ブチギレの代償
疲れた・・・
今日は、忙しかった・・・
夜の激しいピークを終え、
一瞬お客さんが引いていくと、
大学生たちが
ダベりながら作業を始めた。
「就職したくねぇ~」
そうボヤくのは3年生のカサハラ。
それに2年のトミー、1年のマルオも加わる。
「あ~ダるいっすよね~。
俺も来年就活すんのかぁ」
「ワシは大学院に
行くから就活はええんじゃ~」
「大学院っても、そのあと就活するっしょ」
そうこうしている内に、
お客さんが徐々に入ってきて、
お店はいつの間にか満席になり、
オーダーが大量にたまり始めた。
しかし、大学生たちは
就活の話で盛り上がり、
手は全く動いていない。
「おれ、ここに就職しようかなぁ~」
「いや、ないでしょ、さすがに」
「でも飲食の中じゃ結構よくね?」
「いや、限りなくブラックじゃないですか」
「ははは」
こいつら・・・
いつもなら笑って軽く促す程度だが、
その日は疲れがピークに達していて、
俺のイライラはついに爆発してしまった。
「おい!!!おまえの就職なんて
どうでもいいんだよ!
オーダー溜まってんだろ!
黙って仕事しろ!ボケ!!」
珍しく声を荒げた俺に驚いたのか、
一瞬空気が凍り付き、
その後、みんな黙って仕事をし始めた。
そして次の日、
大学生たちから
話を聞いた店長が話しかけてくる。
「昨日なんかあいつらに怒ったらしいね」
「あぁ、はい」
「就職の話したらキレたんだって?」
「え?」
おいおいおい。
なんか就職にコンプレックスを
抱いている俺が
「就職」というキーワードに
ブチぎれたみたいになってる。
そんなつもりじゃなかったのに・・・。