残念会
ハァ~~・・・
思えば、アンナに会うまで、
恋自体からも
大分遠ざかってたから、
失恋するのも久しぶりだ・・・
こんなに辛かったっけ・・・
アンナの彼氏は、俺と同い年の
サラリーマンだった・・・
お金もあって・・・
海外勤務か・・・
それに引き換え、俺は金もないし、
フリーターだし・・・
なんもない・・・。
そんな完璧な彼氏が
いることも知らずに、
俺はフワフワモコモコの
ジェラート・ピケなんて
あげてしまった・・・
恥ずかしい・・・
フゥ~~~
バイト先の裏口の喫煙所は、
ゴミ捨て場が隣にあるから、
ちょっと臭いけど、
あまり人が来ないので、
一人になれる・・・
ガチャ。
「あっ!ぺらいっち!ちゃーす!」
タクマだ・・・
結局、こいつも
フラれたんだよな、アンナに。
それなのに、
なんでこんな陽気で
いられるんだコイツは。
まだ好きかどうか分からないって
言ってたくらいだし、
実際、大してショックでも無いのかな・・・
「ねぇねぇ、ぺらいっち。
アンナにジェラートピケあげた?」
「えっ・・・?」
タクマはニヤニヤしながら、俺の肩を小突く。
「なんで、それを・・・?」
「さっきヤマちゃんが、
アンナから貰ったって
自慢してたっスよ~ハハハ」
うそ、マジか・・・
そりゃぁ、
結婚しようって彼氏がいるのに、
別の男から貰った
カワイイパジャマなんて
着れないよな・・・
俺も要らないなら捨てていいって
言ったけど、まさか
ヤマちゃんにあげるとは・・・
「彼氏持ちにパジャマは
ないっスね。ハハハ!」
「うるせぇっ!!!だって!
彼氏いるって知らなかったし!」
「いや~ナイナイ」
「じゃぁ!おまえは、
何をあげたんだよ?」
「え~~・・・」
「なんだよ、教えろよ」
「イヤっすよ~」
「いいから!!」
「・・・・・・東京湾クルーズ」
「マジ?!・・・で、行くの?」
「行くわけないじゃないっスか。
彼氏いるって断られて・・・
でも、カッコつけて、
あげちゃいましたよ」
「へ~~~・・・ってか
それこそ、
彼氏持ちにナイやつじゃん!」
「だって~彼氏いるって
知らなかったんスもん。
ハァ~・・・
いるなら言って欲しいっスよね~」
「やっぱり、
お前も気づいてなかったんだ?」
「全っ然っ。あ~あ・・・」
今まで明るかったタクマの表情が
一瞬寂し気になる。
あ~あ。なんてことない。
こいつもやっぱり本気だったんだな・・・
「今日、飲み行く?」
「いいっスねぇ~」
「おまえさぁ・・・もう、
恋愛マスターの称号は返上な」
「ハハ・・・そうっスね」