入ってきた新人は・・・
「俺、今度、舞台あるから、
稽古であんまバイト出られへんわ~」
ヒロセが店長に話している。
「俺おらんと大変やろうけど、わりぃ店長」
「あーそう。まぁ大丈夫」
「えっ?大丈夫?」
「うん。今日から新人来るから大丈夫」
「えっ・・・新人?」
「ヒロセ、帰ってきた時は、
もうシフト入れないかもな~」
「え~~!!ちょ、ちょっと。それは困る!!
・・・クソ~、イジメて追い出すか・・・」
ヒロセはブツブツ言っている。
ウウィーン
店の自動ドアが開く音がする。
「あ、さっそく来たんじゃない?」
立ち上がった店長に付いていくと、
店の入り口に大男が。
で、でかい・・・
190cmくらいあるだろうか。
ヒョロ長の俺より高いどころか、
横幅もデカい。
まるでプロレスラー・・・
「今日から働きます。アンドウです」
「あ、よろしく~・・・」
体がバカみたいにデカい上に、目つきも鋭く、
みんなは委縮してしまっている・・・。
そんな中、1人ヒロセが果敢に話しかけている。
「アンドゥ~君かぁ~デカいね~大学生?」
「はい。3年です」
「へ~じゃぁ二十歳?俺より下や~ん」
そう言いながら、ヒロセはアンドウ君の太い腕を
触りながら話しかける。
「いや、23です。2浪して、留年もしてるんで」
「え?浪人に留年?ダブりすぎやろ~~!
うわっ、腕ふとっ!!」
ヒロセ・・・
そんなことしたら殺られるぞ・・・
ウウィーン
またドアが開く。
「あ、いらっしゃいませ~!」
俺が入口に行くと、丸眼鏡をかけた
ショートカットの小さい女の子が立っている。
「あ、お1人様ですか?」
俺が聞くと、その女の子は
うつむきながら、喋り始める。
「あの・・・から・・・バイトに・・・」
「・・・ん?・・・はい?」
声が小さ過ぎて聞き取れない・・・。
「今日から・・・バイト・・・なんですけど」
「え?バイト??あーー!新しく入った子?」
すると、店長がやってくる。
「あ、来た来た。タカタさんだよね?」
「・・・はい」
「タカタさん。美大で絵描いてるんだっけ?」
「・・・あ、短大・・・ですけど」
う~ん・・・眼鏡の下は、
けっこう可愛らしい顔してんだけどなぁ~・・・
それにしても、
また変わったのが入ってきたな・・・。