おっさんずラブ
「オノちゃん、ちょっといい?」
急に何だろう。
休憩室についていくと、
重々しい表情をした店長が
椅子に座っている。
「頭痛いから、
ちょっと肩揉んでくれない?」
「いいですよ」
昔から母親の肩を
よく揉んでいたのもあって、
腕にはそこそこ自信がある。
「いや~メチャこってますね~」
「オノちゃん、うまいわぁ」
店長と個室に2人きり。
少し前に、「おっさんずラブ」という
オッサン同士の恋愛ドラマを
見ていたからか、
ふと変な妄想が頭に浮かんでしまう。
店長がゲイだったら・・・
思い返してみれば、
店長っていつもボディタッチが多いし。
後ろから急に抱きついてきたり、
突然ケツを叩かれたり・・・
いやいや、それくらいなら
男のよくあるスキンシップか。
「あ~気持ちいいぃぃぃ。
血が通ってきたぁぁ。」
店長もリラックスしてきたせいか
口調がまったりとしてきた。
「ここですか?」
「うん。こっちの方もお願い」
その時、後ろ向きの店長が
伸ばしてきた手が、俺の手に触れる。
うわっ、まさか・・・
店長の肩を揉みながら、
俺は勝手な妄想を膨らませていく。
「オノちゃん、彼女いないんでしょ?」
「え?まぁ」
「じゃぁしばらくヤッてないんだ?」
「そう・・っすね~」
「俺もさぁ~最近ぜんっぜん、
女に興味なくなってきたんだよね~」
え?・・店長やっぱり・・男の方が・・
ここは、ハッキリ意思表示しとかないと
ヤバイ気がする。
「え~!俺は、
まだまだ女が好きっすね~!!」
「・・・まぁ俺くらいの年になれば分かるよ。
マジ性欲無くなるから」
ん?・・・なんだ。そういうことか。
ていうか、何考えてんだ俺は。
店長が男好きなわけがない。
こんな気持ち悪い妄想はもうやめよう。
俺は気を取り直して、
店長の肩のツボを押しまくる。
「おぉ~!なんかさぁ、気持ち良すぎて
勃(た)ってきちゃった。わはは~」
「え?・・何言ってんすかー。はは・・」
店長のいつもの冗談に笑いながら、
俺の視線は
店長の股間に注がれていた。