オゴリなら
♪めぇぇぇ~ぐるぅ~めぐる~
季節のなかでぇぇ~・・・
昨日、大家さんと散々、
松山千春の「季節の中で」を
歌ったから、頭から離れず、
思わず口ずさむ。
「なに歌ってんねん」
うわ、ヒロセ、いつの間に。
「ん?松山千春・・・」
演劇フリーターのヒロセは、
舞台があるとかで、
しばらくバイトに入っていなかった。
すると、ヒロセも
バカでかい声で歌いだす。
「♪果てぇぇ~しぃぃ~なぃぃぃ
大~空~とぉ~~!!」
おっ、『大空と大地の中で』。
でも20代半ばのヒロセでも知ってるんだ。
やっぱり名曲は残るんだな・・・・
しかも、さすが俳優を
目指すだけあって、中々うまい。
声デカすぎて、うるさいけど。
「おまえ、よう知っとるの~」
「当たり前やろ!でもなんで千春?」
「いや、昨日、カラオケ行ったんよ」
「え?一人カラオケ?!
さみしいやっちゃなぁ~~」
「いや2人」
「えーー!!誰と?
まさか、ついに彼女?!」
くそ・・・
コイツはカワイイ彼女がいるからって・・・
俺なんて・・・
この前フラれたばっかだよ・・・
「いや・・・大家さんと」
「えええ!???
なんやねんそれ!!
めっちゃウケるやん!!」
「いや、大変なんじゃけ」
「でもそれ、なんのメリットあんねん?!」
「メリット・・・
まぁ、めしオゴってもらえるかな」
「マジ?!!!!行きたい!!!」
「は?」
「オレ、バイト全然入れへんかったから、
今月キッツいねん。
めしオゴってもらえるなら、オレも行かせてや!
発声練習にもなるし!!!」
「え??おまえ、全然関係ないじゃろ・・・」
・・・待てよ。
さすがに俺も週一はキツイし、
ここはヒロセに・・・
歌上手いし。
「よしっ、分かった。
じゃぁ今度、聞いてみるわ」
「ホンマに!??ヨロシュウ!!!!」
ヒロセは腕を振りながら、
テンション高く去っていく。
「U!S!A!!U!S!A!!!
テンションたけーなぁ・・・
でも、たぶん大家さん、
その歌、知らんと思うぞ・・・
まぁ、いいか。