泊めてもらえない?
この前、深夜、家でゴロゴロしていると、
エリという、以前働いていたパチンコ屋
のバイト仲間から電話がかかってきた。
「今日泊めてもらえない?」
どうやら飲み会の後、終電を逃して家に
帰れなくなったらしく、歩いて行ける距離
に住んでいる俺に連絡してきたのだという。
「いいよ~」
二つ返事で承諾したものの、
久しく女子を家に上げてない俺の部屋は、
散らかり放題。
急いで脱ぎっぱなしの服を押し入れに
突っ込み、床にコロコロをかける。
エリは、少しポッチャリめの
中々可愛い女の子で、パチンコ屋の時から
少し気になってはいた。
(おや?まてよ。
家に泊まりに来るということは、もしかして、
そういうことになってもOKということか?
普通好きでもない男の家に泊まりには
来ないもんな。
そういえばこの前彼氏と別れたと
言っていたし・・・
これはワンチャンあるぞ。)
数十分後、家のチャイムが鳴り、
お酒で少し顔を赤くしたエリが来た。
テレビのバラエティを見ながら
少し雑談したあと、テレビを消して
いざお楽しみタイム!
しかし、焦ってはいけない。
まずはここで紳士的な態度を見せて
相手の様子を探る。
「俺は床で寝るから、ベッド使っていいよ」
「いや、いいよ~
私、床で寝るから。布団これ?」
さっさと、布団を敷き、床で寝始めるエリ。
(まぁまぁ、エリも恥ずかしいだろうし、
ここまでは想定内)
俺は一人でベッドに横になりながら、
優しくエリに声をかける。
「やっぱりさー、床じゃ寝にくいでしょ?
ベッドで寝る?」
「いや、いいよ~大丈夫」
「いや、でも悪いしさ。こっちで寝なよ」
「え~?いいの?じゃぁ」
そう言って布団から出るエリ。
(きたきた。)
エリは布団から出ると
ベッドの横に立って待っている。
まぁ、エリからは入ってこないか。
しょうがない。一回ベッド奥にエリを入れて、
俺もその後に入ろう。
しかし、俺がベッドから出ると、
エリはベッド奥ではなく、
ドンと真ん中に寝てしまう。
これでは俺の入るスペースがない。
しかもエリは、もうすでに布団を被り、
完全に寝るモードに入っている。
俺は仕方なく床の布団に戻り、考える。
(・・・もしかして、エリはそういうことに
あまり慣れてないのかな。
えーい、しょうがない。
ここはもう、俺が積極的に誘うしかないか!)
俺は、そろ~と
エリの寝ているベッドに乗り込み、
端っこに小さく横になる。
すると、俺に気づいたエリが起き上がり、
大声を出す。
「え?!!!どうしたの?!!!」
あまりにエリがビックリしたので、
俺もついマゴついてしまう。
「いや・・その・・やっぱ床が硬くてさ・・・」
「・・・・・じゃぁ、私が床でいいよ」
呆れた表情のエリ。
「え?いやぁ・・・」
するとエリは、面倒くさそうにベッドを出て、
床の布団に移る。
結局、ベッドにまた一人になった俺。
(うん、なんかもう・・・
寝よう・・・うん・・・)