ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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俺だって・・・

ひょんなことで、俺は、
演劇フリーターのヒロセの
舞台の打ち上げでキレて帰った。
現場にいたヒロセや大学生のマルオや
タクマたちからは、その後、
鬼のようにLINEが来てたけど、
全部スルーしてたから
バイトにも行きづらい・・・

「おい!ぺらいっち!!」

バイト先に行くと、
早速ヒロセが声をかけてくる。

そうだ、ヒロセには、悪いことした・・・
あんなに楽しい場の雰囲気を俺が
ぶち壊したんだから・・・。

「ヒロセ・・・わりぃ」

「ほんまやで!ってか!!
 俺が飲み会の主役やったのに、
 いつの間にか、ぺらいっちが、
 しゃしゃり出てくんねんから!
 んで、いきなり店飛び出してくやろ。
 ・・・どないせーちゅうねん!」

「わりぃ・・・」

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その後ろでは、マルオが
恐る恐る俺の方を見ている

「だ、だ大丈夫ですか?」

「いや、マルオ。そんなに怯えんでも・・・」

「だって、ぺらいちさんが、
 あんな風にキレるなんて
 見たことなかったけぇ・・・」

「・・・そりゃぁ、俺だって
 キレることくらいあるって」

「じゃけど・・・タツさんの
 一体何に、そんなにキレたんですか?」

マルオが、真っすぐな目で聞いてくる。

「そりゃぁ・・・やっぱり
 俺の弱いところを突かれたと言うか・・・
 この年まで就職もしたことないし、
 かといって、やりたいことなんて分からんし・・・
 そこをしつこく聞かれたからさ・・・つい・・・」

「ま、俺も分かるけどな・・・」

ヒロセが、口を開く。

「俺も、これから役者で
 食っていけるか分からへんし、
 いつか彼女にも愛想つかされるんちゃうかって
 ビクビクしてんねん・・・」

「そうだよなぁ・・・結婚するためには、
 やっぱりお金も必要じゃしね・・・」

俺がそう言うと、ヒロセは、しみじみと
つぶやく。

「こんなことなら、夢なんか見んで
 大人しく就職しときゃ
 良かったんかもなぁ~・・・」

「ハァ~~・・・」

俺とヒロセは、同時にため息をつく。

「お前らなぁ・・・なめんなよ!!!」

店長だ。どうやら
横で話を聞いていたらしい。

「結婚をなめんなよ!!
 こちとら離婚したくても、

 させてもらえないっつーの!!!」

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うーん・・・言葉一つ一つに
実感がこもってる・・・

「就職だってな!!就職したら、したで、
 キツイことばっかだぞ???
 本部からは、原価下げろ、
 人件費下げろって、うるさいし。
 ボーナス出ても、嫁に全部取られるし!!」

店長は、思いのたけをブチまけて
去っていった。