ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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タツさんも昔・・・

俺は、“すずたん”に誘われ、
“すずたん”ちへ。
久々に“すずたん”とのサシ飲みだ。

“すずたん”は家に入ると、
早速、台所で、いつもの
おつまみの枝豆の準備を始めている。

俺が、どうしたらいいか
リビングの入り口で立ち尽くしていると、
それに気づいた“すずたん”が、
おもむろに喋りだす。

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「まぁ、若い時は色々あるわなぁ~」

「・・・ホントにすみません」

「いや、そんな
 気にすることじゃないって」

「・・・いや、でも・・・
 あんな帰り方しちゃって、
 場の雰囲気もぶち壊したし、
 タツさんにも
 失礼な事言っちゃったし・・・」

“すずたん”は、
微笑みながら、俺の話を聞いている。

「タツなぁ・・・、
 実は、私、アイツとは

 けっこう、長い付き合いなんだよね」

「・・・そうなんですね」

「アイツ、あんな
 偉そうなこと言ってたけど、

 昔は、アイツこそ、
 相当ちゃらんぽらんだったからね。
 いや、私からしたら
 今もそんなに変わってないけど。
 ハハハ」

「・・・」

「いっつも、目的もなく、
 フラフラフラフラして、
 役者でも、せっかく
 良いとこまで行ってたのに

 ひょんなことで、辞めちゃってね。
 だんだん悪い奴らとつるむ様になって、
 ヤクザの一歩手前まで行ったからね」

「え・・・ヤクザ・・・」

「うん、ホントだよ?
 それで、どうしても
 足を洗いたいって言うから、

 私が仕事を紹介したんだけどね。
 まぁ、それからも大変だったよ~
 まだ見習いの頃に、
 部長を殴ったりしてね・・・クククッ」

昔のことを思い出しながら、
楽しそうに話す“すずたん“。

でも、タツさんに、
そんな過去があったなんて・・・

「まぁ・・・もしかしたら、
 そんな昔の自分を思い出して、
 オノ君のこと、
 黙っていられなかったんじゃないかな?」

「・・・」

そうなのかな・・・

確かに、あの時は、
普段、言われたくないことを
ぐいぐいと、キツイ口調で言われたから、
なんなんだよ!このオッサン!って
自分が批判されたような気持に
なっちゃったけど・・・
よく考えてみれば、
よく知りもしない他人に、そんな熱心に
言ってもらえることって、
すごい有難いことなのかもな・・・
それなのに・・・俺は・・・

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「タツさんの家って、
 この近くなんですよね?」

「え?まぁ・・・そうだけど?」

「教えてください!!」

「良いけど・・・どうするの?」

俺は、自分でもビックリしていた。
まさか、こんな気持ちになるなんて・・・
とにかく、タツさんに会って
あの時の事を謝りたい。