バリバリ働くけぇ!
「ワシ、別れました!」
どうやらマルオは、2か月、付き合っていた彼女と
数日前に別れたらしい。
しかし、マルオからは全くと言っていいほど、
悲壮感というものは感じられない。
「よーし!!今日も稼がんにゃ~~!」
それどころかいつもより元気に働いている・・・。
「え?!じゃぁ結局童貞のままやんな?」
「それは、はい」
「うわ~最悪やん!!
もうすぐ妖精になるんちゃう?ハハハ」
演劇フリーターのヒロセが面白がって
からかっても、全然おかまいなしだ。
「いや、実はもう次見つけたんよ~」
そういうことか。それにしても
切り替えが早いと言うか・・・。
「え?誰?誰なん?」
「地元の子なんじゃけど。
高校の時、付き合っとって。
そん時は、なんか浮気したと
勘違いされてしもうて、
フラたんですよ。
でもずっと好きだったんよ~」
「へ~彼氏おらへんの?」
「それが!!
別れたっぽいんですわ!
facebookチェックしとったんで!
今まで写っとった男の写真が
全部消されとったんです!
昨日も電話かかってきて・・・」
「え?どんな話したん?」
「それが!
東京においでって言ったんですよ!
そしたらお金ないって。
んで新幹線代出すって言ったら、
すげー喜んどったんですよ!」
「まぁ、そりゃぁ、喜ぶやろうな・・・」
「あ~はよ、アイちゃんから
連絡来んかのぉ。
LINE待つだけでワクワクするわぁ~!
毎日がこんなに楽しいなんて
夢のようじゃ~!!!」
う~ん・・・正直なんか微妙な気がするけど・・・
その日からは、マルオの話は、
アイちゃん一色。
「昨日の夜も電話したんよ~」
「へぇ~」
「アイちゃん、なんか靴が欲しいって。
じゃけぇ、やっぱり
アイちゃんのために稼がんと!」
「ふ~ん、誕生日か何かなん?」
「いや、全然!」
「え?ただ靴が欲しいって?」
「はい!!途中、なんか友達が
起きたからって3分で切られたんじゃけど」
「あ~・・・」
うーん、やっぱりそれ・・・
っていうか100%
良いように利用されてるよね・・・
「あ!というわけじゃけ、
ワシ今月、バリバリ働きますけぇ!」
でも、やはり恋の力はすごい・・・。
俺もバリバリ働こうか・・・。