ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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ス―ハー軍団

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この前、カラオケで
“すずたん”の歌を録音して
聞かせてみたものの、結果なぜか“すずたん”は
自分の歌声に自信を持ってしまったようだ。

その自信こそが、
進化を阻んでいたものだった。
なんとかその自信をぶち壊さなければ!

そう意気込んで、俺は、バイト後、
ヒロセとタクマを引き連れて
“すずたん“の家に行く。
LINEではサヨちゃんも先に来てるはず。

「おぅ~、みんな来たのか・・・」

「お疲れ様でございます」

コタツに入ったすずたんは
テーブルに突っ伏している。
あれ?なんか雰囲気が暗いぞ・・・

「どうかしたんですか?」
「いや、もう自信なくしちゃったよ・・・」

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え???

「え?でも昨日はあんな
 自信満々じゃったじゃないですか・・・」

「ハハ、いや、そんなもの無いよ・・・
 昨日はああ言ったけど
 ホントは自信なんかないんだよ。
 もう、君らにどうにかしてもらえるレベル
 じゃないような気がしてね・・・」

え・・・
マジかよ・・・
実はショックを受けていたのか・・・。
まぁ、考えてみりゃ、そうだよな。
自信がある人だったら、
わざわざ、俺らに教えてくれなんて
頼まないもんな・・・。

でも、そんなに落ち込んでたなんて。

「そんなことないですよ!!!
 やれることはまだあります!!」

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俺はおもむろに、
すずたんちのCDコンポに
松山千春のスーパーベストを入れる。

♪うつむきかけぇ~たぁ~
貴方の前をぉ~
静かにぃ~時は~なが~れぇ~~

なんだか歌詞がピッタリすぎたのか
タクマがプッと吹き出す。

「ぷっ!ハハ!そうですよ!すずたん!!
 まだ3週間あるし!」

すると、すずたんにも、やっと笑顔が。

「みんな・・・ありがとうね」

♪めぇ~ぐぅる~めぐる~季節のな~か~でぇ~
貴方はぁ~なにをぉ~見つけるだろぉ~~

曲が終わると、すぐさま
ヒロセが立ち上がる。

「よっしゃ!まずは腹式マスターやっ!」

ヒロセは、シャツをまくり上げ、下腹を出すと
呼吸とともに出したり、引っ込ましたりを繰り返す。

「こうやで。こう。こう。スーーーハーー」

すると、すずたんも立ちあがりヒロセのマネをする。

「こう?こう?」

「ちゃうちゃう!こう!!!」

いつの間にか俺たちも、
ヒロセとすずたんの横に並ぶ。

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「こう?こう?」

「せやせや!!上手いなぁ~ぺらいっち!」

「そう?まぁ、俺も
 ちょっと役者かじってたからな~」

「ほら!すずたんも!!」

「よーし!!!」

「おっ!ええで!!!ええで!!」

なんか・・・傍から見たら変な光景だけど・・・

俺たちは、一晩中、スーーーハーーしていた。