ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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BICのライター

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カウンターに一人座った、
60代くらいの上品な女性が、
ライターを貸してほしいと言うので、
俺の私物のライターを渡したところ、
いきなりテンションが上がる。

「あら!これBICのライターじゃない!」

「はい?あの・・・
 コンビニで買ったやつですけど・・・」

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「はぁ~昔は、このBICのライターが、
 憧れだったのよ。
中々手に入らなくて。
 フランスに行く友達がいたら、
 おみやげで買ってきて~
 って頼んだくらいよ!」

へぇ~・・・こんなライターが・・・

「そうなんですか~、大変だったんですね」

俺が何の気なしにそう答えると、
女性は、さらに興奮して話し続ける。

「イヤイヤ!!昔は、良かったわよ~!」

「え?なにがですか?」

「昔は、それ一つとっても、夢があったのよ」

「夢?」

「今じゃ、何でもすぐ手に入っちゃうでしょ。
 昔は、物がないから、
 周りのもの全てが目新しくて、

 憧れのものに囲まれてたのよ」

「はぁ~」

「それに、あの頃は、
 何にでもなれるし、できちゃいそうな
 雰囲気があったのよ~。
 そのために頑張ろうっていう」

「うーん、なるほど」

そんな時代があったのか・・・
確かに、今とは大違いだな。
今では、家にずっと居て、
誰にも会わなくても、何でも
簡単にネットで手に入るから、
憧れだったり、
これが絶対欲しいから頑張ろう!!!
って気持ちも、なかなか持てないもんな・・・
今の時代、便利になって、
物が溢れてるからこそ、
憧れとか夢も持ちにくいってことか・・・。

だから、自分も含めて、
夢や希望を持てない若者が
増えてるのかも?

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「な~んて、
 時代のせいにしても仕方ないわよね。

 夢を持ちなさい、夢を」

そう言うと、女性はタバコに火を点けた。