ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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アグレッシブなアイツ

ヒロセの舞台を見た後、
ヒロセを交えて、タクマとサヨちゃん、
マルオと“すずたん”、そして
“すずたん”の町内会の友人
タツさんと飲み会をした。

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ヒロセは、着替えや、
舞台の片づけがあるらしく、
少し遅れると言うので、
先に飲み始めることに。

俺の隣のマルオは、カクテル一杯で、
あっという間に、顔が赤くなり、
席の反対側では、タクマが、
カクテルにストロー2本をさして
片方をサヨちゃんに差し出して、
カップル飲みをしようとしているが、
ガン無視されている。

それにしても、
タツさんの飲む酒の量の、
すごいのなんのって・・・
まるで水を飲むかのように、あっという間に、
焼酎水割りを飲み干していく。

「いや~、さすがタツさん。
 相変わらず、良い飲みっぷりですな~」

“すずたん”が、おだてると
タツさんは、イヤイヤ、と否定しながらも
次の焼酎を注文している。

「ヒロセ君だっけ?頑張ってたね~
 26歳?あ~、まぁ、これからだね」

タツさんは、空になったグラスの氷を
カラカラと鳴らしながら話している。

「うん、ヒロセ君は、良かった。
 まぁ、出番は、
そんなに
 多くなかったけどね」

“すずたん”も、早速、
大好きな赤ワインと枝豆を
注文すると、グビグビと飲んでいく。

「でも、ヒロセのやつ、
 絶対タツさんのこと、

 関係者か何かだと勘違いしてましたよ?」

俺がそう言うと、タツさんは、
「そう?」と、トボけている。

「いや、だって、すごい貫禄ありますもん・・・」

「ハハハ、そんなの、演技演技!!」

タツさんは、豪快に笑い飛ばす。

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ヒロセ・・・タツさんが、
ただの近所の芝居好きのオジさんって
知ったらどんな顔するだろう?

それにしても、
ヒロセのアグレッシブさには驚いた。
俺が役者やってた時は、
否定されるのが怖くて、
オーディションはおろか、
どこかの偉い人というオーラだけで
ビビっちゃって、ヒロセのように、
アグレッシブに
話しかけたりできなかった・・・
それで結局、親に大学まで出してもらったのに、
就職もせずに飛び込んだ役者の道も
カンタンに諦めて・・・

その時、ヒロセが、いつもの
ハイテンションで駆けつけてくる。

「遅うなりましたっ!!!
 本日の主役、只今参上いたしました!」

「ま、舞台上では、
 スーパー脇役だったけどね!!」

「うるへ~~~!!」

タクマのツッコミに反応しながら、
ヒロセも席に着こうとしたところ、
目の前のタツさんを
見て、ヒロセが突然、奇声を上げる。

「え“ぇぇ~~~!!な、なん、なぜ?
 ア、アナタ様がっ?!?!」

瞬時に正座したヒロセだったが、
タツさんが、実は、
業界のお偉いさんでもなんでもなく、
ただの“すずたん”の町内会の友人だったと
聞かされて、態度が急変。
いきなり関西弁&タメ口でまくし立てる。

「なんやぁ~、ビックリさすなや~!
 あぁ、あぁ。“すずたん”の??
 まぁ、でも、ありがとうな!
 あ、俺、年齢関係なく、タメ口で話すねんけど
 許してな!そういうポリシーで、
 やらしてもらってますぅ~
 そっちんが、壁つくらへんやろ!?」

なんて身の軽さだ・・・

すると、“すずたん”が、
ワイングラスを傾けながら、
ヒロセに語り掛ける。

「ヒロセ君・・・タツさんに、
 タメ口はヤバイんじゃないかなぁ~?
 だって、タツさんって、実はね・・・」

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つづく・・・