ぺ~ら~い~ちぃ~~!
50歳過ぎの派遣の寿司職人
ハマーンが大声で俺を呼んでいる。
「ぺらいち~!」
行ってみると、まかないのソバを
茹でてほしいという。
「いいですよ」
しかしそれからというもの、
毎日のように「ぺらいち~!」と
カウンターから大声で呼ばれ、
ソバを茹でる羽目に。
それだけならまだ良かったが、
ソバだけでなく、それくらい
自分でやれよ、というような雑用
まで頼まれるように。
その日も、「ぺらいちー!」
と呼ばれるので行ってみると、
「おれのスマホなんだけど~、
電話かかってきたときに光る
ように設定してくんな~い?」
と言われ、設定をする羽目に。
最初のうちは我慢していたが、
混んでいる時間や忙しい時間など、
関係なく大声で呼ばれ、
その度にどうでもいい雑談や、
頼み事をされるので、
だんだんウザったくなってきた。
そして今日も、ハマーンの声が。
「ぺらいち~!」
またかよ。うるせーなぁ。
もう面倒くさくなって
聞こえていないふりをする。
すると、さらに大声で呼ばれた。
「ぺ~ら~い~ち~~!!」
ずっとシカトを続けてるのに、
ハマーンの声がどんどん
大きくなり、店に響き渡る
くらいの大声で連呼される。
「ぺぇ~ら~い~ちぃ~~~!!」
本当はそれほど忙しくなかったが、
あまりにうるさいので、
忙しいフリをして大声で叫ぶ。
「もう~なんすか!
今ちょっと手が離せないです!」
やっとハマーンの声が止んだ。
はぁ、マジうるせぇハマーン。
それからしばらくして見回してみると、
大学生がハマーンのところに集まっ
ている。
その中心を覗いてみると、
ハマーンが握った大量の寿司が・・・。
しかし、大学生たちが食べてしまって、
もうほとんど残ってない。
「ぺらいち~、さっき呼んだのに
なんで来なかったんだぁ~?」
もう!ハマーン!
そういうことなら先に言ってよ!