つかめない・・・
一昨日の大家さん宅の、鍋パ。
大家さん監督の元、
俺は野菜を切る係、
サヨちゃんは買い物係。
俺が野菜を切っていると、
買い物からサヨちゃんが帰ってくる。
「私もなにかお手伝いできることが
あるでしょうか?」
「じゃぁ、買ってきたネギ切ってくれる?」
「承知しました」
サヨちゃんは包丁を持ち、
ネギを切ろうとするが、
かなりぎこちない・・・
「・・・大丈夫?包丁使ったことある?」
「いえ・・・
私は料理をしたことがありませんので・・・」
「え~???マジで???
まぁ、寮は食事出るか・・・」
「そうですね」
「実家でもしなかったんだ?」
「はい。いつもお手伝いさんに
作って頂いていたので」
「マ、マジですか・・・」
お手伝いさん・・・
どんだけ金持ちなんだ・・・。
タクマ・・・
この子で大丈夫なのか・・・?
俺が野菜を切る間、サヨちゃんは、
何をするでもなく、
俺の横で野菜を眺めている。
俺、やっぱこの子、苦手だなぁ・・・
一通り、鍋の具材を切り終え、
酒や砂糖、ダシダなどの調味料で
味付けした鍋のところに持っていくと、
大家さんが待ってましたとばかりに、
手を叩く。
「よーし!いいね!いいね!」
完成したキムチ鍋囲んで
三人で合掌。
「いただきま~す!!!うおっ」
辛~~~~いっ!!!
大家さん・・・
コチュジャンめっちゃ入れたな・・・
でもこの辛さがっ、クセになるっ!
俺は、汗をダラダラと流しながら、
キムチ鍋の豚肉を頬張る。
サヨちゃんはと言うと・・・
上品にキムチ鍋を器によそったかと思うと、
ものすごい勢いでモリモリと食べている。
え?意外・・・。
「か、辛くないの?」
「わたくしは、
もう少し辛くても大丈夫です」
「そ、そうなんだ・・・」
フゥ~~~
お腹いっぱいだぁ~~。
俺と大家さんが箸を置いても、
サヨちゃんはまだ食べている。
「この残り、
頂いてもよろしいでしょうか?」
「え?どうぞどうぞ・・・」
うーん…つかめない・・・
やっぱりサヨちゃん、苦手だ俺・・・。