったので
今日もバイト後の夕方、大家さんの家に。
「今日も電話凄かったよ・・・」
「やっぱりそうですか・・・」
「自分では、
かけたつもりないんだけどね~」
ピンポーン。
誰か来た。
インターホンに出ると、画面越しに
この前、カラオケで会った
サヨちゃんが立っている。
「大家さん、こんばんは」
あれ?サヨちゃん・・・
「新潟の祖母から、
大量に野菜が送られてきたので、
大家さんに食べて頂けたらと・・・」
入ってきたサヨちゃんは、
両手にビニール袋一杯の野菜を
抱えている。
白菜、大根、ニンジン、キノコ類などなど、
もう片方の袋にはたくさんの里芋が。
「も~、サヨちゃん、そんな、いいのに~」
「いえいえ、大家さんには、
お世話になっておりますので」
「あー、でも、ありがとうね!」
「あ、それと昨日、大家さんに、
お電話頂いたのですが、
何か御座いましたか?」
俺は大家さんと顔を見合わせる。
「いや、それは、たぶん
間違え電話だと思います・・・」
「さようでございましたか」
バツが悪そうな大家さんは、勢いに任せて
急な提案をする。
「そうだ!!こんなにりっぱな
お野菜ももらったことだし!
鍋でも作りますか!ねぇ!?」
「いいですね!何鍋にしましょう?」
大家さんは、サヨちゃんに好みを聞く。
「サヨちゃん、何鍋がいい?」
「・・・そうですね。
キムチ鍋などいかかでしょう?」
おっ、辛いのイケるんだ?
なんとなく意外・・・。
「よーし、じゃぁキムチ鍋にしよう!」
「じゃぁ、俺野菜切りますよ」
「待て待て、まずは材料を買ってこないと。
豆腐と肉と・・・あとネギ」
「じゃぁ、わたし、買って参ります」
そして、なぜだか
3人で鍋をすることになった。