去り際
深夜、バイト帰り、
家に入ろうとすると、
どこからかヒソヒソ声がする。
「オノ君・・・、ちょっと話が」
大家さんだ。
なんだか神妙な顔をしてる。
でも話???なんだろう。
「オノ君・・・誰かと住んでるの?」
「え?」
「いや、昨夜、なんかオノ君と
男の人の声が聞こえたから」
やべ・・・
まじか・・・大家さんに、
俺とハマーンの奇声
聞かれてしまったのか・・・
「あ、それは」
「いやいや!私は、そういうのは
理解があるつもりだから!!
愛に性別は関係ないからね!!」
「いや!ちが・・・」
「まぁ、オノ君、若いから、
ある程度しょうがないけど、
その・・・夜の営みは、ほどほどにね」
「いや、だから」
大家さんは、分かっているという風に
俺の肩をポンポンと叩く。
うわ・・・完全に勘違いされてる・・・
こりゃ、もうホントにそろそろ限界だな。
ハマーンは、今日も家探すと言って
朝早く出かけて行ったけど・・・
まだ帰ってきてないってことは、
ダメだったんだろう。
そりゃぁ、ハマーンにも
事情があるんだろうけど・・・
ずっとここに居座るつもりだったら、
たまらない。
別の方法を探してもらうように
言うしかないか。
家に上がり、
「ウォーキングデッド」見ようと、
パソコンを開くと、その横に、
なにか封筒みたいなものが置いてある。
『オノへ
今日、家見つかった。ありがとう』
封筒を開けると
2万円ほど入っている。
ハマーン・・・
でも・・・やっと出て行ってくれた!
ハァ~~~!!
ヤッターーーーー!!!
もう、夜、イビキや寝言や歯ぎしりに
悩まされることもないし、
ゾンビにのしかかられることもない!
これで、、、やっと
一人でゆっくり
「ウォーキングデッド」見放題だ!
お、そうだ。
もうヘッドフォンも必要ないんだ。
ふんふん。
見終わった・・・
ゾンビこえぇぇぇ~
・・・でも、なんだろ。
・・・・なんか・・・つまんない