それぞれの人生
1年ぶりに会った大学時代のダチ、
リョウさんとヒガシと共に、
亡くなったタカの墓参りを済ませた後、
ヒガシの嫁と2人の子供は、嫁さんの実家に預け、
俺たち3人に。
俺とリョウさんは、ヒガシの嫁が
見えなくなったのを確かめると、
目配せする。
「コノやろーー!!ヒガシ!!!」
リョウさんと俺は
代わる代わるヒガシの薄くなった頭を
撫でまわす。
「あ、ちょっとヤメロ!」
ここまでくると、
イジらない方が失礼ってもんだ。
「お前、なんでそんな
ハゲ散らかしとるんじゃ!!!」
「そうなんだよ~。きたよ。ついに。
俺の爺ちゃん両方ハゲてたからな~~・・・」
ひとしきり、ヒガシの頭をイジッた後は、
大学時代を思い出すように、3人で
ボーリング、バッティングセンター、
カラオケ、飲み、とバカ騒ぎを続ける。
しかし、大学時代とは違うのは俺らの体力。
「ハァ…俺らも年取ったのぉ・・・」
「もう、飲めん・・・」
「帰るか、ぺらん家に」
そして、3人で
俺の狭い家に泊まることに。
「あ~~、もう眠い・・・寝る」
ヒガシは、コタツに入るとすぐに
イビキをかきながら眠りにつく。
グゴーーーー・・・グゴーーーー
「うるせ~・・・」
「しっかし、寝るの早えーなぁ」
昔なら、こうなってからも、
夜な夜なデッカい夢語ったり、
くだらん話を延々と
話したりしよったのになぁ・・・
「俺らも寝るか・・・」
「おう・・・」
そう言って、布団をかぶったものの、
久々に会ったのに、すぐに寝たら、
なんだかもったいないような気がする・・・
「明日早う帰るんじゃろ?」
「おう、次の日も仕事だからな」
「学校か~~、どうなん?教師?」
「おう・・・まぁまぁだな。
部活の顧問もやってるから休みナイよ」
「そうなんじゃ。バリバリの教師じゃの~」
「いや~~まぁ、つまらんよ。
別にやりがいはあんまり無いしなぁ~・・・」
「え・・・そうなん?」
「うん、転職したいわぁ~。
でも嫁も子供もいるから
すぐには無理だけど。今度家も買うし・・・」
「そっかぁ・・・」
・・・うーん。安定した収入もあって、
カワイイ嫁さんと子供もいて、
俺から見たら、羨ましいことだらけの
リョウさんも、実際、色々大変みたいだ。
ヒガシはハゲ散らかしとるし。
タカは・・・もう、いない。
なんか俺だけ、金もないし、
女も子供もいないし、
人生外れたような気がしとったけど、
人生って、それぞれなんだな・・・
大学卒業から約10年・・・
みな、それぞれの道を必死に歩んでる。
さぁ、俺も頑張るぞ!