惚れやすい
「ぺらいっち~~!!!」
最近やたらとタクマが絡んでくる。
そしてやたらとテンションが高い・・・。
「なんか元気だね・・・」
「え??分かるぅ~~?」
こいつのことだ・・・
元気になるのは、たぶん、
というか絶対女だ・・・
「サヨ・・・ちゃん?」
「バレたぁ?」
サヨちゃんとは、
この前の大家さんとのカラオケで
一回会っただけの女子大生。
こいつ惚れやすいにも程があるだろ・・・
「ねぇねぇ!今度いつ?」
「え?なにが?」
「もぉっ~~!分かってるくせにぃ~~」
タクマは、くねくねしながら答える。
キモイ・・・
「え?本気で好きになったの?」
「え?まぁ~、好きっていうかぁ、
カワイイじゃん!」
カワイければ、だれでもええんかい・・・
でも、カワイイと言うよりは、
どちらかといえば、キレイって感じだよな。
「でも、あの子、
かなりガード固そうだよ。
なんか箱入り娘って感じだし。
お茶の水でしょ・・・」
「へぇ~そうなんだ!
確かに知的な感じはしたよね!!
あぁ~うんうん・・・
可愛かったなぁ~」
タクマは、目をつぶって
うんうん頷いている。
「そんなにいいかなぁ・・・」
俺の第一印象は正直、
かなりネガティブだった。
言動があまりにも畏まりすぎて、
変なヤツ・・・というか。
冗談とか一切通じなさそうだし・・・
「それがいいんじゃん!
そのミステリアスな感じ。
何が出てくるか分かんない感じ!!
フゥ~!」
タクマの印象は超ポジティブ・・・
どうやらタクマの次のターゲットは
サヨちゃんに決まったようだ。
まぁ、こいつのことだから
すぐターゲット切り替わる可能性大だけど。
でも、タクマのように惚れやすいのは、
羨ましい・・・
俺なんか、なかなか、
人を好きになれない・・・
失恋は、めっちゃ引きずるし。
「でも、タクマって
ホント惚れやすいよね」
「そうかなぁ~?」
「だって、俺なんて
そんなに簡単に人を好きになれんもん」
「いやいや、ぺらいっちは、
失恋して傷つくのが
怖いだけでしょ」
・・・うーん、
確かにそうかもしれん。