大家さんからの鬼電
バイトの休憩中、
スマホを見てみると、
大家さんから着信が3件もあったので、
急いでかけ直す。
「はい。もしもし。どうしました?」
「・・・ザ・・・ザーーーー・・・」
応答がない・・・
「もしもし?もしもーし!」
しばらくすると、大家さんの声が。
「・・・ザーーー・・・あれ?・・・ん?」
「あ、もしもし?大家さん?」
「あー、オノくん?」
「はい。そうです。
なにかありました?」
「・・・ん?いや?」
「いや、電話さっき
もらったんですけど・・・」
「あれーー?電話かけてた?
ごめんごめん。
スマホ?に変えたんだけど、
中々これの操作に慣れなくてねぇ~」
「あぁ、そうなんですか」
「オノ君、今日、夜空いてる?」
「あ、まぁバイトの後なら・・・」
「ちょっと悪いんだけど、
スマホの使い方を教えてくれない?」
バイトを終え、
大家さんの家に着くと、
ちゃんちゃんこを着てコタツに入り、
スマホと睨めっこしている大家さんが。
そばではゲンが寝ている。
「おー、ごめんごめん、
寒かったでしょ。」
「いえいえ。
スマホに変えたんですね~!」
「うん。前のケータイが
壊れたから、ついでにね。
そしたら、もうよく分かんなくて・・・」
「どれどれ・・・え?!」
大家さんのスマホを見ると
着信が8件も入っている。
大家さん・・・
まさか俺にかけたみたいに、
色んな所に電話したんじゃ・・・
「オノくん、メールは、どこで送るの?」
「あ、それは・・・コレ・・・ですね~」
「ふんふんふん・・・」
すると大家さんのスマホに着信が。
トゥルルルル
「また電話だ!」
大家さんは面倒くさそうな顔をして
スマホをポイっと放り投げ、
全然電話に出ようとしない。
「もう、今日は電話ばっかりだよ。
操作しようとすると、
かかってくるんだよ」
トゥルルルルルル
「ほら!まただ!!!
いいかげんにして欲しいよ!」
いいかげんにして欲しいのは、
こちらの方・・・
これからまだ、鬼のように
電話がくる気がする・・・。