ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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まずは己を知ること

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昨日は、すずたん(大家さん)の
カラオケ練習に行ってきた。
昨日のメンバーは、
マルオと俺だけ。

いつものカラオケ店に着くと、
すずたんは、さっそく
松山千春の「季節の中で」を熱唱する。

♪うつむきかけ~たぁ~~貴方の前をぉ~

「どうだった?」

曲が終わると、“すずたん”が、
今の歌の感想を聞いてくるのが常だ。

「惜しいっ!!!
 なんて言ったらいいかな・・・
 こう最初と最後のテンションっていうか!
 ちょっと待ってくださいよ・・・
 うーん・・・マルオ、どうだった?」

「あぁ、ワシ初めて聞いたけぇ、
 新鮮でした!」

「そう?」

今まで何度も“すずたん“の
「季節の中で」を
聞かせてもらったけど、
まだまだ正直、微妙なんだよな・・・。
そりゃぁ、一番最初に聞いた時よりは、
上手くなったけど・・・・

今のレベルでは、たぶん
カラオケ大会での入賞は無理だろう。
何を変えたらいいんだろう。
何かいいアドバイスは?

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役者をやってるヒロセがいたら、
ここは高音を意識して、とか
もっとビブラート聞かせて、とか
色々具体的なことを言えるのになぁ・・・

俺がブツブツ言っていると、
マルオが急にマイクを持つ。


「ちょっとワシ歌ってもええですか?」

マルオは、最近ハマって、
いつも電車の中で聞いているという
菅田将暉の『さよならエレジー』という歌を選曲。

♪愛がぁぁ~僕に噛みついてぇぇぇ~~
離さないと言うけれどぉぉぉぉ~~

マルオは、気持ちよさそうに歌っている。
俺はその間に“すずたん“へのアドバイスを考える。
う~ん、何を変えたらいいんだ・・・

歌い終えたマルオは興奮気味に
話しかけてくる。

「ねぇ!ワシの歌どうじゃったですか?

 結構イケメンボイスじゃないですか?」

どうでもええ・・・

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「いや・・・全然」

「ええ~?!ワシ、声だけなら
 菅田くんに似てるいう
 自信あるんじゃけどなぁ~」

「いや、1ミリも菅田くん入ってなかったよ」

「えぇ~ウソじゃぁ~~」

何言ってんだコイツ。
まぁ、自分の声って、自分が
想像してるのと結構違うからな・・・

あ、そうだ!!!

「“すずたん”!!!」

「な、なに??」

「“すずたん”の歌を録音してみましょう!」

「え?録音?」

「自分の声って聞いたことあります?」

「いや・・・ないかも」

「自分の歌声って、
 自分が思ってるのと結構違う
 と思うんですよね!」

すると、自分の声が
菅田将暉だと思っている
マルオも賛同する。

「あぁ~~~そうじゃそうじゃ!
 そういえば、ワシも小さいとき、
 初めて自分の声聞いたとき、
 ショックじゃったわぁ~~~」

「でしょ?自分では菅田くんだと思っとっても
 全然違うんよ!」

「・・・」

でも、なんでこんな簡単ことに
気づかなかったんだろ。
よし!!!でもこれで、“すずたん”にも
自分の声と歌に違和感に
気づいてもらえれば!

さっそく、俺たちは“すずたん”に
歌ってもらい、スマホのアプリで録音した
音源を再生する。

“すずたん“は、眼をつむりながら、
真剣な表情で聞いている。

「どうですか?」

「・・・・・これ、私の声?」

「そうです」

「・・・・・なかなかいいね」

「え?!!!」

「うん、思ったより上手くなってるね」

「いや・・・」

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俺の思惑はハズれ、
“すずたん“は、なぜか
自信をつけてしまった・・・
どうしよ・・・

ん、待てよ。
そうか・・・
この根拠のない自信。
まずは、それを
変えなければいけないんだ!!!