ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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うちの店長は、どんな人でも採る


「なんなんだよ、この店は!!」

店内にお客さんの怒号が響く。

「なになに、どうした?」

俺がホールに出ていくと、
大学生のカサハラがお客さんに対応している。

「申し訳ございませんでした・・・」

「もういいっ!もう帰る!」

立ち上がり、店を出ていくお客さん。

あー・・・帰っちゃった・・・
俺は、カサハラに事情を聞く。

「何があったん?」

「いや・・・なんか、
 アンドゥの態度が悪いって・・・」

「え~~?!!」

カサハラの隣には、アンドゥが
立っている。

「そうなの?アンドゥ?」

「俺は、ただ料理、
 置いただけですけど」

アンドゥは、悪びれもせず、
眉間にシワを寄せている。

いや・・・目つき怖いし・・・
お客さんが怒るのも分かる気がする・・・

「でも、乱暴に皿を置いたんじゃないの?」

「普通に置きました」

アンドゥは、俺を睨みつける様に言う。

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「いや、その顔だって。
 一応、接客業だから、もうちょっと
 笑顔つくるとかさ・・・」

「もともと、こういう顔なんで」

コイツ・・・

今年の新人は、クセモノ揃いだ・・・。
アンドゥと同時期に入ったタカタさんも、
声が小さすぎて、聞き取れないし・・・
この前なんか、
ウーロン茶と、ウーロンハイを
間違えて出すし。
その時は、お客さんが
優しくて許してくれたけど、
万一、お酒を未成年にでも
出してたら、間違えましたじゃ、
済まされない。

っていうか店長、人を見る目、なさ過ぎ。
人手が足りないからって、
誰かれかまわず、採用しすぎなんだよ!
くそっ、もう我慢できん・・・
俺は、イライラしながら店長のところへ行く。

「店長!今回の新人、
 なんで採ったんですか?

 明らかに飲食店に向いてないですよ!!」

俺は、店長に怒りをぶちまける。

「そう?」

店長は、素知らぬ顔だ。

「いや!だって!態度、最悪だし!
生意気だし!使えんし!!」

一通り、俺の愚痴を聞いた店長は、
ニコニコしながら言う。

「いや~、でも実は、オノ君も
 最初は、採用するかどうか
 迷ってたよ?」

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「え“~!!!な、ホントですか??」

「だって、フリーターなのに、
 無駄に学歴だけ高くて
 扱いづらそうだったからさ~」

「え!???」

「プライドも高そうだし」

「え・・・」

「それに・・・」

「いや!もういいです・・・」

マジかよ・・・

・・・まぁ、新人も、
働き始めたばっかだし、
もう少し、様子を見るか・・・