露骨
バイト先にはパートのおばちゃんが
一人いる。40代のタカコさん。
大学生ばかりのバイトの中で俺と同じ
数少ないオーバーエイジ枠の一人だ。
そのタカコさんが
女子大学生たちと話している。
「やっぱり最近の男って
情けないのよ~」
「あ~わかりますぅ~」
「ナヨナヨしてて、ぜんっぜん、
頼りがいがないっ!」
「ですよねぇ~」
「やっぱり男らしい男よ!」
タカコさんと女子大生たちは、
さっきからこの話題でずっと喋ってる。
でも女子って、なんであんなに、
ずっと話が尽きないんだろ。
まぁ確かに今日はヒマすぎるから、
お喋りくらいしかすることないけど。
「やっぱ胸板厚いのがいいですよねぇ~」
「そうね!あと胸毛でしょ。
なんか『男』って感じがいいのよ!」
「えぇ~~!胸毛・・・ですかぁ」
「そう!毛深い方が男らしくない?!」
「う~ん・・・・」
タカコさんの趣向に女子大生たちは
イマイチついていけてないようだ。
でも今日はホントにヒマだ・・・
こんなくだらん会話するくらいヒマだ。
ヒマすぎると、逆に疲れるんだよな~
「ん~~~、ふぁ~あ」
あー、ヒマすぎて、
俺もアクビでちゃったよ・・・
「ちょっと!!!」
タカコさんが手で顔を覆い、露骨に
嫌な顔をしてこっちを見ている。
「見せないでよ!」
「え・・・?」
「それ!!!」
タカコさんは俺の下腹を指している。
どうやら伸びをした勢いで俺の
下腹の毛が見えたらしい。
「え?あ、すみません」
「あーもう、ほんっと気持ち悪いっ!」
えーーーー!
そんな露骨に嫌がるぅ~?
さっき好きって言ってたのに・・・。