クリスマスイブじゃけど
「♪ クッリスマスがぁ~
ことしもぉ~ やってくるぅ~」
今日はマルオがやたらとうるさい。
「トミーさん、back numberの
クリスマスソングって
どんなんじゃったっけ?」
「忘れた・・・」
トミーはぶっきらぼうに答えている。
今日は、クリスマスイブ。
東京ドームでは、
嵐のライブがあって、
バイト先の居酒屋も結構忙しい。
こんな日に、バイトしているのは、
俺とマルオとトミーの
彼女がいない組くらい。
「他にクリスマスソングいうたら、
何があったかのぉ~?」
「・・・」
「・・・」
黙々と仕事をする俺とトミーの後ろで
マルオは一人呟いている。
「あ、そうじゃ!!
♪ クリスマスキャロルがぁ~
流れる頃には~」
「・・・」
「・・・」
「あとはぁ・・・
♪ クリスマスなんてぇ~
だ い きらいさぁ~」
マルオは、完全無視の俺たちにかまわず、
一人、クリスマスソングを
ワンフレーズずつ歌っている。
「洋楽なら・・・そうじゃ!
♪ラ~スト クリッスマ~ス アゲビュマイハ~」
そこで、トミーがしびれを切らす。
「おい!!!!!
うるさいよ!
クリスマスソングばっか歌うなよ!!」
「・・・だって!!!
イブですよ!!!
クリスマスイブ!!!
イブじゃいうのに・・・
バイトなんて・・・
ちぃとでもイブ感が欲しいんよ!!」
「バカ!!
イブを意識したら負けだろ!
歌えば歌うほど、寂しくなるんだよ!」
「・・・」
トミーに一喝され、
大人しくなったマルオが
俺に助けを求めてくる。
「ぺらいちさ~ん・・・」
俺はと言えば・・・
そりゃぁ、確かに一緒に
過ごす相手がいればとは思うけど、
寂しいなんて
意地でも言いたくない・・・
「いや~、イブってそんなに重要?
俺は、もうここ数年、一人じゃけぇ、
あんま気にならんくなったわ~!」
俺が明るく答えると、
マルオが静かに漏らす。
「・・・・・・なんか
そっちの方が寂しいのぉ・・・」
「・・・・」