白を集めろ!
今日もバイト後、
“すずたん応援部”をガストに集めた。
“すずたん”のカラオケ大会の衣装は、
みんなとの話し合いの結果、
白色の衣装を試着してもらって、
その中から一番似合うものを
新しく買ってプレゼントする、
と決まったんだけど、
肝心の試着用の服を
どうするか決まっていなかったからだ。
「“すずたん”に試着してもらうのに、
白い衣装みんなで分担して
持ち寄ろうぜ!」
俺が呼び掛けると、
マルオがいち早く反応する。
「白のシャツは、ワシ持っとります!!!」
そう自信満々に言うマルオに
ヒロセのツッコミが飛ぶ。
「アホォ!そんなん
ほとんどの奴が持っとるわい!
ジャケットとかスーツを
どないしようかっちゅう話や!」
「そんな言い方せんでもええじゃろぉ~・・・」
「あ、白のジャケットは、
先輩から貰ったのがあるから、
俺、持ってこれるよ~
“すずたん”にはちょっとキツイかもだけど」
そう言うのは、タクマ。
確かにタクマが着るサイズを
“すずたん”が着ると
パンパンになりそうだ・・・。
「じゃぁ、白のスーツは、どうしよっか?」
すると、サヨちゃんが静かに手を上げる。
「白のスーツなら父が持っていた、かと」
「え?サヨちゃんさんのお父さんって
何モンなんじゃ??
もしかして、こっち系の・・・人なん???」
驚くマルオを尻目に、
サヨちゃんは淡々と答える。
「いえ、わたくしの父は、
いつも矢沢永吉のライブに
行くときに着ておりますので・・・」
「なんじゃぁ~そうかぁ~・・・」
いや、それも結構
特殊な事のような気がするけど・・・?!
「でも、永ちゃんのファンなんでしょ??
それってさ、結構
大事にしてるヤツなんじゃない??
人に貸すのとか嫌なんじゃないかな・・・
白スーツって汚れつきやすいしさ」
「ほぉ・・・確かに」
冷静なタクマの指摘に、
サヨちゃんもうなづいている。
う~ん・・・
白のスーツが一番手に入れにくいかも・・・
すると、ヒロセが乗り出してくる。
「ほんなら!俺が
知り合いの衣装さんにあたってみるわ~」
「おっ、さすが役者!」
しゃーないなぁ、と言いながらも
ドヤ顔のヒロセ。
「あとは、白のタートルネックのセーターか・・・
あれ?ぺらいっち、持ってなかったっけ?」
タクマは、ニヤニヤしながら
俺に聞いてくる。
「え?」
そういえば、持ってたな・・・
去年、片思いだったアンナに
選んでもらったやつ・・・。
フラれたときに、押し入れに
しまいこんで以来、見てない・・・。
でも、これで大体めぼしが付いた。
たぶん大きさとか合わないかもだけど、
“すずたん”が、どんな松山千春に変身するか
楽しみだ~!
「よし!じゃぁ服が揃い次第
“すずたん”ちで衣装合わせね!!!」