一人カラオケ
♪ウィ~ア~ザ
チャンピオ~~~~~ン!!!
演劇フリーターのヒロセが
また歌っている。
『ボヘミアン・ラプソディ」の影響すげーなぁ・・・
「あぁ~~!!QUEENええわぁ~~!!!」
「そんなにハマったんだ?」
「そりゃもう!!!
ここんとこ、3日連続で
行ってもうたからね!」
「どこに?」
「一人カラオケや!!!」
一人カラオケ・・・
俺も、昔は、よく一人で
カラオケオールして満足してたなぁ・・・
でも・・・最近、
久しぶりに一人カラオケした時、
気づいてしまった。
つまんねぇ・・・って。
なんかつまんな過ぎて、
30分もしないうちに帰っちゃった。
「でも、一人だと飽きてこん?」
「へ?なに言うてん、飽きひん飽きひん!
好きな曲とかマイナーな曲を思う存分、
歌えるんやで??
一人カラオケ最高!!!」
ヒロセは笑って一蹴する。
「もう毎日行かへんと気が済まへんわ。
マストよ!マスト!
ハハ!今日も行かなぁ~!!」
おまえ、4日連続で
一人カラオケ行く気かよ・・・
「せや!!しゃーないから、
ぺらいっちも一緒に来てもええよ?」
「いや、俺は、明日も行くからなぁ・・・」
「は?!誰と?!!」
「いや・・・大家さんと」
「・・・へ~~そうなんや~~~!
アレ?結構ちょくちょく行ってんや?」
「いや、大家さんこの前まで、
風邪引いてて、昨日復帰戦」
すると、ヒロセがボソッとつぶやつ。
「・・・ほな明日、俺も行こか・・・?」
やっぱり誰かと行きたいんじゃん・・・
「あ!お前、飯食いてぇだけだろ~??」
「そないなことあらへん!
いや、まぁもちろん
それもアレやけど!」
「・・・ホントは寂しいんでしょ?」
「は?そんなわけあらへん!」
なかなか認めようとしないヒロセを
俺は少しイジメたくなってきた・・・
「じゃぁ一人カラオケでいいじゃん」
「いや、まぁ・・・
俺の魂のソウルを誰かに
聞かせてやってもええ
思うてやなぁ!!」
「でもQUEENばっか歌えんよ?」
「それはまぁ・・・我慢したるわ!」
「いや、そんな無理して
来てくれるんなら大丈夫」
「いや、そんなもん、かまへん!かまへん!」
「いや、うん。大丈夫大丈夫」
「サ、ビ、しいぃぃの!!!!!」
ハハ・・・
最初っからそう言えばいいのに。
ちょっとイジメ過ぎたか・・・
ま、大家さん、
ヒロセのこと気に入ってたから、
ヒロセが行くと大家さんも喜ぶだろう。
「・・・オッケー。じゃぁ明日10時からね」
「ヤッター!!!」
子供のように飛び上がって喜ぶヒロセ。
そうか・・やっぱり、
ヒロセも先月大家さんとのカラオケが
よっぽど楽しかったんだ。