国際協力inスーパー その①
バイトの帰りに
家の近くのスーパ―に立ち寄ると、
店内に小さな女の子の泣き声が聞こえる。
「ママ――――!!!」
「もう、あれは無理よ。
あきらめなさい!」
隣のお母さんは、あきれ顔。
よく見ると、女の子は、
白いプラスチックの
棒のようなものを持っている。
あっ・・・
女の子の頭上には、
赤い風船がポンポンと天井をついている。
風船が棒から外れて、
浮いてっちゃったようだ。
「ママ―――――!!」
女の子は、しきりに
お母さんの方を見て、訴えている。
う~ん。風船かぁ・・・
確かに俺も小さい頃は、
宝物みたいに思ってたよな・・・
「ママ――――!!!
ママ―――――!!!」
「もうっ、静かにしなさい!」
「イヤー――――!!」
響き渡る女の子の泣き声に、
周りのお客さんたちは
ちょっと迷惑そうだ。
ここで、スッとジャンプして
取れたらカッコイイけど・・・・・・
あの高さは、ヒョロっと
背だけは高い俺がジャンプしても
ちょっと届かなそうだ。
かわいそうだけど・・・
そう思って、見ていると、
肌の黒い東南アジア系の
男性外国人店員が
風船の下にササッと脚立を持ってくる。
名札には、「アクバル」とある。
しかし、言っちゃぁ悪いが、
このアクバル、背があまり高くない・・
しかも持ってきた脚立は、
1メートルもない小さい脚立だから、
アクバルが思いっきり手を伸ばしても、
当然届かない。
側で目を輝かせて
見ていた女の子はガックリ。
やっぱり。
その脚立じゃ、無理だろ・・・・
すると、脚立から降り立ったアクバルが、
俺に向かってこっちに来いと
手招きしている。
いや、その脚立じゃ、
俺だってムリだよ・・・
そう思いつつ、近づいていくと、
アクバルがしゃがめという
ジェスチャーをしてくる。
え?肩車しろってこと?
なにコイツ・・・
その時、俺は、
正直ムッとしてしまった。
なんだその態度・・・
俺は、アクバルにチェンジを申し出る。
お前が下になれと・・・
しかし、アクバルも首を横に振り、
断固として応じない。
おいおい。自慢じゃないけど、
明らかに俺の方が
ヒョロくて、力ないだろ。
なんで俺が下なんだよ!!
「ママ――――!!!」
女の子もまだかまだかと待っているし、
もはや、スーパー中の注目が
俺たちに集まっていた・・・
あっ!!
ちょっと誰か来たので、、、
この続きはまた明日!!!