ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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ハーゲンダッツ キャラメルトリュフ

 

「みなさんでどうぞ~」

毎日のように店に来てくれる
常連客ハラダさんは、
会社の経営者らしく、
いつも気前よく差入れをくれる。

今日はあのハーゲンダッツ

ハーゲンダッツなんて高級品は、
自分では買う事はほとんどないので、
ホントにありがたい。

「わぁ~、ヤッター!」

マルオと俺は、
もらった袋を覗き見る。
バニラやグリーンティー
ストロベリーなど、
いろんな種類が入っている。

「ぺらさん、どれがええですか?」
「いや、もうハーゲンダッツなら
 どれも美味いし、どれでも・・・」
「じゃぁ、おれコレがええ!!」

え?

マルオが手にしたソレは、
一つだけ、他とは明らかに違う
オーラを放っている。

「キャラメルトリュフ?」

パッケージには、
いかにも特別感がありそうに、
金色で『期間限定』と書かれている。

ムム、・・・俺もコレがいい。

やっぱ期間限定には弱いもの。
しかも、どれでも良かったくせに、
マルオが欲しがってると、
急に俺も欲しくなってくる。

「じゃぁ、ワシこれで!」
「まぁまぁ!そんな慌てんなや。
 あとで平等にジャンケンよ」
「え~!!
 でもこれ1個しかないけぇ・・」
「とりあえず冷凍庫に入れとこうや
「くぅぅ・・・ワシ絶対勝つけぇ!」
「フフ、どうかな?」
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「え!?
 ぺらさん、さっき何でもええって
 言っとったのに!」
「んんん~?
 そんなこと言ったっけ!?」

マルオよ。
世の中、そう甘くないぜ・・・。


俺とマルオは、一旦袋を
従業員用の冷凍庫に入れると、
誰も触らないよう、定期的に
冷凍庫の周辺を警備する。

「マルオ、そっち見といて」
「はい。じゃけど、ぺらさん、
 抜け駆けは、許さんけぇ・・・」
「わかっとる、わかっとる!」

よし、誰も・・・

「あれ?」

無い!
少し目を離した隙に、
冷凍庫から袋が無くなっている。

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後ろを振り向くと、
店長がいつの間にか
冷凍庫から袋を取り出し、
中身を物色している。

「よーし!みんな!
 ハラダさんからの差入れ!!
 食べていいよー!!」

とバイトに声をかけながら、
店長は、ササッと袋から
一つ取り出した。

「あ・・・」

俺はすぐさま袋の中を確認しに行くが
・・・案の定無い!
一つしかなかった、
限定のキャラメルトリュフが、
無い・・・。

「あ゛~~~、
 ワシのキャラメルトリュフ~~」

俺の横でマルオが叫んでいる。

マルオ・・・。
世の中、甘くないな・・・

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