ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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結局、なに歌う?

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今、東京ドームでは、らん展という
年1のイベントをやっており、
東京ドーム近くの俺のバイト先も激込みで、
ヘトヘト・・・

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そんな中、大家さんが、
来月に行われる町内の
老人カラオケ大会で歌う曲を
そろそろ決めないと、ということで、
バイト後に、大家さん家へ向かった。

「こんばんは~」

「・・・・」

返事がない。
大家さんには、申し訳ないけど、
今日は疲れすぎた・・・
さっさと選曲決めて
帰らせてもらおう・・・

「・・・ウーーーン」

家に上がっていくと、
コタツに入った大家さんが
腕組みして唸っており、
ゲンはいつものように、
大家さんに寄り添うように
丸まって寝ている。

「こんばんは~!」

「おう、きたきた!
 ゴメンね、疲れてるのに」

「いえいえ、決まりました?」

「さて・・・どうしたもんかね・・・」

「曲ですよね~~」

大家さんによると、
カラオケ大会の審査基準は、
町内の老人会カラオケ大会といえど
結構、本格的に審査しているらしく、
審査項目は、主に
① 選曲②歌唱力③表現力、
④会場の盛り上がり度
などの項目で点数がつけられるらしい。
そして、最後には審査員のコメント付き。
それがまた結構キツめの
コメントも飛ぶそうだ。

「いや、もうね、容赦ないよ、実際。
 私も、もうかれこれ10年
 やってきたけど、

 毎年心折れそうになるもん」

え・・・てっきり、
拍手の音の大きさとかで
優勝決めるのかと思ってたけど、
老人会って結構ガチめの会なんだな・・・

「だから、選曲もすごく大事なんだよ。
 オノ君、今まで色々歌ってみたけど、
 何が良かった?」

「うーん、そうですね。
 盛り上がりって意味だと
 やっぱサザンですかね~」

「・・・サザンかぁ~~!
 松山千春とサザンだったら、
 どっちがいいかな?」

「あ~~~どうですかね~?
・・・サザンですかね~」

「・・・サザンかぁ~~」

「『勝手にシンドバッド』とかって
 やっぱ、盛り上がると思いますよ!」

「あぁ~たしかにね~・・・
 ・・・・松山千春はダメかな?」

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 うーん。なんかコレ、
大家さんの心の中では、すでに
決まってるような気がする・・・

「松山千春・・・
 いいんじゃないですか?
『長い夜』とか」

「あ~そうね~~・・・」

「『大空と大地の中で』もいいですよね!

「あ~~あれね~~・・・」

あれ?大家さんの返事が素っ気ない・・・

「いや、でもまぁ、やっぱり
 大家さんが歌いたい曲が
 一番いいんじゃないですかね?」

「うーーん、そう~?
 でもさぁ、千春はさぁ・・・」

うわっ、千春って。
いきなり下の名前、
呼び捨てになってるし、
大家さん、絶対に
もう、松山千春で揺るぎないじゃん。

きっと、俺に後押しして
欲しかっただけだ。

「そうですよね!
 『季節の中で』の歌詞なんか

 響くもんがありますよね~」

「うん!!!そうでしょ?!」

「はい!やっぱり『季節の中で』がいいですよ!」

「やっぱり、そうかな~?」

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 わ、分かりやすい・・・
でも、これで帰れる。

「うん!じゃぁ千春の
 『季節の中で』に決定ですね!」

俺がこたつから出ようとすると、
大家さんは、また腕組みをして
考え込みはじめる。

「いや・・・ちょっと待ってよ」

「え?」

「オノ君が教えてくれた
 松山千春のモノマネは、

 結構難しいからなぁ~~
 できるかなぁ~」

「・・・できますよ!!大丈夫ですよ!
 これからまた教えますんで!!!」

「そうか・・・ありがとう」

「はい。じゃぁ・・・
 曲も決まったことだし。

 これから練習していきましょう!」

「うん、遅くまで、ありがとうね!!!」

「いえ、じゃぁ!」

そして、玄関まで
わざわざ見送りに来てくれた大家さんが
口を開く。

「うん・・・やっぱり明日
 ヒロセくんやタクマくんたちにも

 聞いてみた方がいいかな??」

もう!!!千春で決まりでいいよ!!!