事故物件
「俺んち、事故物件やから」
「は?!!」
新年早々、演劇フリーターのヒロセが
ブッこんできた。
事故物件とは、自殺とか他殺とか
何らかの形で
人が死んだ後の物件。
その分、次に住む人は
家賃が安くなるってのは
聞いたことがある。
ちょっと前に、池田エライザが
出演してる「ルームロンダリング」
っていう事故物件を扱う
映画やドラマがあったけど、
ほんとにそんなとこに住んでるやつが
こんな身近にいるなんて。
俺なら少々家賃が安かろうが、
怖くて絶対ムリだ・・・
「まぢかよ・・・なんでそんなとこ?」
「え?安いからに決まってるやん」
「いや、でも誰か死んだんでしょ?
そんなとこよく住めんなぁ・・・」
「いや、死んだいうても病死やから」
「あぁ・・・」
病死・・・か。
まぁ、自殺とかよりはまぁ・・・
だけど。
「え、でもなんか怖くないの?」
「人は誰でもいつか死ぬんやで。
全然怖いことあらへん」
「まぁそうだけど・・・出ないの?
そういうお化け的なの」
「アハハ、そんなんナイナイ!」
「それならまぁ・・・」
「たまにテレビ付いたり、
消えたりするくらいやで」
「え・・・?!」
いや、あるじゃん!
「あとは帰ったら、
消したはずの電気が、
部屋中全部付いてたり・・・
くらいやな。ハハ」
いや怖っ!!!
なんでそんな笑って話せるんだコイツは。
「なにが怖いって、霊的なものよりも
そのせいで電気代が上がんねん!
マジで勘弁してほしいわ!
せっかく家賃安く借りてんのに!!!」
あぁ・・・そういう怖さね・・・
それも確かに怖い・・・。