誕生日プレゼント
大学生のトミーがふいに聞いてくる。
「今、彼女の誕生日プレゼント
考えてるんですけど、ぺらさんが
今まで彼女にあげたもので、一番
喜ばれたものってなんですか?」
「えー?一番喜ばれた物?
大体喜ばれてると思うけどな~。
えーと、俺があげたのはね・・・」
・・・あれ?なんだろう。
全然思い出せない。
プレゼントプレゼント・・・。
最近誰かにあげたプレゼントと
いえば、女友達にあげた
<リアルなおっぱいの谷間が
描かれたTシャツ>
その場も盛り上がるし、
喜ばれること間違いなしと自信を
もってプレゼントしたのだが、
その場にいる全員から
「センスがない」「デリカシーがない」
と大ひんしゅくを買った。
もう二度とあんな過ちは犯したくない。
そもそも、彼女用の
プレゼントじゃないしな・・・。
俺は必死に遠い記憶をさかのぼる。
あとは・・・
そうそう、本をあげたことがあった。
<ブルーデイズブック3冊セット>
たしか動物の面白い写真に、
元気が出るコメントが添えられてる
写真集だった。
その時の彼女は、結構根暗の子で
落ち込みやすい子だったから
プレゼントしたけど、今考えてみれば、
誕生日にそれは無かったかも・・・。
彼女ほとんど無反応だったし・・・。
あとは・・・そうだ!財布だ。
<サマンサタバサのピンクの財布>
俺がまだ大学生だった時。
当時付き合っていた
彼女の誕生日にあげた。
彼女の服やアクセサリーは、
黒や茶色の落ち着いた色のもの
ばかりだったので、たまには
派手で明るい色も持っててもいい
だろうと、色は、どピンクにした。
しかもラメ入り。
値段も3、4万くらいして、
当時の俺からしたら
(というか今の方が貧乏だけど)
相当な額で、かなり奮発した。
当時付き合っていた彼女の顔が
浮かぶ。プレゼントした直後は、
「わ~!うれしい~」ってすごい
喜んでたけど、なぜか1週間後には、
財布が前の黒い財布に戻ってた。
「ロゴが取れたから、修理に出してる」
とか何とか言って、結局それ以降、
使われるのを見ることはなかった。
あの財布は、
一体どこに行ったのだろうか。
あれ・・・?
なんか俺がプレゼントした物って
だいたい喜ばれてなくない?
「何がいいっすかねー?」
トミーが期待した目で俺を見る。
「あぁ・・・。
何でもいいんじゃない」
「えーーー!?」
過去を掘り返し、勝手に一人で
テンション下がった俺は、
もはやトミーの質問など
どうでもよくなっていた。