ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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帰り道

やってもうた・・・

っていうか!!
なんなんだよ、あのオッサン。
初対面でズケズケと。
なんなの、あのいきなりの質問攻め!
クソったれ・・・

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俺が何をしたいかなんて・・・
分かるわけねーだろ・・・

クソっ・・・
俺って、いつもそうだ・・・

普段、良い人そうに見せてるくせに
肝心な時にこうだ。
こうやって人間関係を切ってきた・・・

俺が出て行った後、
追いかけて来たマルオたちの声が
かすかに聞こえたような気がしたけど、
それも振り切って、真っ先に
電車に乗ってしまった。

時間は夜9時・・・
みんなは、まだ飲んで帰るだろうな・・・
でも、場の空気を最悪なままにして
帰ってきたからな・・・
かといって、もう今さら戻れないし・・・

あーーーー!!!もう!!!
こんな自分がほんっとにイヤだ!!!

俺は、やぶれかぶれのまま、
自宅に着き、泥のように
布団に倒れ込む。

くそ・・・眠れない・・・

時計を見ると、3時。

散歩でもするか・・・

俺は、あてもなく夜の道を歩き始める。

ハァ・・・
ため息しか出ない・・・

俺の人生・・・なんでこうなっちゃったんだろう。

地元では、有名なエリート高校出て、
国立大学に受かったまでは
結構、順調だったんだけどな・・・

33才になった今ではただのフリーター。
夢があるわけでもなく、
自分が何をしたいのかも分からない。

まぁ、全部俺が今まで
行き当たりばったりで
何も考えてこなかったのが悪いんだよな。

でも・・・
夢もねぇし、金もねぇし、女もいねぇ。
希望なんて・・・ねぇよ・・・

ハハ・・・もうどうでもいいや・・・

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俺、やってもうた・・・

前回の続き・・・

「タツさんって、実はね・・・」

俺たちは、一斉に“すずたん”に注目する。

「タツさん・・・
 あのクロサワ映画に出たこともあるんだよ」

???

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俺たちは驚きの余り
一瞬、静まり返る。
・・・・え????!!!
クロサワ!?って、あの世界の黒澤明?
す、すげ・・・・

「クロサワ?誰?」
マルオとタクマはポカンとしている。
「え?あの黒沢明監督を
 ご存じない・・・???」
サヨちゃんは、そんなタクマにドン引きしている。

「タメ口なんかきいて・・・
 申し訳ございませんでした!!」

ヒロセは、額を床にこすりつけている。

「いいって、いいって。まぁ、出たっても、
 エキストラみたいなもんだし」

タツさんが淡々と話すので、
よけいに現実味が帯びてくる。

一時は、タツさんも、
本気で役者を目指していたが、
早々に自分には才能がないと
気づいて辞めたらしい。
その後は、やはり表現者でいたいと思い、
寝る間もない日々を送り、
どうにか出版社に入ったそうだ・・・

「あれ?そういえば、
 ぺらいちさんも、大学卒業した後、
 役者やっとたんですよねぇ?」

マルオが思い出したように言う。

「いや・・・もう辞めたから・・・」

クソ・・・中途半端過ぎて
役者やってたなんて
恥ずかしくて言いたくない・・・

しかし、そこから完全に
話題は俺の方に移り、
タツさんからは、ドンドン質問が飛んでくる。

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「ん?じゃぁ、今は何を?」

「えっと・・・まぁ、その。
 フリーターです・・・」

「大学出たのに、フリーターかぁ、
 それは親がかわいそうだね~ハハ」

「まぁ・・・ハハ・・・」

「え?年はいくつ?」

「・・・33です」

「そっかぁ~結構いってるんだね。
 じゃぁ、何か目指してるの?」

「え・・・」

目指す・・・?
目指すって言われたって・・・
俺は何を目指してるんだ??

「じゃぁ、こう、○○がしたい!
 みたいなこともないの?」

「いやぁ、なんでしょうね・・・」

これがしたい・・・?
俺は一体・・・何がしたいんだろう?

親に大学まで出してもらって
就職もせずに飛び込んだ役者の道・・・。

俺は何がしたくて役者を目指したんだ?
人を感動させたいから?
何かを表現したいから?
いや、正直、そんな
大層な理由なんて全くなかった・・・。
ただ・・・人とは違うことがやりたい・・・
就職するなんて、めんどくさい・・・
でも、モテたい・・・
そんな、感じだった・・・

ハァ・・・俺って、ほんと
何も考えてこなかったんだ・・・
全部が中途半端で、
行き当たりばったり・・・

「もう33だよね?
 どうするの?これから?」

「いや~・・・ハハハ」

俺は笑うだけで、何も答えられない。
そんな自分がつくづく・・・

「もうね、40、50なんてあっという間だよ?」

「え・・・いや・・・」

クソ・・・もう、なんなんだよ・・・
俺だって分かってる、このままじゃ
いけないことくらい・・・

「なるべく早く・・・」

そこまで言われたところで、俺の中の
何かが切れた。

「うっるさいなぁ!!!!
 俺だって、分かんないんですよ!!!」

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咄嗟に出てしまった大声に、
場がシンと静まり返る。

俺はその場にいてもたってもいられなくなり、
荷物を持って席を立った・・・

アグレッシブなアイツ

ヒロセの舞台を見た後、
ヒロセを交えて、タクマとサヨちゃん、
マルオと“すずたん”、そして
“すずたん”の町内会の友人
タツさんと飲み会をした。

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ヒロセは、着替えや、
舞台の片づけがあるらしく、
少し遅れると言うので、
先に飲み始めることに。

俺の隣のマルオは、カクテル一杯で、
あっという間に、顔が赤くなり、
席の反対側では、タクマが、
カクテルにストロー2本をさして
片方をサヨちゃんに差し出して、
カップル飲みをしようとしているが、
ガン無視されている。

それにしても、
タツさんの飲む酒の量の、
すごいのなんのって・・・
まるで水を飲むかのように、あっという間に、
焼酎水割りを飲み干していく。

「いや~、さすがタツさん。
 相変わらず、良い飲みっぷりですな~」

“すずたん”が、おだてると
タツさんは、イヤイヤ、と否定しながらも
次の焼酎を注文している。

「ヒロセ君だっけ?頑張ってたね~
 26歳?あ~、まぁ、これからだね」

タツさんは、空になったグラスの氷を
カラカラと鳴らしながら話している。

「うん、ヒロセ君は、良かった。
 まぁ、出番は、
そんなに
 多くなかったけどね」

“すずたん”も、早速、
大好きな赤ワインと枝豆を
注文すると、グビグビと飲んでいく。

「でも、ヒロセのやつ、
 絶対タツさんのこと、

 関係者か何かだと勘違いしてましたよ?」

俺がそう言うと、タツさんは、
「そう?」と、トボけている。

「いや、だって、すごい貫禄ありますもん・・・」

「ハハハ、そんなの、演技演技!!」

タツさんは、豪快に笑い飛ばす。

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ヒロセ・・・タツさんが、
ただの近所の芝居好きのオジさんって
知ったらどんな顔するだろう?

それにしても、
ヒロセのアグレッシブさには驚いた。
俺が役者やってた時は、
否定されるのが怖くて、
オーディションはおろか、
どこかの偉い人というオーラだけで
ビビっちゃって、ヒロセのように、
アグレッシブに
話しかけたりできなかった・・・
それで結局、親に大学まで出してもらったのに、
就職もせずに飛び込んだ役者の道も
カンタンに諦めて・・・

その時、ヒロセが、いつもの
ハイテンションで駆けつけてくる。

「遅うなりましたっ!!!
 本日の主役、只今参上いたしました!」

「ま、舞台上では、
 スーパー脇役だったけどね!!」

「うるへ~~~!!」

タクマのツッコミに反応しながら、
ヒロセも席に着こうとしたところ、
目の前のタツさんを
見て、ヒロセが突然、奇声を上げる。

「え“ぇぇ~~~!!な、なん、なぜ?
 ア、アナタ様がっ?!?!」

瞬時に正座したヒロセだったが、
タツさんが、実は、
業界のお偉いさんでもなんでもなく、
ただの“すずたん”の町内会の友人だったと
聞かされて、態度が急変。
いきなり関西弁&タメ口でまくし立てる。

「なんやぁ~、ビックリさすなや~!
 あぁ、あぁ。“すずたん”の??
 まぁ、でも、ありがとうな!
 あ、俺、年齢関係なく、タメ口で話すねんけど
 許してな!そういうポリシーで、
 やらしてもらってますぅ~
 そっちんが、壁つくらへんやろ!?」

なんて身の軽さだ・・・

すると、“すずたん”が、
ワイングラスを傾けながら、
ヒロセに語り掛ける。

「ヒロセ君・・・タツさんに、
 タメ口はヤバイんじゃないかなぁ~?
 だって、タツさんって、実はね・・・」

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つづく・・・

 

ヒロセは地球を守ってた

先週末、夕方から
ヒロセの出演する舞台を観に行った。

俺とマルオが、待ち合わせの駅前に着くと、
広場のベンチ前で、
最近、付き合い始めたばかりの
サヨちゃんとタクマが手を振っている。

「こっちこっち~!」

タクマの顔もデッレデレだし・・・。
当然だけど、2人の距離感が、
今までよりも、なんだか
近くなってるような気がして、
こっちも思わず照れてくる・・・

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「オノく~ん!」

改札の方に目を向けると、
俺のアパートの大家さんの“すずたん”が
俺の名前を呼んでいる。
そして、“すずたん”の後ろからは、
ぞろぞろと歩いてくる
5人のオジさんたち。

「この人たち、みんな
 芝居が好きな人たちだから。
 タツさんなんか、
 昔、役者やってたんだもんな?」

“すずたん”にそう紹介されたのは、
白髪の角刈りのタツさん。
確かに、すごい雰囲気がある・・・。
タツさんを筆頭に、
5人のオジさんたちは、
みな、上背もあり、かっ腹が良いため、
なんだか“すずたん”の
用心棒か何かにも見える。

「じゃぁ、そろそろ行きますか」

俺たちは、10人ほどで、
ぞろぞろと劇場に向かう。

席は自由席らしく、
俺たちは、後方の
関係者席の目の前に陣取る。

場内に、お客さんは、
チラホラ集まってきてはいるが、
ほとんど俺と同じくらいか
俺より若い人たちが多い中で、
腕を組んで座るタツさん擁する
俺たちの集団は、かなり浮いている。

きっと、周りからは、
どこの有力者たちだ?みたいな目で
見られているに違いない・・・。

 

しばらくすると、舞台の幕が開ける。

舞台の内容は、ざっくり話すと、
人類は猿から進化したと言う、
ダーウィンの進化論は間違っている、
という論文を発表するところから始まり、
実は、人類の祖先は、
別の惑星から来たというような話。
高度過ぎる科学技術ゆえの戦争や、
環境汚染により、惑星に
住めなくなってしまい、
移住してきた人類の祖先たち。
そして、今、地球は、
祖先と同じ道を辿っている・・・

というような、言ってしまえば結構、
ありがちな内容だった・・・。

劇中、“すずたん“やタツさんたちを
チラ見すると、腕を組んだまま
真剣に舞台を見ている・・・

と思ったら、微妙に前後に揺れてる・・・?
あれ?寝てる・・・????

我らがヒロセはというと、
地球防衛軍か何かの一人として
出演していて、

『地球がぁーーー!!!』

と絶叫するセリフを何度も連呼していた。

そして、ヒロセたち地球防衛軍のおかげで
地球は守られた・・・

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舞台終わりには、
ヒロセも客席に挨拶に来る。

「いやー!ありがとうな!!!」

メイクも落とさず、
汗をかいたヒロセの表情は、
なんだか晴れ晴れとしている。

「うん、ヒロセ君、良い声出てたね」

“すずたん”がそう言うと、
ヒロセも満面の笑みで答える。

「ありがとう!!
 みんなホンマ、ありがとうな!!!」

すると、“すずたん“の後ろにいたタツさんが
ヒロセに握手を求めている。

「良かったよ・・・
 でもね。一つだけ。君が、あそこで
 振り返るところがあるでしょ?」

「あ、はい!」

「あそこは、もっとこう・・・
 タメを作ったほうが
 哀愁が出てくるんだよね」

「あ、なるほど~・・・」

「あとね・・・ストーリー全体の中での
 自分の役の立ち位置を考えていくと
 もっと、存在感出てくると思うよ」

「は~なるほど・・・
 とても勉強になります!」

ヒロセは、演技について
色々と話すタツさんを
どこか事務所のお偉いさんか何かと
勘違いしたのか、ものすごく畏まりながら、
名刺を渡している。

「こういうものです。
 どんな役でもやります!

 どうか、よろしくお願いします!」

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タツさんも、まんざらでもなさそうに
うんうん、とほほ笑んでいる。

いや、違うんだけどな・・・
タツさん、寝てたし・・・

でも、ヒロセも大変だろうな・・・

俺も、大学卒業後、
小劇場の舞台でやってたけど、
小劇場の役者って、ノルマはきついし、
そんな簡単に、注目を浴びれるわけないし、
食えるようになるわけでもない・・・
それで、俺はあっけなく
辞めてしまったんだけど・・・

でも・・・
なんか舞台上の生き生きとした
ヒロセの表情を見てたら、
ちょっと羨ましくなった・・・



人間の言葉が分かる??

一昨日の夕方は、久しぶりに
“すずたん”ちの飼い犬ゲンの散歩に。

「よしっ!ゲンッ!行くよ!」

俺は、ゲンの首にリードを付けて
出発する。
ゲンは地面をしきりにクンクンしながら、
進んでいき、電信柱に到着する度、
足をあげて、おしっこをかけていく。

そこに、学校帰りと思われる
女子高生3人のグループが
話しながら、向こうからやってくる。

すると、ゲンは、サッとおしっこを中止し、
女子高生たちをジーと見上げる。

「わぁ~~!何あの犬!!」
「可愛すぎ!!」
「うわぁ~~!!!」

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おいおい・・・ゲン、
お前すごい人気だな。
まぁ、ゲンは、柴犬の中でも、
特にカワイイ顔をしてると思うけど・・・
あんなキャーキャー言われるなんて、
アイドルみたいじゃねーか。羨ましい・・・
俺なんて、そんな風に女の子にチヤホヤ
されたことなんて一度もないよ・・・
クソっ、いいなぁ。

女子高生たちは、通り過ぎた後も、
振り返り、何やら叫んでいる。
「キャー!!見てあのしっぽ!!」
「カワイイーー!!!」

その声に、反応するように、
首だけを女子高生に向けるゲン。
その度に、女子高生たちから
歓声が上がる。

ゲンは、その後、スタスタと大通りの方へ歩いていくと
駅前のコンビニの前に座り込む。
おいおい、こんなとこで座っちゃ・・・

時間はちょうど、学校や会社の帰宅時間。
改札から、ゾロゾロと学生や
サラリーマンが出てくる。

「ねぇねぇ、可愛くない?」

改札前に座るゲンを指差し、
女の人たちが盛り上がっている。
その度、何のことか分からないような顔をして
振り返るゲン。

「キャー!こっち向いた!!」

この野郎・・・ゲン。
お前、絶対、『カワイイ』って言葉を
理解してるだろ・・・

一通り、改札から人が出尽くすと
ゲンは、丸々したお尻をフリフリさせながら
家の方へ歩き出す。

いやぁ~・・・でも、やっぱり、
カワイイなぁ~お前。

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俺は、○○で一流に・・・なる!

この前、たまたま、テレビを見ていたら、
何かの番組で、東大か、
どこかの偉い教授が言っていた。

「一流の人物になるのに、
必要なことは2つ。
『書くこと』と『読書』」

『書くこと』は、考える力を養い、
読書をする人は、人生を知り、
話題が豊富になり、それが
人脈作りに繋がるらしい。
しかも、何歳からでも遅くはないらしい!!

真に受けた俺は、その場で
スマホのゲームを一斉にアンインストール。

よし!今日から俺も、
一流への道を歩むぞ!!

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『書くこと』は、このブログで
やってるっていうことにしてもらって・・・
あとは、『読書』か・・・
でも俺って、昔から、
ゲームやマンガばっか読んで、
本を読まない子供だったし、
当然、大人になってからも
読んでこなかった・・・
ひとまず、電子辞書に入ってる
無料の書籍から読んでみるか。
確か、古典文学が効果的とかって言ってた。

そうして、いつもは、
スマホのゲームで時間を潰していた
バイトの休憩中も、俺は、電子辞書を開く。
すると、バイトの大学生トミーが、
不思議なものを見るかのように
のぞき込んでくる。

「あれ?ぺらいちさん、
 何してるんですか?」

「ん?読書」

うわ。なんか、この響き、カッコイイ・・・。

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「ぺらいっち~、
 なに似合わないことしてんの~
 どうせ、3日持たないでしょ~?」

最近サヨちゃんと付き合い始めた
タクマも、冷やかしてくる。

フフ・・・見てろよ・・・。

俺が選んだ記念すべき1冊目の書籍は、
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。

ドストエフスキーといえば、
誰もが名前は聞いたことがある
ロシアの文豪だけど、稀代のギャンブル狂、
という事でも有名なお方。

俺は、どこか作者に、
シンパシーを感じながら読み進める。
(ギャンブル好きなとこだけ・・・)

ふんふん・・・破天荒な親父
フョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフと、
その一人目の妻、
アデライーダ・イワーノヴナ・ミウソーワか・・・

って!名前が長い!!!
全然、頭に入ってこねぇ!
ってか、まず、『フ』に、
小っちゃい『ヨ』なんて、
発音できんじゃろ!
いいじゃん!『ヒョ』で!
なに『フョ』って!!

・・・まぁいいや。
俺は、かまわず読み進めていく。

ふむふむ。
ヒョードルの最初の妻は、長男を生んだ後、
駆け落ちして出て行ったと。
で、長男の面倒を見ようとしなかった
ヒョードルに代わって、
長男を引き取ったのが、
最初の妻のいとこのピョートル・・・

ピョ、ピョートル???!!!
フョ―ドルと、ピョートル?!!

・・・えーい!まぎらわしい!!!
ハッキリ言って、ぜんっぜん、
登場人物の区別がつかん!!

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3日どころか、初日で挫折しそうだ・・・。

いや!
この読書の習慣を続けて、
いつの日か、俺も一流に
・・・なる!!

でも待てよ。一流って一体、
何の一流になれるんだろう?

まぁ・・・いいか。

分からん

タクマは、先週の日曜に
サヨちゃんと歌舞伎を観に行った。

俺は、タクマからの
経過報告を待ってたけど、その日は
タクマからは、何の音沙汰も無く・・・
なにかあったのか・・・?と気になっていた。

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俺は、その翌日、
バイト先にタクマを発見すると、
タクマの方から話しかけてくる。

「あ~、ぺらいっち、ごめん。
 連絡しようとしたんだけど・・・
 うーん・・・どう言っていいのか・・・」

「え?何かあったの?」

「うーん、あったというか・・・
 なんというか・・・」

タクマは、いつになく釈然としない。

「どうだったの?歌舞伎は?」

「うん、良かったよ」

「へぇ~、サヨちゃんも喜んでた?」

「うん。まぁ、俺は、
 良く分かんなかったけど。
 とにかく、すげー綺麗だった・・・」

「へぇ~、そうなんだ~!
 やっぱり歌舞伎の衣装とか、
 キレイって聞くもんね」

「もうね・・・肌がキレイで・・・
 いい香りして・・・」

「ん?匂いまで分かるの?」

「そりゃ、分かるよ。隣に座ってるんだもん。」

は・・・?
タクマはアホ面で宙を見つめている。

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「おい!サヨちゃんの話かいっ!」

「は?それ以外に、何があんのさ!」

「いや、歌舞伎を観に行ったんだろ?
 しかもせっかく高い席で・・・」

「いやいや。もうね、
 それどころじゃないって。

 あ~、もう首が痛ぇ~、
 チラチラ横向き過ぎて」

ハハ・・・
まぁ、初デートなんて
そんなもんだよな。
今までは、なんやかんやで俺らがいたけど、
初めての二人っきりだし。

「それで?」

「いや、その後、ご飯行って」

「ほぉ~、それで、それで?」

「まぁ・・・ね?」

すると、タクマは、意味深な笑みを浮かべる。

「え?・・・まさか?!」

「・・・」

「おい!もったいぶらずに言えよ!
 え??え??告白したの??」

「まぁ・・・うん」

「・・・・で?で?で?」

俺は、タクマを問い詰める。

「いや・・・付き合ってください!
 って言ったら、

『はい』って言われた・・・」

「えーーーーー!!!!マジで!
 良かったじゃん!!!」

っていうか、なんだよ!それだったら、
ひと言くらい言ってくれればいいのに。

「まぁ、やっぱり、
 お前の熱い気持ちを

 サヨちゃんも感じたんじゃない?」

「うん」

タクマはなぜか、淡々としている。

「いや!なんでそんなに
 テンション低いんだよ!」

「それがさ・・・
 別れ際にサヨちゃんに

『これからも、良いお友達で』って
 言われたんだよね・・・」

「・・・え?」

「これって・・・どういうことなんだろ?」

「ん~・・・」

「付き合ってんのかな?」

「いや~・・・」

分からん・・・
サヨちゃんの考えてることが分からん。

「別れ際だったから、その時、
 普通に別れちゃって、何も聞けなくてさ。
 昨夜から、モンモンとしてんだよね・・・」

「でも、やっぱり、それは、
 サヨちゃん本人に聞いてみるしか・・・」

「うわ~~!怖えぇ~!!!
 ねぇ、なんて聞いたらいいと思う?」

「それは・・・よくあるじゃん。
『俺たち、付き合ってるよね?』みたいなやつ」

「うわっ、恥ずい!!
 でも、どうしよう・・・
 俺の勘違いだったら・・・怖えぇー!」

タクマは、そう言いながらも、サヨちゃんに
LINEをしている。

「あ、返事きた」

「お、早いね。・・・で?」

しばらくの沈黙の後、タクマが絶叫する。

「・・・・・・付き合ってた!!」

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安堵の表情を浮かべるタクマ。

やっぱ付き合ってたんだ・・・。
サヨちゃん・・・ますます分からん。
タクマ、幸せそうだけど、
これからも毎日、
心揺れ動かされて大変そうだ・・・

でも、ちくしょー。
そんなタクマがちょっと・・・
いや、かなり羨ましい。

俺も、誰かに、
心揺れ動かされたいよぉ~・・・


デート前準備

ついに、タクマは
サヨちゃんと歌舞伎を観に行く。

「ねぇ、ぺらいっち、
 どんな格好して行ったらいいと思う?」

「え?普通でいいんじゃない?」

「う~ん、でもなぁ~・・・」

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タクマは、サヨちゃんとの初デートを
翌日に控え、切羽詰まった様子だ。
恋に関しては、百戦錬磨のタクマが・・・
サヨちゃんがそれほど特殊ということか。

「でも、やっぱ歌舞伎だから、
 袴かな?!」

「いやぁ~・・・それはやり過ぎじゃない?」

「そうかなぁ?」

「あぁ、“すずたん”なら、
 歌舞伎が好きって言ってたから
 そういうの知っとると思うんじゃけど・・・」

「そうなの?!じゃぁ、聞きに行こう!」

そうして、タクマと共に
“すずたん”に聞きに行くことに。
そういえば、つい先日、
ヒロセの舞台のチケットのことで
相談に来たばかりだ。

「こんばんは!」

すると、“すずたん”が、ゆっくりと玄関に出てくる。
その後ろから、ダダダッと音を立てながら
走ってくるゲン。

「おう、よしよし。可愛い奴だ」

俺たちは、ゲンの頭を撫でる。

「あ、この前は、ヒロセの舞台の事、
 ありがとうございました! 
 アイツも喜んでました!」

俺が挨拶すると、“すずたん”は、
笑顔で応えてくれる。

「うん、楽しみにしてるよ。
 今日は、どうしたの?」

すると、タクマが身を乗り出して、
“すずたん”に詰め寄る。

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「教えてください!!」

「ん?何を?」

ポカンとする“すずたん”に
俺は、今日来た目的をざっくりと話す。

「あ~!歌舞伎ね。そっかぁ~!
 明日だったの?」

「そうなんです。
 記念すべき、サヨちゃんとの
 初デートなんです!」

「そっか!それは大事だね。
 だけど、服は、全然
 ラフな格好でいいと思うよ。
 とくに決まりはないし」

「え、じゃぁ、例えば
 Tシャツにジーンズでも?」

「いや、それは、さすがに・・・。
 ジャケットくらいは、
 羽織った方がいいかな~」

「ジャケットかぁ~・・・」

「持ってないの?」

俺が聞くと、タクマは、
落ち着かない様子で
ウロウロしている。

「いや、持ってるけど。
 ちょっと、いかにもって
 感じじゃない?」

「でも、それくらいはしないと・・・」

「あー、なんか緊張してきたぁ~」

タクマは、乙女のように
胸を押さえている。

「いやいや。お前、今まで、
 どんだけデートしてきたんだよ!」

「いや、俺もこんなの
 初めてなんだよー!
 え~と・・・待ち合わせ場所には、
 最低でも1時間前には、
 着いときたいから・・・
 あ~・・・どうしよどうしよ。
 ねぇ、ぺらいっち!どうしよ!!!」

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いいなぁ~。
こんなふうに熱い気持ちに
なることなんて、めったにないから、
ちょっとうらやましくなる。

俺もアンナに恋してた時、
こんな感じだったっけなぁ~・・・

タクマは、見たことないくらい
あたふたしてるけど
どこか楽しそうだ。
グッドラック。

ノルマ達成

「うっすー!」

小劇場での舞台を
来週に控えたヒロセが、
数週間ぶりに、バイト先に来た。

「いや~、マジでオモロいで!
 人類が地球に誕生するまでの
 話なんやけどな!

 実は、ダーウィンの進化論が・・・」

ヒロセは、舞台のあらすじを
面白おかしく話している。

「なっ?おもろそうやろ?!
 せやからっ!
 誰か、チケット買ってくれへん?」

そう言って、バイトの
みんなに訪ねて回っている。

「あれ?ぺらいっちは?
 もうチケット
 買ってくれたんやんな・・・?」

「いや、買ったじゃろ、この前」

「せやんな~・・・ハァ・・・」

ヒロセは、重い溜息をついている。

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「何?ノルマ足らんの?」

「せやねん・・・ちょっとでも
 セリフのある役を取るためにやな・・・
 見栄はってしもうて・・・」

「おっ!ついに主役級?!」

「いや・・・言うても、
 セリフが一言二言
 増えただけなんやけどな」

「あ~・・・そっかぁ・・・」

ヒロセは、心なしか頬がゲッソリ
してるように見える。

「もう人脈使い果たしてんけど・・・
 あと5枚はいかんと、
 俺の生活破綻してまうわ・・・」

「う~~ん・・・あと5枚かぁ~」

結局、バイト先で、チケットを新たに
買ってくれる人は見つけることができず、
ヒロセは、とぼとぼと、帰っていった。

舞台のノルマって、ホントにキツイ・・・
でも、大丈夫かなアイツ。
アイツ、今、バイトも全然入ってないから、
ノルマ達成できないと、
ホントにヤバいことになりそうだ。

なんとか・・・

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そうだ!

俺は帰り道、“すずたん”ちに寄り、
“すずたん”に、ヒロセの舞台のことを話す。

「んで・・・“すずたん”も良かったら
 観に行ってあげてくれませんかね?」

すると、“すずたん”は笑顔で応える。

「え?もう、予約したよ~」

「え?」

あ、すでに誘ってた・・・
考えてみりゃ、そりゃ、そうだよな。
ごめん、ヒロセ・・・力になれんかった・・・。

「そうなんですか~・・・
 なんか、今日
 バイト先に来たんですけど・・・」

俺が、今日のヒロセの様子を話すと、
“すずたん”は、ニコニコ
しながら聞いている。

「え?そんなことなら
 早く言ってくれればいいのに~!」

「え?」

「あと5枚でしょ?
 私の町内会の友達、
 連れてくよ、5人。」

「え・・・!?いいんですか?!」

「そりゃぁ、もちろん!
 え?5人でいいの?」

「あ、はい・・・
 あと5人って言ってたんで」

「分かった。じゃぁ、
 ヒロセ君に伝えといてよ」

「え・・・あ、ありがとうございます!
 でも、ホントにいいんですか?」

「当然でしょ!だって、私の老人会の
 カラオケ大会ごときに、みんなで
 応援してくれたじゃない!
 あの時、どれだけ私が嬉しかったか・・・
 ヒロセ君が、そんなに頑張ってるんだから、
 今度は私が応援する番だよ」

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“すずたん”・・・
タクマの歌舞伎デートの時も、
アドバイスをしてくれたし、
こんなに、親身になってくれる人、
他にいないよ・・・

「ありがとうございます!」

よーし、こりゃぁ、
ヒロセも喜ぶぞ。

 

マンガ「沢田研二のニュース」

今日は、昨日に引き続き、
ハマーンのマンガを。

ハマーンが俺の家に居候している間、
こんなこともありました・・・

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そうそう。

丁度、ジュリーこと沢田研二さんの
コンサートのドタキャン問題に
沸いている時だった。

この「勝手にしやがれ」は、
ハマーンが、俺の家を出て行った後も、
妙に 耳に残ってて、
たまにitunesで聞いてる・・・。