“すずたん”のサイズ
急きょ、“すずたん”にプレゼントする
カラオケ大会用の衣装は、
白のタートルネックのセーターから
まさかの白スーツに変更になった。
今日の俺のミッションは、
“すずたん”の体のサイズを測ること・・・。
最低限必要なのは、
肩幅、そで丈、あとウェストサイズくらいかな?
タクマに、「それとなく測っといて~」
って頼まれたけど、
意外と難しくねーか?このミッション。
(俺も「オッケー」って軽く返しちゃったけど・・・)
せっかくのサプライズが
台無しになったらいけんし・・・。
「こんばんは~~」
「お~~オノ君!そうだ、
昨日教えてくれたアドバイスの
練習してるんだけど、
ちょっと聞いてくれない?」
「あ、いいですよ~」
♪んめぇ~ぐるぅぅぅ~~~んめぇぐるぅ~~~
っきせっつのんなかでぇ~~
「いや、昨日よりスゴイ自然になってますよ!
躍動感もちょっとずつ出てるし!」
「そう?」
・・・よし、そろそろ言い出そう。
「あの・・・“すずたん”、ちょっとお願いが・・・」
「ん?何?」
「ちょっと、スーツを貸して欲しいんですけど・・・」
「え?急にどうしたの?
ついに、どっかに就職するの?」
「え?いや!・・・・あ、今度
友達の結婚式なんですけど、
礼服がなくて・・・」
「あー、礼服ね。
うん、良いけど、オノ君と私じゃ、
サイズ合わないんじゃないの??」
「うーん、いや、大丈夫ですよー!」
「ふ~ん・・・
まぁ、じゃあちょっと待ってて」
しばらくして、2階から
“すずたんが、礼服を抱えて戻ってくる。
「これだけど・・・着てみる?」
「あ、ありがとうございます!」
よし、これを借りて帰れば、サイズが分かる!!
「あーー、やっぱぶかぶかだね~
丈が足りてないし・・・
オノ君、手足が長いから」
確かに、サイズが合わな過ぎて
八分丈みたいになってる・・・。
「まぁ、ギリギリ着れますね」
「いや~これは、ダメだね」
「え?」
「さすがに結婚式にそれ着て行ったら、失礼だよ」
「いや、まぁ友達なんで大丈夫・・・」
「ダメダメ。親しき仲にも
礼儀ありって言うでしょ。
友達にとっては、一生に一度の事なんだから。
普通のスーツは持ってるんでしょ?
礼服じゃなくても大丈夫だと思うよ」
「はぁ・・・」
っておい!!!これじゃ、
家に帰ってサイズを測れないっ!
なんとかサイズを聞きださないと!
「これって・・・既製品ですか?オーダーですか?」
「いやいや、もちろん既製品だよ。
ただ、後で、ちょっと直してもらったくらいで」
「あー、そうなんですね~、
これは・・・Lサイズですか?」
「いや、確かLLだよ。」
「なるほど~。あ、腕も丈が足りないなぁ~」
「そりゃ、そうだよ。オノ君とは身長も違うし」
「え~?そうですかぁ~?」
そう言って、長さを比べるという風に、俺は、
自分の腕を“すずたん”の腕に合わせる。
なるほど。そでの長さは、
俺より、ちょうど手の平分くらい短く、と。
「は~、でも、やっぱりズボンは、
結構デカいですね~。
最近、お腹出てきたんじゃないですかぁ?」
「まぁ、そうだね~・・・
若い頃は、私もオノ君みたいに
スリムだったんだけどね」
「え?ウェストって今いくつ
・・・くらいなんですか?」
「うーん、この前、測った時は
90くらいだったかな?」
「は~ん、なるほど。丈もそのまま?」
「いやいや、もちろん切ってもらったよ。
10cmくらい。ハハ」
「え~!そうなんですね~」
よしよし!これで、なんとなく
“すずたん”のサイズ感は
分かった!
「う~ん・・・やっぱり、
自分のスーツで行った方が
いいですかね~」
「うん、そうした方がいいよ」
「分かりました!ありがとうございます!」
「それにしても、自分の礼服くらい
持っといた方がいいよ?」
「そうですよね~・・・」
うん、“すずたん”にも
怪しまれていない・・・はず(?)