ゾンビVS無視
もう限界!!!
くそぉ・・・一人になりたい。
俺って寂しがりやだと思ってたけど、
こんなにも、ずっと家に誰かが
いるのがストレスだとは・・・
フゥ・・・
最近では、一人になりたすぎて、
バイトが終わると、
ハマーンよりも一足先に
家に帰り、一息つく。
パソコンを開き、
ヘッドフォンを装着すると、
アマゾンプライムで
海外ドラマを一人楽しむ。
これがないとやってられない。
最近のマイブームは、
「ウォーキングデッド」だ。
「ウォーキングデッド」とは、
少し前に流行った海外ドラマの
人気シリーズで、ゾンビ映画によくある、
ある日突然、人間がゾンビ化して、
人間を襲いだす。
っていうものなんだけど、
その極限状態で
繰り広げられる人間ドラマが面白くて、
ついつい見てしまう。
この時間が唯一の癒しだ・・・
ゾンビが癒しなんて、
ちょっとおかしいけど。
ガチャ
「ただいまぁ~」
くそ・・・ハマーンが帰ってきた。
もうマジでイライラするから、
最近では、ハマーンを完全無視。
「オノぉ、何見てんだ?」
「・・・」
「それ、ゾンビ映画かぁ?」
「・・・」
「・・・風呂借りるよ~」
「・・・」
ハマーンもやっとあきらめて
風呂に入っていった。
くそ・・・うぜぇ。
早く出ていけよ!
数分後、風呂から出てきたハマーンが
俺の後ろでウロウロしてる。
なにしてんだよ・・・
「うわぁ~、ゾンビだらけ・・・」
「・・・」
うるさいなぁ・・・集中してんの!
「おい、オノぉ、東京が
こんなゾンビだらけに
なったらどうするぅ?」
「・・・」
知らん。
ハァ…俺の前に移動してきたよ・・・
そして何やら首を
グラグラ揺らしながら、近づいてくる。
ゾンビのつもりかよ・・・
ふとハマーンの顔を見ると、
白目にしたいのだろうが、
うまくできないのか、
ただの流し目になっている。
ヒドイ顔だ・・・
「プっ!!」
くっ、不覚にも笑ってしまった・・・
「あ、笑った!」
「わ、笑ってないですよ!」
「このやろ~、冷たいじゃんかよ~!!」
ハマーンは、巨体を揺らして、俺にのしかかってくる。
「ちょっと、やめてくださいよ~~」
「いいだろ~~~!!おりゃぁ~~!」
「あ、あ、ちょ、ちょっとおおおぉぉお!!!」
「アハハ!!!」
夜中に、オッサン二人の奇声が響き渡った・・・。