トンッ…トンッ…トンッ…
『そういえば、昨日さ・・・。
バイトから帰って気づいたら、
ベッドにうつ伏せで寝ちゃってて。
しかも電気つけっぱなしで。そしたら、
コンコン
玄関のドアをノックする音がするのよ。
朝4時よ?
誰だろう? こんな時間に?
って思ってたら・・・。
ドンドンドン!
ドアをノックする音がいきなり大きくなる。
ビビるじゃん!
いやだなぁ~こわいなぁ~って思ってたら、
ガチャ。
カギ閉めたはずなのに!
ピッキングか!? 泥棒だ! って
起き上がろうとするんだけど、
体がピクリとも動かない。
トンッ・・・トンッ・・・トンッ
え? 泥棒が入ってくる!
誰? マジで? やばい、起きないと。
起き上がろうとするんだけど、
ぜっんぜん体が動かないの。
思いっきり力を入れようとするんだけど、
首すら動かない。
重い!!
誰かが頭の上に乗っているように重くて・・・。
そしたら、俺の頭の上から声がするんだよ。
めっちゃ怖くて!!
金縛りなんて
遭ったことなかったからさ!!!』
っていう話を、
バイト先の大学生におどろおどろしく話したら、
「それは、体は活動休止してるのに、
脳が活発に活動してるだけですね」
と、丁寧に金縛りのメカニズムを説明された。
・・・分かってるよ!
金縛りのメカニズムは!!
俺に霊感なんて1ミリもないのも十分知ってるよ!
でも、なんか霊のしわざだって思いたいの!
なんか霊感っていうものに
ちょっとした憧れがあるの!!
実際見えたら、すげーイヤだけど・・・。