マカロン戦争
今年も残すところあとわずか。
でも年末の東京ドームでは、
Hey!Say!JUMP、ジャニーズの
年越しライブがあるから、
俺たちアルバイターは休みなし。
そんな俺たちに
常連のお客さんからの差入れが。
箱を開けてみると、
色鮮やかなマカロンが6種類ほどある。
チョコ、キャラメル、
フランボワーズ(ラズベリー)、
カシス、抹茶、バニラ。
その場にいた俺と
店長とカサハラで分けることに。
「よーし!3人だから、一人2個ずつね」
と、言いながら店長は、
「俺はこれとこれ・・・」
と言いながら、チョコとキャラメルの
二つをつまもうとしている。
うわっ、俺も狙ってたのに!!!
まただ・・・忘れもしない。
前のハーゲンダッツの差入れの時も、
一つしかない期間限定のキャラメルトリュフを
大人げなく、我先に持ち去っていった・・・
その時、大学生のカサハラが店長を制する。
「ちょっと!店長!!!ダメですよ!!」
「え??!」
驚いた顔をしながら、
それでもなお、マカロンを
持っていこうとする店長。
「ダメですって!!」
「だって!!!俺、
この2つしか食べられないもん!!」
「ダメです!俺もチョコがいいから!!」
「え~~~・・・」
ごねる店長におかまいなしに、
カサハラは話を進める。
「じゃぁ公平にジャンケンして
勝った人から取っていきましょう!」
カサハラもチョコとキャラメル狙いか・・・
俺も絶対チョコとキャラメルがいい!
「よーし、ジャンケンポンっ!!」
「うぁ~~!!」
俺と店長が悲鳴をあげる。
ジャンケンの結果、カサハラが勝ち、
俺は2番目で、店長はビリ・・・
はぁ・・・
カサハラに、チョコとキャラメル取られた・・・
「よーし!じゃぁチョコと・・・バニラで」
「!!!?」
え?!なんでバニラ?
でも・・・ラッキー!!!
すると、店長がキャラメルに手を伸ばそうとする。
「じゃぁ次は俺の番か・・・」
「え!ちょっと!違いますよ!」
危ない危ない・・・
「じゃぁ、俺はキャラメルを・・・」
俺がキャラメルに手を伸ばすと店長が叫ぶ。
「あ~~~~~!!!
ほんとにそれ取るの??
え?え・・・あっ!!
あーーーーーー!!」
くそっ、店長のプレッシャーが
凄くて取りづらい・・・
そうか!!カサハラめ・・・
チョコとキャラメルを取ると、
角が立つから・・・
敢えてバニラを選んだのか・・・
残されたのは、キャラメル、抹茶、カシスと
フランボワーズ(ラズベリー)の4つだが・・・
選択肢を残された方がやっかいだ・・・
店長がものすごい剣幕で俺の挙動を見張っている。
仕方ない・・・
「じゃぁ・・・俺はカシスと・・・」
すると、険しかった店長の顔が緩む。
しかし、俺が抹茶に
手を伸ばそうとするとまたもや店長が叫ぶ。
「あ、俺、ベリーは食べられない!!!」
もう・・・結局、
店長は食べたいの取ってんじゃん!!!
権力の乱用だ!!!
「じゃぁ・・・ベリーで・・・」
「おっし!じゃぁ、キャラメルと抹茶!!!」
はぁ・・・
なんかマカロン選ぶだけなのに、
やけに疲れた・・・